代表ブログ Jギャップは社会変革のイニシャル!

「日本におけるギャップイヤーの1年を総括 "トピックス・ベスト3"~第1位は、産官学民によるギャップイヤー議論開始!」

ギャップイヤーは、従来の「空白の期間」を「機会」にトランスフォームする概念
 この1年は、日本でもいたるところで、「ギャップイヤー」という言葉が飛び交うようになった。それはネット上に留まらず、身の周りの大学や企業の人事周りでの日常会話でも語られ始めた。米国では、大学のキャリアセンターが卒業した後のキャリアとして「ギャップイヤー・プログラム」をウェブサイトで紹介したり、説明会を実施したりしているところも出現してきた。

 ギャップイヤーの取得時期は、日本ではまだ未発達ゆえ「自主的な休学」が多いが、transition(接続)期のタイミングが自然で、高校卒業後大学入学前か大学卒業後が主流だ。また、個人単位で「計画(プラン)」していくものと、「プログラム(大学や非営利機関等)」がある。後者の例は、米国では2年任期の国際ボランティアのピース・コー(平和部隊)」やTeach For Americaなども含まれる。日本に置き換えると、それはJICAの青年海外協力体やTeach For Japanなどがそれに該当する。仮にギャップイヤーという言葉を使用しなくても、その概念や価値観が共有されつつあるのがわかるだろう。


快適空間(comfort zone)から抜け出し、非日常下で実体験(real experience)をすることが大事な時代
 「知識・知見の共有」という点では、世界の名門大学の講義がネット上で、無償で受講できる時代に、重要なことは、これからの日本の若者が自発的に快適空間(comfort zone)から抜け出し、非日常下で実体験(real experience)をすることだろう。本格的な国内外の社会体験(ボランティア・課外留学・旅等)や就業体験(インターンシップ・ワーホリ等)を意味するギャップイヤーが、若者の人材育成に寄与し、リーダーシップを備えた「グローバル人材」と「社会的課題挑戦型人材」を輩出するのは自明で、それを正当に評価し、取得しやすい環境を創るのは"おとな"側の責務だと私は考えている。

 日本では、残念ながら、世の中が変わったのに、極度の"ストレート主義"が未だ横行している。高校から現役で大学へ行き、「新卒一括採用」で企業に"真っさらな"まま入社するのがよいという労働慣行や価値観は、「高度成長期モデル」である終身雇用(正社員採用)と年功序列を背景としたものだった。それが徐々に立ちいかなくなってきているのは、「人員削減、希望退職、社内失業、倒産、中間管理職の削減(OJTの困難さ)、非正規雇用の増加、新卒3年で3割以上退職」などの事象を日々目の当たりにして、多くの人も気付いていることではないか。

「マーケティング」という概念同様、ギャップイヤーも広がる!
 マーケティングという概念が1960年代に日本に入ってきて、最初大企業でホット・イシューになり、そして年月を経て中小企業にも適用された。それがどうだろう、いまや行政や大学の非営利セクターまで広がり、浸透した。ギャップイヤーの概念は、時代が求めている"人材評価の指標"であり、いわば日本の「人材評価システムの変革」につながり、マーケティングの普及プロセスと似ていると私は感じている。現に企業の面接で、ギャップイヤー経験をした就活生が、ギャップイヤーの説明をしなくても、「そこでどんな失敗や困難があり、何を学び、今の自分にどう影響を与えたか」など、実質的な議論になってきている。つまり、ギャップイヤーは、従来の「空白の期間」を「機会」にトランスフォームする言葉なのだ。

 以下私が勝手に選んだ昨年のギャップイヤーを巡る「3大トピックス」だが、今年はどう進展するのだろうか。それは大学が鍵を握っていると思っている。なぜなら、ギャップイヤーは従来「課外活動」で大学の教学とは一見遠い存在だった。ところが、大学は「座学」を脱し、クラスルームを飛び出し、より社会と向き合った主体的なPBL(課外解決型授業)やアクティブ・ラーニングがもてはやされるようになってきたからだ。

 その"究極"の形は、実は教員や親元から離れた中での社会修行であるギャップイヤーに他ならない。企業のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)も会社人事ヒエラルキーがフラットになったおかげで、人事が笛吹けど、地頭がよいだけの"まっサラな"新卒者をこれまでのようにケアできる会社は実際少ない。そうなってくると、ある程度、社会や非日常化で"慣らし運転"をして揉まれ耐性をつけてきた"ギャップイヤー経験者"が待望されるのは当然だ。また、そのような企業人だけでなく、起業家精神を持った若者の創出にも大きく寄与することだろう。

第1位
 文科省の「学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議」が昨年10月から始まった。この会議は、簡単に言うと「大学の秋入学と半年ギャップイヤー」の導入策を考える文科省の会議。東大総長や経団連副会長をはじめ産官学民各セクターの代表16名が委員として名を連ねる。議論を踏まえて、本年3月に報告書が出る予定。
(参考サイト)http://japangap.jp/info/2013/12/2.html 

第2位
 ギャップイヤーの効用が、世界で実証されてきた。
オーストラリアでは、「高校卒業後のギャップイヤーは、帰還後2年間、大学での成績向上に直結」という調査結果が9月に発表された。
(参考サイト)http://japangap.jp/info/2013/11/-gap-year-34university.html 

第3位
 ギャップイヤーの研究・推進・啓発をミッションとする非営利団体であるJGAPの公式ウェブサイトの月間訪問数は、4.5万人レベルに伸長。世界のギャップイヤーの情報やギャップイヤーを経験した学生のエッセイなどが人気で、平均滞在時間は分半とじっくり読まれている。
(参考サイト)http://japangap.jp/info/2013/11/jgappv3212pv43-1.html 

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