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期待したい文科省の「就活"早すぎ"」対策のイニシャティブ~「大学4年秋」移行への期待


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 文科省は、大学3年生の12月から本格化している大学生の就活について、「修学環境妨害」「学生が十分に学業に取り組めていない」という批判や指摘があることから、省内に検討チームを設け、就活の開始時期などを検討する方針を固めたという( 出所:2日のNHKニュース)。

 昨年度から就活解禁が「大学3年の10月」から「12月」になっただけで、「就活準備時間が短くなり大変」といった報道もあったが、いわゆるキャリア(ここでは生き方・働き方の意)を考える上で、「就活=就社」というレールしかないように煽(あお)る、あるいは思わせる現状は、大学の修学環境に悪影響を与えていることに異論を唱える人はほとんどいないと思う。学業は二の次で、早い学生でも半年、へたをすると卒業までの1年半、プレシャーを感じながら神経をすり減らし、狭い都市空間(端的にいえば、東京駅、新宿、渋谷)を右往左往して、どうして"国際競争力ある高等教育"が実現できるのであろうか。人気企業200社の雇用吸収力はたかだか毎年2万人。就職したい大学生は45万人。時期が同じで一斉に就活するため、「混雑」が生じて、企業も学生双方とも、不毛で表面的で落ち着きのない"椅子取りゲーム"が続く。ひいては、この壮大な無駄なエネルギーが、日本の人的国力を落としていくのは自明だ。

 整理すると、現在大学生の就活は、現在経団連の「倫理憲章」に沿って、企業の就職説明会は3年生の12月以降に、また面接などの選考活動は4年生の4月以降に行われている。 文科省の「就活」検討チームは、就活の問題点について、大学の担当者や学生からヒアリングを行うとともに、企業側からも、就活の開始時期を遅らせた場合、どのような影響が出るのか聞くなどした上で、就活の開始時期などを検討し、関係者が納得できる具体案作りを目指すとしている。 今回は文科省と、それを支える政権のリーダーシップにまずは期待したい。そして、これを成し遂げるには、毎度指摘するように、産(経団連など経済団体と個別企業)・官(文科・厚労・経産3省等)・学(大学)・民(学生・親・一般社会人)の4セクターの理解と後押しが必要だ。

 私は時期については、1970年代に現にあった「就活4年秋」解禁とし、 英国など国によっては卒業は3年制もあるので、卒業論文も本人が希望すれば、柔軟にそれまでに仕上げる道を設ける案を昨年12月1日にBLOGOSでも論じてきた(参考:「新卒一括採用」を就活"解禁日"に考える」)一方、長期的なインターンシップや社会体験(ボランティアや課外の国内外留学等のギャップイヤー)は、学部内で自由にできるようにし(単位認定の有無は個々に大学で議論すればよい)、社会的要請のある就職支援を鑑み、 4年秋以降は学生の卒業前に、就業希望の新卒未就労者を出さないように、タックス・ペイヤーを増やす意味も込めて、 国を挙げて「就活フェア」モードにする構想を示していた。

 私の就職支援の「就活フェア」の考えは、今年1月18日から3月末に設定された文科・厚労・経産3省の連携により実施されている「未内定就活生への集中支援2013」に既に反映されたと言ってよいかもしれない。 具体的には、例えば、厚労省は未内定の学生に"就職を諦めさせない"ため、新卒応援ハローワークのジョブサポーターと大学の就職相談員との連携を進め、ジョブサポーターが電話連絡等で新卒応援ハローワーク等の利用を未内定学生に対して呼びかけている。文科省・厚労省は、未内定の学生のために、中堅・中小企業を中心とした就職面接会を開催している(大学生向け142回、高校生向け90回予定)。

 また、若年者のためのワンストップサービスセンター(通称:ジョブカフェ)において、未内定者等向けにカウンセリングを実施するとともに、就職面接会を開催する。 その他3省が協力しながら、 中小企業と未内定の大学生等とのマッチングの実施、ハローワークと学校等とが連携し、未内定の学生・生徒をもつ保護者への啓発文書の送付により、就職の現状に対する理解向上、 就活の長期化や内定が得られないことにより心理的負担の軽減のため、新卒応援ハローワーク等に配置した臨床心理士へ誘導し、心理的ケアに努めることなどがある。

 比較論でいうと、日本は韓国・中国、また欧州のスペインやギリシャほど、 大卒者の雇用は悪化していない。しかし、多様な職の就き方をもっと認めていかなくては、偏狭な国、息苦しい国に成り下がることは、凡庸で個性を消したリクルート・スーツ姿に身を固めた"就活生"の目の輝きのなさを見て、つくづく思ってしまう。

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