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JGAP寄稿者短信:「 ニューヨーク州の夫婦別姓制度事情~結婚しても名字を変えなくてもいい!?」(檜垣賢一、学習院大学3年=米国NY州立大学オールバニ校留学中)ひがきさんNY写真.jpg

 下の写真はニューヨーク出身の大学の友達、カタリーナ・ハーリング-トロット( Katarina Herring-Trott )さんです。この名前、一見ハイフンが使われているため、ハーリングと言うミドルネームを持っていると思うかもしれません。しかし、そうではありません。正真正銘、ハーリング-トロットという名字です。実はこれ、日本ではまだ馴染みがない夫婦別姓制度による影響のもので、ハーリングはお母さんの名字で、トロットはお父さんの名字だそうです。両親は別々の名字を使っており、カタリーナは両親の名字を両方受け継いでいるということになります。
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  ニューヨークでは、しばしばこういう苗字を見かけることがあります。アメリカでは、夫婦別姓が当たり前の権利として認められており、具体的な項目は州ごとによって変わるようです。NY州の場合、公式ウェブサイトによれば、選択肢は4つ提供されています。

・片方の名字で統一する。
・完全に夫婦で違う名字を使う。
・夫婦の名字のすべてもしくは一部を組み合わせ、新しい名字を作る。
・夫婦の名字をハイフン(-)で繋ぎ、使用する。

 そして、両親が違う名字を使用する場合、問題になるのが子どもの名前。子どもの名前も上記のように自由裁量が認められており、出産後に子供の出生証明書を発行するために名字を決めなければなりません。しかし、その後もし望めば子どもの名前はどんな理由であれ変更することが認められています。実際、カタリーナの兄弟は、名字が長いということが嫌でハーリング-トロットのハーリングを省略し、名前を変更したそうです。

 このように、かなりのニーズに応える柔軟性を持った点で、さすが多様性が認められた街ニューヨークだなと感心するばかりです。結婚の代償として、これまで使っていた名字を失うということは、たとえそれが伝統であろうと、すんなりと受け入れることができない方も多いのではないでしょうか。僕自身も自分の名字"檜垣"に誇りを持っており、たとえ結婚したとしても、この名字を捨てることは到底考えることができません。

 日本は、ご存知の通り2015年3月14日現在では、結婚したら法律の規定で、片方の名前に統一することが義務付けられています。しかし、その一方で、先月夫婦別姓を認めない日本の民法の規定は、"男女平等の権利を保障した憲法に反する"として、最高裁判所が今月18日に初めて合憲か違憲かを判断をするというニュースが日本国内で報道され、大きく話題になっています。このように次第に夫婦別姓制度の導入を含めて、名字のあり方に関して日本でも議論がなされるようになりつつあります。

 今後も日本の動向に注目していきたいところです。

[参考]
・"Information on Getting Married in New York State", Department of Heath, New York State: [https://www.health.ny.gov/publications/4210/](2015年 3/14 現在)
・"Name Change (Child) : How to Change a Child's Name in New York", Legal Assistance of Western New York: [http://www.lawny.org/.../family-self-help-1.../name-change-child]
・ 法務省,"選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について": [http://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html#Q2]
・朝日新聞, "夫婦別姓・女性の再婚禁止期間 最高裁、初の憲法判断へ"(2015年2月18日): [http://www.asahi.com/articles/ASH2L5GV8H2LUTIL02J.html]


(関連記事)
JGAPエッセイ集 フロンティア・フォーラム「道がないところに道を作る。」(檜垣賢一さん、学習院大学3年=米国NY州立大学オールバニ校留学中)
http://japangap.jp/essay/2014/11/3-5.html

Website「多様性の中の共存を目指して。」:http://www.kenichihigaki.com/

1月22日付JGAP寄稿者短信:「すべての人にとって住みやすい街を目指して~バリアフリー社会 北欧フィンランド・ヘルシンキ」 http://japangap.jp/info/2015/01/jgap3-4.html

ブログ「井の中の蛙、大海を知る。」
→[http://www.kenichihigaki.com/#!blog/c831]