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米国ギャップイヤー事情:ハリウッド・スターのサム・ワーシントンも宗教集団アーミッシュの若者も経験している!


有名な軟派評論家が世の中の親にギャップイヤーを勧めている!
 米国で1978年に設立された子供の未来を考えるペアレンツ・チョイス基金のサイトに、8月31日、20年以上エンターテイメント業界で活躍している評論家のローラ・フライズさんが、「子供にギャップイヤーをさせてあげませんか?」というタイトルのエッセイを書いている。

 ローラさんの両親は 、5 人の子供に大学に行かせるため懸命に働き、多くを犠牲にしてそれを成し遂げたという。そこには、明確なルールが一つあり、「高校卒業後、現役で大学に入り、4年で卒業」することだった。当時は、時代は違った。高卒後、大学に迷わず入学することは、その後の人生の成功のためには理にかなったことだった。

 しかし、「今は違う」とローラさんは力説する。自分たちが学生時代より、今の子供達は明らかに大学に行く準備が整っていないのではないか(kids aren't as prepared for college as they once were) と言う。青少年向けメディアを発行している TeenLife Media 社長のマリー ・ シュワルツも、「高大の接続のギャップイヤーは、一定数の生徒には有益」という考え方をしている。

 彼女が書いた最新の記事によると、「欧州やオーストラリでは長い間、親が子供達に、学校外での経験を通じて責任感と現実生活のスキル(real-life skills)を養うために、ギャップイヤーを勧めている」とある。

 
"ハリウッド・スター"の話題のギャップイヤー体験!
 オーストラリアの西海岸パース出身の"ハリウッド・スター"である俳優サム ・ ワーシントン(1976年生まれ。2009年公開のマックG監督作品の『ターミネーター4』で準主役、同年公開のジェームズ・キャメロン監督作品の『アバター』では主人公ジェイク・サリーを演じた)は、しばしば彼へのインタビューで、高卒後のユニークなギャップイヤー体験について言及する。

 彼はパースで育ったが、彼の父は自分に、たった $400 (32,000円)だけ与え、オーストラリア大陸の反対側(東海岸)に連れてこられ、そこから「自分で働きながら、家に戻ってこい」と言ったという。彼は結局大学には入学せず、その後ハリウッドに行くことになるが、「1年の探検」であるギャップイヤーが、生徒に何を与えるか興味深い話である。

 米国の宗教集団アーミッシュ(注1参照)の いくつかの宗派は、Rumspringa (ラム・スプリンガ、英語ならjumping around )がある 。これは若者(16-18歳間)が、教会で大人の仲間入りをする前に、閉じされたコミュニティであるアーミッシュから飛び出し、外部の生活を1年送る。

「あなたの子供のためのギャップを検討てみませんか?大学の準備に1年をかけるメリットがあると思いませんか?」とローラさんは結ぶ。


ギャップイヤーの効用は、大学入学前に"おとな(mature)"になれること
 欧州やカナダだけでなく、米国でも、今は「ギャップイヤー」が人口に膾炙(かいしゃ)していると、前々回のBLOGOSでも書いた(参考:米国の新聞コラム「10代に直球トーク」に掲載された"ギャップイヤー"議論http://blogos.com/article/44269/)。米国でも多くの識者が、数十年前に比べて、高校卒業の若者達が「幼い」と観ているようだ。だからプリンストン大の1年間のギャップイヤー制度も、その経験した学生に、mature(おとな)になってもらうことを期待している。

 
日本にもほしいギャップイヤー体験のための「入学延期制度」
 日本でもそろそろ、受験まっしぐらで難関の大学入試に合格した生徒や社会人に「入学延期制度(deferred entry)」を認めて、希望者にじっくり自分の将来や大学入学後にやるべきことを考える時間や、インターンやボランティア・正規外の国内外留学などをしながら内省するチャンスを作ってほしいものだ。生きる意味や学ぶ意味を事前にじっくり考え、目的意識をしっかり持った"おとな"の大学生を迎えることは、就学力・研究力が高まり、大学の競争力自体の競争力も高めることになる。オックスブリッジ・ハーバード・MIT・スタンフォードなどがギャップイヤーを大学合格者に推奨する大学に枚挙に暇(いとま)がないことを多くの人が知るべきだ。

注1)アーミッシュ(Amish[)とは、アメリカ合衆国のペンシルベニア州・中西部などやカナダ・オンタリオ州などに居住するドイツ系移民(ペンシルベニア・ダッチも含まれる)の宗教集団。移民当時の生活様式を保持し、農耕や牧畜によって自給自足生活をしていることで知られる。人口は20万人以上いるとされている。

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