「大学秋入学と半年ギャップイヤー」 "産(採用企業)官学民"の動向更新(5月20日現在)
1.1月25日 国家戦略会議
野田首相は「大学秋入学は大変、評価できる動。グローバル人材の育成に関して、これからも官民挙げて議論したい」。
同日藤村修官房長官は「大学が秋入学を行うための環境整備を政府として検討する」とし、27日の各府省連絡会議で、事務次官らに対応を指示する。企業の採用活動への影響や、高校卒業から大学入学までの半年間のギャップイヤー期間の過ごし方などに関して論議し、支援策を検討する見通し。経団連・米倉会長「全面的に支持する」
三井物産・雑賀大介常務「すでに春採用だけではなく、夏季採用も実施中。さらに柔軟な通年採用に向けて検討」、「企業も協力して応援したい。秋入学は実施すべき」(FNNニュースより)
慶大・阿川尚之常任理事「東大学の秋入学検討を、慶応として高く評価。これまでの日本の大学のあり方を、ひとつひとつ考え直すいい機会」と発言、半年ギャップイヤーは「個々の学生の問題であると同時に、大学がいろいろな選択肢を考え、選択肢を提供すること」とし、JGAPが提唱している「個人提示プレゼン(国際教養大学型)」と「大学プログラム(米国・プリンストン大型)」の併用を示唆している。(FNNニュース、JGAP資料より)
2.1月26日東大・記者懇談会
東大濱田総長は、秋入学移行の大学間協議組織(4月設置予定)は10~20校程度を中核にしたいとしている。
既に参加を呼びかけている国・私立の有力11校が中心だが、秋入学に関心ある大学と広く連携し、緩やかな連合体を形成する。ただ、関心が全国的規模になり、参加大学に限定した議論は望まないとし、産官の交渉を円滑にするためにも、広く議論の場に参加できるようにするとしている。
産学で採用時期の見直しなどを話し合う協議組織についても大企業だけでなく、「中小企業や地方企業の団体とも議論したい」と参加を求める方向だ。
※5年後の導入を目指す濱田総長の構想では、政府や企業などとの協議を通じて環境づくりに、まず2年程度を充当。さらに、受験生に3年前には入試の変更点を周知する慣例に従い、3年間は周知期間を置く。文科省は08年、大学の学長に入学の時期を決める権限を与えている。東大は今後、教授会などの意見を聞くが、最終的な決定権は総長にある。
3.1月26日 筑波大学・山田信博学長定例記者会見
「できるだけ前向きに取り組みたい。27日に教職員ら20人規模の検討委員会を学内に設置し、本格的な検討を始める」と話した。
山田学長は建学理念で国際的に通用する人材輩出を掲げていることを例に、「まずは教育を国際標準に合わせることが始まり。日本の大学が国際化のなかでガラパゴス化していくのは、私自身ちょっと耐えられない。浜田純一総長とは数年前から秋入学に関して、意見を交わしていた」と話した。
高校卒業から入学までや、卒業から就職までのギャップイヤーついては「その間に様々な経験を積むことが大事。在学中の1年半を就職活動にあてている現行制度のほうが、教育期間として窮屈」と述べた。
4.1月26日千葉市・熊谷俊人市長定例記者会見
「千葉大は作業部会を23日に設置して検討を始めた。秋入学移行について、大学教育の国際競争力を維持する観点からも避けて通れない」と述べた。移行後に想定される外国人留学生や教員の増加に対応する必要があると認識を示した。
市長は大学教育の現状について「世界とある程度、基準を合わせないと立ちゆかない」と賛同し、「外国人留学生や教員の増加などで市内の外国人比率が上昇する」と指摘した。
5.1月27日藤村官房長官 各府省会議(事務次官を集めた会議)
政府は今後、秋入学への移行に向け、大学当局をはじめ、学生や企業などを全面支援する方針。
藤村氏は、「卒業生の雇用、卒業後の期間の取り扱いなど、環境整備が必要だ」と述べ、各府省の次官らに協力を求めた。
6.1月30日 広島大学・浅原利正学長定例記者会見
「世界で活躍する人材育成のために、検討するのは必須。4月に検討するチームを設ける」と発言。導入時期や課題解消に向けた議論を始める。東大他が実施する協議会に参加するかどうかも検討する。
7.2月6日 経団連の教育問題担当の川村隆副会長(日立製作所会長)発言
「東京大学が秋入学への移行を話し合うため企業やアライアンス大学に呼びかけている協議体に参加」と語る。
また、入学までの半年ギャップイヤーを入学予定者がどう過ごすかについて「企業の研究室を見てもらう等、様々なやり方がある。企業と大学でメニューを用意したい」と、企業見学やインターンシップを大手企業で広く受け入れる考えを示した。また、望ましい過ごし方として、被災地ボランティアなどの社会貢献活動を挙げた。
その上で「企業の採用でも、学生が(入学までの)半年ギャップイヤー期をどう過ごしたかを評価対象とする。その評価基準は事前に公表する。英国の先例でも、学生の経験に点数をつけ、採用面接でも話題にしている」と回答。
8.2月9日 愛知県学長懇(愛知県全49大学、代表幹事:名大・浜口道成代表幹事)で秋入学の是非が議論
名大の浜口学長は、東大が呼びかけた秋入学についての協議に参加する意向を示したが、「秋入学を導入する移行期は半年間、学生の授業料が入らないなどの問題がある」等も指摘した。
また、外国人留学生の受け入れ数増加策についても意見交換。留学生が住宅を借りる難しさがあるとして、佐藤元彦・愛知大学長は「公営住宅を大学が借り切って留学生に提供する」案を示した。 会議には、大村秀章知事、河村たかし名古屋市長も参加した。
9.2月11日 秋入学に医師国家試験は壁か?年2回に厚労省難色
医師国家試験は現在2月に3日間の日程で行なわれている。夏に医学部を卒業する場合、半年も試験を待つことになる。そのため、東大は試験を年2回に増やすよう求める方針だが、「一部の大学の都合で制度を変えるのは非現実的だ」との声があがっている。
秋入学に移行した場合、優秀な学生は春に卒業させる「早期卒業制度」の導入を検討している。だが、医学部は臨床実習などが詰まっており、カリキュラムの短縮や卒業試験の前倒しは困難だという。
このため東大では、医師国家試験を通常の2月のほか、夏に増やすよう国に求める方針。1946年に始まった医師国家試験は、84年まで基本的に年2回実施されていた。厚労省では、「医師国家試験を年1回に減らしたのは、医療技術の高度化に対応のためで、増やすのは厳しい」(医事課試験免許室)と難色を示す。
10.2月14日世論調査「秋入学への移行について、半数の49.8%が"必要"と回答」(産経新聞社・FNN合同)
産経新聞社とFNNが実施した合同世論調査では、東大などが検討している秋入学への移行について、半数の49.8%が「必要」と回答、世論も「世界標準」の秋入学への移行をおおむね歓迎する結果となった。小中高校への秋入学移行を望む意見も半数近く(49.3%)に達し、一貫性あるシームレスな入学制度を望む声が多い。
秋入学は「必要ない」との回答は35.0%。早大のように春秋2本立ての入学制度を採る方針の大学もあるが、調査では春秋併存に対する賛否が拮抗。併存の「必要なし」は4割を超え、入学時期の一本化を望む声も強いことがうかがえる。
11.2月15日「日本貿易会」記者会見 槍田会長
大手商社等でつくる「日本貿易会」の槍田会長は、15日、「現在、多くの企業が行っている春の一括採用の見直しに向けて、今後、経済団体と連携して提言をまとめていきたい」と発言した。
「今の体制では、国際的な競争に耐えられる学生の教育ができていないという問題意識はわれわれも同じで、産業界も実現に向け、最大限の努力をしていきたい」と述べた。
その上で、新卒一括採用を見直し、通年採用を行っていくなど今後の採用の在り方について、経済団体と連携して提言をまとめていきたいという考えを明らかにしました。
12.2月27日大学秋入学への対応を協議する「グローバル人材育成会議(議長:古川元久国家戦略相)が初会合
国家公務員の採用時期などに影響するため、法整備を含めた議論を5月にまとめ、6月に野田総理が議長を務める国家戦略会議に報告する。
春入学と秋入学に分かれた場合も想定する。ギャップイヤー期間中の学生の処遇については、活動の評価や国民年金保険料の学生給付特例の見直しなども検討する。大学秋入試の基本的スタンスは「産学の自主的な議論」を期待し、環境整備が必要な課題解決に向けて幅広く検討を開始する方針。
また、4月の新卒一括採用の現状の見直しも焦点の一つ。当面は公務員の採用方法の見直しを議論し、民間企業にも対応を呼びかける見込み。
5月に第2回会合を開くが、その前に外務・文科・厚労・経産の4閣僚と長浜官房副長官による幹事会で具体的課題を詰める。
13.3月7日「秋入学広がれば6割の企業が採用時期を見直す」(朝日新聞朝刊)
東京大学などが秋入学への移行を検討し始めたことを受け、国内の主要100社に新卒採用での対応を聞いたが、61社が採用時期を見直すと回答。現在は春採用が中心だが、秋採用枠を新設したり、春秋2回本格分散採用、優秀な学生を獲得するため、応募を随時受け付ける通年採用に切り替えたりすることを検討している。大学側の準備が順調に進めば、採用時期の分散化が進むだろう。
このうち27社は秋採用の新設や拡充を検討していると回答した。現状では、秋採用の対象は海外の大学を卒業した日本人留学生や外国人学生が中心で、採用規模も小さい。その枠を広げ、「春と秋の2回、本格採用する態勢を整えたい」(電機)との声が、海外で事業を拡大するメーカーなどから多く上がった。
尚、秋入学自体の賛否を問うと、「賛成」は42社、「反対」は1社で、「わからない・無回答」が57社と最も多くを占めている。
14.3月16日東工大は「春入学、授業は秋から」を検討へ
学内改革を検討している東工大の委員会の部会は、欧米の大学で一般的な秋入学に対応するため、春入学を維持しつつ授業開始は9月にする方向で議論していることが分かった。海外に出たい学生や、すぐに勉強したい学生もいるため、予備的な教育も含め、大学が責任を持ってプログラムを用意する方針。
海外の大学との間で学生や教員の交流を活発にするのが狙い。4月に中間的なまとめとして方針を学内に示し、さらに検討を進める予定。尚、 東大が呼び掛けた秋入学について話し合う協議会には東工大も参加する方針。
15.東大~今夏から在学生に半年ギャップイヤー(ギャップターム)を先行してボランティアや留学
東大・浜田純一学長は5月19日の同大学祭「五月祭」で講演し、「秋入学は教育の質向上と国際化対応を目指す社会運動であり、東大はその先頭に立つ」と挨拶した。
秋入学に伴って発生する半年のギャップイヤー(ギャップタームと呼称)については、今夏から在学生にボランティアや留学といった体験活動をしてもらい、その成果を高校卒業から入学間までの過ごし方の検討材料にするとの方針だ。卒業については、3年半や4年超も
含め、"一律"でなく、柔軟にする考えもあると述べた。
※秋入学構想の狙いは、教育・研究の国際競争力の確保。海外の大学で多い秋入学に合わせることで、日本の大学の国際化を目指す。
(参考)
2011年12月22日 国家戦略室 「日本再生の基本戦略」発表 「 我が国経済社会を支える人材の育成」
ギャップイヤー(GY)の表記は以下のところにあった。
「産学協働人財育成円卓会議の活用等を通じ産学の共通理解を醸成し、通年採用や卒業後3年以内の新卒扱い、GYの普及・促進、採用活動の早期化・長期化の是正等、企業の採用慣行の改革を促す」
※これまでの「 グローバル人材の育成」の文脈ではなく、JGAPが主張していた「 企業の採用慣行改革の促進」の中にあった。


