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「ギャップイヤー経験者が10年で倍増し、しかも非経験者より就学力が高い!」(豪州・国立教育機関調査等)


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 「ギャップイヤーをした高校卒業生は、大学にちゃんと戻る可能性が高い」という研究成果が得られたと、オーストラリアのオンライン教育サイト「InformED」が3 月 26 日付で伝えている。

 その記事をかいつまむと、次のようになる。
 高校生を持つオーストラリアの両親の心配は、大事な子どもが高校卒業後、大学入学までの期間(例えば1年 )にギャップイヤーを取ると、興味を失い大学に戻らず、その後迎える人生において、低賃金で行き詰まりを迎えると懸念してしまいがちだ。

 国立職業教育研究センター(NCVER)が昨年6月に発表した研究(注1)では、その懸念をよそに、真逆の結果となった。高卒後大学入学前のギャップイヤー生は、ほとんど大学に入学し、非経験学生より修学に関心を持つ。また同調査では、ギャップイヤーを経験する若者が2000年から2010年の間で倍増し、20%になっているという。

 ギャップイヤーの中身は、就業体験関連(インターンシップやアルバイト) が40%、社会体験関連(課外の留学・研究や何らかの訓練)が33%、主活動が旅という学生はわずか3%止まりだった。つまり、多くの若者は、堅実で費用はかからない選択をしていることがわかる。

 シドニー大学の教育研究者であるアンドリュー・ マーティン教授も別研究で、高校在校時に学業成績が振るわなかったり動機が未熟な生徒がギャップイヤーを経験すると、大学進学後、非経験者より就学力が高いことを統計的に証明した。

 もう一つ別の研究者の調査では、24歳までにギャップイヤーを1年なり2年取ると、非経験者より収入が低くなっているが、それは働かず所得がないなら当たり前だ。一般に、ギャップイヤーを取ると、その期間にやりたい目標を特定でき、探究できる。さらに、多くのギャップイヤー経験者は、課外留学とボランティアなど組み合わせて行うので、大卒後に、必要なソフトスキルや自身の採用可能性を高める。

 大学入学前に "comfort zone(居心地よい日常)"から抜け出し、人に多く会い、他の文化に触れあうことは、その後の高等教育に対する考え方や意思決定に大きな影響を与える。目的を持って海外ボランティアやインターンなどでギャップイヤーを取ることは、国際経験を重視する将来の雇用主にアピールすると、「InformED」はまとめている。

 今や大学学部程度で習う「情報」だけなら、ネットで取れる時代。但し、それは、いわば"ぶつ切り"状態。重要なのは、それを正しく賢く整理し、リアルな「社会体験(ボランティア・課外留学・旅など)」「就業体験(インターン・一時雇用等)」を通して適用具合を見ていく。その重要なツールがギャップイヤーだ(下図参照)。はやりのPVL(課題解決型授業)やアクティブ・ラーニングは、座学とギャップイヤーの間に位置するものと私は捉えている。

 ナマな「体験」をその体系である知の「経験」に仕立てていく作業を大学で行っていく。座学中心の大学教育も大学自体の役割も、時代に即して大きく変わっていかざるを得ないと考える。


(注1)国立職業教育研究センター(NCVER)の調査結果: http://www.ncver.edu.au/publications/2496.html  

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