代表ブログ Jギャップは社会変革のイニシャル!

「ギャップイヤーには、自主的な『プラン』と『プログラム(制度)』があることは否定できない!」


※この記事はBLOGOSでもお読みいただけます→ http://blogos.com/outline/64992/


 アイビーリーグに属するペンシルベニア大学(英語: University of Pennsylvania)は、1775年に設立された米国ペンシルベニア州フィラデルフィア市に本部を置く米国を代表する名門私立大学だ。

 常に米国大学ランキングでトップ5にランクインし、世界大学ランキングでもトップ10の常連の米国を代表する名門大学として不動の地位を保っている。これに異議を唱える人はいないだろう。

 そのペン大公式ウェブのキャリア・センターのページに「Gap Year Program(ギャップイヤー制度)」という欄がある。そこには、貧困層の学校にエリート大学の卒業生を送り込んで教育革命を起こすことを目的としたティーチ・フォー・アメリカ(TFA、約2年)や、ケネディ大統領が創った国際ボランティア活動のピース・コー(平和部隊、約2年)、そして国内フルタイム・ボランティアのアメり・コー(約1年)などが、大学卒業後のキャリアとして紹介されている。

 
 ヤフーのTHE PAGE 6月25日付記事「就職活動に有利にはならない? ギャップイヤー『制度化』について考える」に、その最後に以下の文言がある。

「システム化してきた感のあるギャップイヤーですが、そもそもレールから外れることが一つの意義ですから、制度化すること自体がナンセンスで、大学などの学校機関が制度化してしまったらレールの内側になってしまうわけです。制度化するのではなく、制度から外れたが、オリジナルな経験を積んできた若者を受け入れる社会を作っていくことが必要なのではないでしょうか。」

 私は、まず「就活に有利か」などと、見出しがあざとくナンセンスだと思っている。また、問いのレベルが残念すぎて不快だ。しかも、ギャップイヤーがテーマなのに、海外の事情が一切カバーされていなく、ガラパゴスな情報不足。「制度化」については、もちろんギャップイヤーは、若者が自主的に自分でプラン(計画)を立て、社会体験(ボランティア、国内外の課外留学、旅)や就業体験(インターン等)に3ヶ月以上2年繰り出すことが、英国のもともとの定義で本筋だろう。

 しかし、「制度化」だから、「レールの内側」と簡単に決めつけるのは、世界を見ていない。「制度」か「制度」でないかは、ギャップイヤーの本質ではない。例えば、ギャップイヤー発祥の英国でも国内の社会的課題の解決を目指すYear HereというNPOが、昨年から高卒の大学入学前の若者向けに、ソーシャル・イノベーションを目指すギャップイヤー・プログラムを誕生させた。もう何十年も創造的なリーダーを輩出させている米国のTFAやJICAの青年海外協力隊の原型であるピース・コーを制度であるから「レールの内側」というのは乱暴すぎるし、それこそ「単線思考」で説得力がない。

 日本でも島根県津和野町の町長付インターン制も1年のギャップイヤー制度だが、立派な成果を出している。プリンストン大や東大や国際教養大学の「ギャップイヤー制度」もギャップイヤーの進化で、成果を個別に判断していけばよいだけだ。世界のギャップイヤーには「プラン」と「プログラム(制度)」があるのは、好むと好まざるとに関わらず事実だ。重要なのは、制度うんぬんより、親や教員が守ってくれるcomfort zone(安全地帯)から抜け出る環境を作れるかで、そこが社会修行であるギャップイヤーの真髄だ。

 関心あるプログラムや制度に自主的に関与し、選んでいく。それを契機にオリジナリティを発揮させ、社会に力強く関わり、チャレンジしていく。そのプロセスのどこがレールなのだろうか。ヤフーの一文に関わった人達は、下述のペン大のワクワクする多様な「ギャップイヤー・プログラム一覧」を見て、うわべの単純なステレオタイプに陥っていないか一考してもらいたい。

ペンシルベニア大学キャリア・センターの「ギャップイヤー制度一覧」紹介ページ
http://www.vpul.upenn.edu/careerservices/undergrad/servicegapyearprograms.html

「アメリ・コー」について
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/jiritu/02/siryo02-3.html

英国:Year Here
http://yearhere.org/

島根県津和野町の町長付インターン
No.78「なぜ東京の若者が島根・津和野で、"町長付"ギャップイヤーなのか?!」 福井健さん(国際基督教大学2年=一時退学中)-エッセイ集 フロンティア・フォーラム http://japangap.jp/essay/2012/07/post-27.html

日本初!「ギャップイヤー白書2013」
http://japangap.jp/info/%EF%BC%91%EF%BC%93%E7%99%BD%E6%9B%B8%EF%BC%91%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8%E7%89%88%E3%80%80gapyear_hakusyo2013.pdf

ギャップイヤーの4層構造
0519新ギャップイヤー4層構造.jpg

記事一覧

代表ブログトップページへ戻る