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米国・中西部ウィスコンシン州の歴史ある名門2大学が、ギャップイヤー制度を導入する!~リーダーシップ教育と親和性が高い


ギャップイヤーはリーダシップ教育と親和性が高い!

 まず、ウィスコンシン大学は1848年創立で、160年以上の歴史があり、世界大学ランキングでも毎年60位前後に顔を出す総合大学だ。この大学は来年度から高校卒業したばかりの大学入学予定者に対し、海外で社会奉仕活動をやることを単位認定する「ギャップイヤー制度」を導入する。大学側は、ギャップイヤーを取得した学生が、帰還後、より学習や研究に集中することを期待している。

 一方、もう一つの大学は1898年創立のカソリック系で「ウィスコンシン州の国際大学」という異名を持つリベラルアーツを基軸とするセント・ノアバート大学だ。この大学は、さらに一歩踏み込み、ギャップイヤー・プログラム(a formal gap period program)を正課で組み込む。これは、新入学生向けにリーダーシップ・コースを取る学期(a semester)にし、米国国内の奉仕機関でボランティアを行い、その後NPOのグッド・ニュース・プロジェクトの支援で海外で6週間の研修を行う。

 つまりリーダシップ教育はギャップイヤーが親和性が高いことを大学が認めているとも言える。トーマス・クンク学長は、地元紙デイリー・ヘラルド・メディア紙の取材で、「このギャップイヤー・プログラムは、学生の自己発見の旅の意味があり、大学での修学やその後の就労準備に資する」と応えている。学生のほうは、もちろん、この期間が「人生観が変わる経験(life-changing experience)」になることを期待する。

 既報通り、大学新1年生に対し、指定のギャップイヤー・プログラムに参加すると、翌年の帰還後には30単位を与えられ、2年生になれる大学がニューヨークで生まれた(2012年9月14日付「ニューヨークタイムズが報じた"ギャップイヤー"をすれば2年生になれる大学がついに出現!」-JGAP代表ブログ: http://japangap.jp/blog/2012/09/12.html )。

 座学や知識の吸収だけなら、オンラインの大学講座も充実してきているわけであり、それで補完できる。座学の批判に、日本の大学はPBLやアクション・ラーニングなどと、教室を飛び出し、より社会との接点を強調するが、まだ不十分なところが多い。社会(採用企業・機関も含む)が期待しているのは、実は日米変わらず、comfort zone(居心地良い空間)から脱却した非日常下でのより実践的、あるいは主体性あるリアル・エクスピアレンス(実体験)だ。

 ギャップイヤーの創り出す親元や教員から離れたところでの社会体験(ボランティア・課外留学・目的ある旅等)や就業体験(インターン、ワーホリ等)で能力や自立心、チャレンジ心を若い内に高めることは、終身雇用が危うくなったり、非正規が増えて、キャリアが非連続になりがちな日本の学生にとっても、「予行演習」「実地訓練」として望むところではないだろうか。

 この歴史ある名門2大学の決断は、米国国内の他大学ひいては日本の大学にも、少なからず影響を与えることだろう。

(関連記事)
2013年10月4日付  半年ギャップイヤーが今後議論! 10/4 第1回「学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議」が文科省で開催された。-ニュース | http://japangap.jp/info/2013/10/104-1.html

2013年6月25日付 「ギャップイヤーには、自主的な『プラン』と『プログラム(制度)』があることは否定できない!」-代表ブログ http://japangap.jp/blog/2013/06/post-25.html

波紋.jpgのサムネール画像
(写真:Brett Jordan)

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