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「12日付ニューヨークタイムズが報じた"ギャップイヤー"をすれば2年生になれる大学がついに出現!」


その名は「ユージン・ラング・カレッジ」
 12日付のニューヨークタイムズ(電子版)の教育面は衝撃だった。見出しは「Lang College Offers Academic Credit for Taking a Gap Year(ラング・カレッジがギャップイヤー取得で単位付与)」と明快。記事本文の書き出しは、「高大接続でのギャップイヤーという考えは、高等教育(大学)への移行の準備が整っていない高校生には魅力がある」とある。

 大学はニューヨーク市内にあり、 "都心型"大学でリベラルアーツを標榜(ひょうぼう)しているユージン・ラング・カレッジ(ザ・ニュー・スクール大学傘下)が、1年間の海外ボランティアのギャップイヤー・プログラムを高卒者に提供する教育系NPO「グローバル・シチズン・イヤー(略称:GCY)」と提携したというニュースだった。

 はたしていかなる提携か。かいつまんで言うと、ラング・カレッジに入学した大学生がGCYに同行し、所定の活動要件を満たせば、1年後に30単位が付与され、帰国して晴れて2年生から学園生活をスタートできるというものだ。同じ米国プリンストン大学のギャップイヤー制度(ブリッジイヤーと呼称)は、"入学予定者"が途上国で社会貢献するプログラムで、1年後は入学して新1年生になる。


30単位付与とは、ギャップイヤーは「1年分の総授業に相当」と考えざるを得ない
 しかし、ラング・カレッジの場合は30単位が付与され「2年生」になるというところがミソで、画期的といえる。つまり、本格的社会体験を意味するギャップイヤーを「大学1年間に受けるすべての授業の内容に相当」と大学側が認めたことを意味する。いわば"構外"にいる学生を遠隔で監督していく立場のステファニー・ブラウニー学部長は、「ギャップイヤーは価値ある学習経験が多々あるが、それに単位を与えるわけでなない。GCYの活動以外の課題も与える」と前置きしながら、「大学の学園生活を始めるにあたり、よい選択。いわば本格的なゼミと1年生のライティング(文筆向上)授業に匹敵」として進級させると言う。実施は今秋からだが、まずは3名の学生がエントリーした。費用の詳細は記述されていないが、「大学入学」しているわけで、どうやら学費は必要のようだ。しかし、プラスしてGCYに参加費などを支払うかは不明である。


ギャップイヤーで身につく"おとな(mature)"度合
 さて、GCYのプログラム自体は、出発前後に入念なオリエンテーションもある。途上国で7ヵ月間滞在し、その国(ブラジル・セネガル・エクアドル)の地域社会に溶け込んで、英語を教えたり、同世代の生徒のメンターをやったり、地域に貢献する技能を移転させることなどが要求される。08年、ハーバード・ビジネススクール時代に今日のGCYの構想を考え事業化したファリック代表は、「参加した生徒は、精神的に大人になり、目的志向で、しかも集中力がつく」「大学の1年生の学寮での活動や教室内での雰囲気をいっぺんに変えてしまう力がつく」と言い、同じ考えを持った大学が今後追随して増えるのではと予測している。


'More Profound' Than Study Abroad
 現在オべリン大学の学生であるソーデック君も2010年にGCYでエクアドルに行った"ギャップイヤー経験者"だが、「ギャップイヤーは、留学よりもより影響が大きい」と断言する。そして「僕の場合は、ギャップイヤーのおかげで大学入学が遅れたが、"1年遅れた"とは感じていない。むしろ"1年、先を行っている"という感覚」と力説する。


"高等教育の人材育成ツール"としてのギャップイヤーの進展はいかに?!
 最後に、数ある米国の大学にあって、ラング・カレッジの評価はどんなものだろうか。ザ・プリンストン・レビューでは、ラングは近年セミナー・スタイルの教育方法が一定の評価を受けて、「米国371ベスト大学」に選出されるなど、地の利があることも手伝ってか、1985年の創立と歴史は浅いが健闘している。ネットでは既に、「ギャップイヤーが社会的認証を迎えようとしている」「高等教育の新しい形で、いずれ"例外(the exception)"から"規範(the norm)"になる」という声が上がっている。はたしてGCYのファリック代表が言うように追随する大学が出てくるか、また日本の大学がこの親元・教員から離れた非日常化での本格的社会体験・就業体験であるギャップイヤーの進展を知ってどう動くか、注目されるところだ。

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