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2011年の思い出〜日本におけるギャップイヤーの重要性

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「コロンビア大学の研究によると、ギャップイヤーや留学は脳にプラスに働き、外向的になり、新しい考えに開放的になる」

※この記事はBLOGOSでもお読みいただけます。⇒http://blogos.com/article/155781/

 18日、英国ガーディアン紙に、興味深い記事が出た。
 見出しが、研究成果だが、「ギャップイヤーや留学は、脳にプラスに働き、外向的になり、新しい考えに開放的になる」(taking a gap year or studying abroad can positively influence your brain to make you more outgoing and open to new ideas.)と刺激的だ。

海外在住者は、旅人よりさらにクリエイティブ!

  現在英国では、ギャップイヤーなどで、1年に2万人以上の学生が海外で働いたり(就労体験)、夏に数ヶ月間ボランティアをしたり、毎年 3 ヵ月以上の期間を海外で過ごしている。 多くの学生が英国を離れて過ごすこと自体は驚くことではなく、旅の利点は十分可視化できるだろう。それは、新しい友達を作れるし、視野も広げられるし、人に伝えるべき物語もできる。

 それだけではない、脳の力を向上させ、より外向的になることが挙げられる。米国・ コロンビア大学ビジネス スクールのアダム・ゲリンスキー教授の調査によれば、海外在住者は、よりクリエイティブで、より多くの国に住むと、仕事がクリエイティブになる傾向にあるという。しかし、同教授は、旅行者としてでは、そんなに恩恵はないとのこと。また海外在住者でもローカルの文化に関与しなければ、ローカルの環境に積極的に入っていく旅人と比べると、効果は薄いとのことだ。


自信と自立心の獲得
  旅行や海外生活も人との関わりの方法に影響を与える。ジュリア ・ ツィンマーマン博士とフランツ・ネイヤー博士の研究では、ドイツの大学生で、1学期以上の留学経験者と国内滞留組との対比をして、人格発達を比較した。

 結果は、海外留学経験者は、国内滞留組に比べ、一般的に外向性が高く、一人でいることよりも周りに人がいることを楽しみ、帰国後は、新しい環境によりオープンになり、同調性や感情的な安定性が増す傾向にあった。
 
 シェフィールド大学の博士課程の学生は、 1年半、シンガポールで研究していたが、海外での生活で、より寛容になり、思いやりある人間になったと自己分析する。「海外で、世界を見ることは、これまで見えてなかった自分の文化習慣を理解し、共感と他者を理解する能力、そして感覚を磨く」。
 そこから、若者はやがて自信と自立を培うのだろう。


マインド向上は、難しくない!

 米国旅行協会の調査研究によると、旅行中に出会った新しくなじみのない状況では、ローカルの地下鉄で移動する方法を把握しようが、不慣れな言語で食事を注文しようが、精神を研ぎ澄まさせことができるという。 新しい経験にチャレンジすることは、認知の健康状態を高めることができ、脳は新しい趣味や外国語を学ぶと、活性化する。

 「 もし、幸運にも旅の有無を選べる幸運な立場にいるなら、冒険をし、世界を探検すればよい。それは脳も喜ぶはず」とガーディアン紙は結んでいる。

 なんといっても、環境やステレオタイプな発想を一番手っ取り早く変える方法は、海外に飛びだすことだろう。そこで精神は解き放たれ、非現実的な発想( Blue-sky thinking )が生まれる土壌ができ、それがクリエイティブな発想や思考を醸成するのではと考えた。

「2016年は"ギャップイヤー2.0"の時代!」(砂田 薫)

※この記事は、BLOGOS にも掲載されています。⇒http://blogos.com/outline/152588/

明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。

"ギャップイヤー2.0"の時代は、ギャップイヤーの人材育成機能がより公的に認められ、予算化される!
 さて、昨年の日本におけるギャップイヤーの話題は、なんといっても大学の学外学修(体験)の一環として"ギャップイヤー・プログラム"が文科省の予算付けされて誕生したことだろう。初年度の平成26年度は、神戸大学など10大学・1短大・1高専への予算配分が決まった。(参考記事:2015年8月1日付「今秋から新たに10大学で"ギャップイヤー制度"が誕生する!」-JGAP代表ブログ http://japangap.jp/blog/2015/08/10.html )

 これまで「ギャップイヤー・プログラム」はあくまで大学の学内の自主予算で、東大や国際教養大などが導入してきたものだ。今後ギャップイヤーが、その人材育成機能により公に認知され、文科省予算がついてくるわけで、私はこれを「ギャップイヤー2.0」と呼称している。また、その特徴として、何も必ず休学して1年間、社会体験(ボランティア・課外留学等、旅)や就業体験(インターンシップ・ワーホリ等)を行うというものでもない。夏休みや春休みを活用したものが開発されてくる。期間については、英国やJGAPの定義では「概ね、3ヶ月から2年」であり、2012年に誕生した米国のAGA(米国ギャップイヤー協会)の定義は、「2ヶ月以上」とさらに短期化している(ちなみに、英国には3ヶ月未満はmini gap という呼称もある)。

 「ギャップイヤー1.0」は下表にあるように、日本においては2011年だったと思う。5年前当時は、「ギャップイヤー」は"市井の人々"には関心がなく、ほんとうに一部の識者か教育関係者、あるいは英国圏に留学した人か、住んでいた人くらいの話題であったと言っても過言ではないだろう。だからこそ、JGAPはその啓発と理解促進のため、ギャップイヤー経験者の若者のエッセイである「フロンティア・フォーラム」をこれまで200編以上掲載してきたり、海外のギャップイヤー情報を150編以上発信してきた。
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企業の人事部門はギャップイヤーの重要性を理解している!
 しかし、今日では少なくとも、東大や国際教養大の卒業生を採用するような企業の人事関係者は、間違いなく理解しているし、経団連の昨年の「グローバル人材調査」を観ても、企業のギャップイヤーへのポジティブな評価は明らかであり、その人材育成機能に期待している。

(参考記事:2015年10月29日付JGAP「経団連『グローバル人材の育成・活用アンケート』にみるギャップイヤーの好評価!」http://japangap.jp/info/2015/10/post-198.html )

 先週「海外留学のEF Education Firstの調査によると、日本でのギャップイヤーの認知率は現在わずか20%。ギャップイヤーについて説明できる割合は、さらに下回って14%というのが現状」という記事を見かけた。読んでみると、12月11・15日に「ギャップイヤー」に関する意識調査を実施した結果で、調査は海外留学の EF 公式 twitter アカウントをフォローしているユーザーを対象に、twitter のアンケート機能を利用して行ったとのこと(サンプル数:760)。

 調査手法・対象と回答者にどれだけの意味があるかの議論もあるが、まず、5年前当時の"市井の人々"の認知率に比べたら大きな伸長であろうし、まして日本の窮屈な「ストレートでシームレスな高大接続」の一本かぶりの多様性なきキャリアの価値観に風穴を開けるギャップイヤーが、一般の人々を対象とした調査で、"5人にひとり"も知られるようになったというのは福音であり、希望だとも私は思う。加えて、前述のように、企業の人事部門は、経団連の463社調査でも「大学に期待する取り組み」として、ギャップイヤーはベスト4に上るほど、関心は高い。
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 全文は以下の経団連サイトから読める。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2015/028.html


青年海外協力隊も地域おこし協力隊、ティーチ・フォー・ジャパン(TFJ)、「トビタテ留学!」の一部の活動もギャップイヤー!
 今年は、先述のように文科省予算がついており、新たに12高等教育機関にギャップイヤー制度が導入されるし、戦略的に導入する大学も増えるだろう。また、導入されていない大学の大学生も高校生の一部も、これを契機に自主的にギャップイヤーを取得する層も増えることだろう。そういう底辺拡大を認めていく、あるいは柔軟にサポートする社会が必要だ。現に、JICAの青年海外協力隊も地域おこし協力隊もティーチ・フォー・ジャパン(TFJ)の活動も"就職"ではなく、文科省の「トビタテ留学!」の一部(多様性理解やスポーツ留学等のカテゴリー)も、直接標榜していなくても定義上1~2年の有期"ギャップイヤー・プログラム"であり、それぞれ価値を既に社会に提供しているのではないだろうか。

 ギャップイヤーは、comfort zone(ぬるま湯、日常性)から抜け出して、親元や教員から離れていわば"修行"することに意義があり、それは国内外の社会的課題を解決する人材、グローバル人材、そしてリーダーシップを持った人材を生み出すことが知られてきた。

 「ギャップイヤー2.0」時代は、ギャップイヤーが実体験(real experience)の欠乏している日本の高度人材育成に貢献し、従来のキャリアの価値観を根底から変える力を秘めていると私は考えている。

※「海外ギャップイヤー事情」100超記事の一覧リスト(右ナビ)→http://japangap.jp/info/cat44/新4階層 ギャップイヤー.jpg
  

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