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「ギャップイヤーが若者の人材育成に寄与するキーワードは、TTPBICの6つの頭文字」

 前回もこの欄に記したが、世界でギャップイヤーに関するブログや、つぶやきは世界的に確実に増えている。
米国のギャップイヤー協会(American Gap Association)の次のデータにあるように、ギャップイヤーの話題が増え、関連イベントなどの回数や参加人数が急伸し、関心度数が高まっている。

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世界の若者のギャップイヤーに関するブログやツイートを調べてきて、私はギャップイヤーが若者の人材育成に寄与する論拠のキーワードは、以下6つあると考えている。それは頭文字から、「TTPBIC」だ。


Timing(タイミング)
  "人生80年時代"と考えると労働期間は50年以上となろう。そう考えると、感受性豊かで、心身共に吸収力の高い学生や若者である間に、学業以外の多様な社会経験(ボランティア、課外の国内外への留学、旅)や修業体験(ボランティアやワーホリ)に、一定期間集中する期間が、人生においてベストである。多くの生徒は高校卒業まで絶え間なく、小学校以来12年も通学し続けている。異文化理解や視座を変える、あるいは大きくするためにも、ギャップイヤー期が、人によって、1~2年くらいあってもむしろ自然ではないだろうか。日本企業だって、ヤフーのように、社員が最長1年間の休みを取れる「ギャップイヤー制度(無給で使い道は自由のサバティカル休暇)」を検討する時代だ。とにもかくにも、人材育成は「学業」だけで成立するものではなく、「社会体験・就業体験」の総和か掛け合わせではないだろうか。

Travel=Life Experience(旅は、人生経験そのもの)
 旅がもたらすものに、これまで私たちは過少評価をしていなかったか。例えば、満ち足りた日本から途上国に行く、東京や大阪の都会から被災地や限界集落でボランティアやインターンに行くということはcomfort zone(快適空間)から飛び出す勇気であり、個人の資質として異文化理解や多様性理解が進み、"おとな"として成熟して(mature)戻ってくることが期待される。経営者としても重要な要素である、主体性やリーダーシップ、タイムマネジメント(時間管理)も習得するのではないか。「かわいい子には、旅をさせよ」の諺は、日本の若者の人材育成の要諦を現していると考える。

Preparation(準備)
 高校を卒業して、ストレートで18歳前後で大学(高等教育機関)に行き、社会に出るための"学びの集大成"に入るが、大学で何をしたいか学びたいか、まだはっきりしない生徒も多い。何を大学で専攻するかの基準が定まらない。実はこれは、世界の若者の共通の悩みといってよいだろう。だから北欧では、高校卒業後のギャップイヤーを半数以上の若者が取得する。日本の場合、公立重視で"偏差値"を基準に現役で入学できる大学を選んでしまう。そして、入学後納得がいかない学生が増えている。学びの明確化、バーンアウ・中退防止、専攻変更回避のためにも、大学入学前のギャップイヤーで、社会性を得て、何に価値を置き、何を学びたいか、じっくりその後の大学でのキャンパスライフを頭に描き、整理・検討する時間、準備期間が必要となってくる。

Break(休息)
 根を詰めた大学受験勉強をした生徒には休息も必要だ。初等教育・中等教育と休みがなかった"一本道の詰め込み教育"から、違う視点で物事や将来を見据えるため、ルーティーン化した「学業」、教員、あるいは親から離れる。その一時期の安息は「個」の確立を呼び、いわば青春の"麦踏期間"だろう。

Independence(独立心)
 20歳の成人式を超えても、大学生であるなら、学費に関しては親の全面支援や生活の庇護が当然の日本。しかし、独立して別の生計を営む日は目前となっている。その"予行演習"や"仮免許取得"のためにも、高卒後や大卒後(あるいは休学という手段で学部内で)、ギャップイヤーを取って、学費や生活費用の工面、旅行費用を稼ぐというキャリアが自然となるのではないか。現在雇用吸収力の高い各企業に入社しても、"失われた経済の20年"のため、組織がフラットになっており、課長や係長といった職制でない余裕のない、しかもインセンティブのない社歴の浅い先輩が、ビジネス・プロトコールやノウハウを新人に教えるような危うい組織も多い。「新人教育」が人事部の掛け声通りにならない構造の中、学生時代に有償インターンシップや、本格的アルバイト、1年有期雇用などのためのギャップイヤーが今後注目されてくるはずだ。

Confidence(自信)
「他人の釜の飯を食う」の精神で、勝手知ったる親や自宅の庇護から離れ、外部機関でインターンシップを行うと、多少の失敗をしても、その人生修行は、その後の人生に自信と生きた知恵を吸収でき、resilience(弾力性)やキャリア観の醸成に貢献する。

 ギャップイヤーがもたらす若者の人材育成の要素は以上の6点であり、私は頭文字を取って、「TTPBICの法則」と名付けている。

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