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「コロンビア大学の研究によると、ギャップイヤーや留学は脳にプラスに働き、外向的になり、新しい考えに開放的になる」

※この記事はBLOGOSでもお読みいただけます。⇒http://blogos.com/article/155781/

 18日、英国ガーディアン紙に、興味深い記事が出た。
 見出しが、研究成果だが、「ギャップイヤーや留学は、脳にプラスに働き、外向的になり、新しい考えに開放的になる」(taking a gap year or studying abroad can positively influence your brain to make you more outgoing and open to new ideas.)と刺激的だ。

海外在住者は、旅人よりさらにクリエイティブ!

  現在英国では、ギャップイヤーなどで、1年に2万人以上の学生が海外で働いたり(就労体験)、夏に数ヶ月間ボランティアをしたり、毎年 3 ヵ月以上の期間を海外で過ごしている。 多くの学生が英国を離れて過ごすこと自体は驚くことではなく、旅の利点は十分可視化できるだろう。それは、新しい友達を作れるし、視野も広げられるし、人に伝えるべき物語もできる。

 それだけではない、脳の力を向上させ、より外向的になることが挙げられる。米国・ コロンビア大学ビジネス スクールのアダム・ゲリンスキー教授の調査によれば、海外在住者は、よりクリエイティブで、より多くの国に住むと、仕事がクリエイティブになる傾向にあるという。しかし、同教授は、旅行者としてでは、そんなに恩恵はないとのこと。また海外在住者でもローカルの文化に関与しなければ、ローカルの環境に積極的に入っていく旅人と比べると、効果は薄いとのことだ。


自信と自立心の獲得
  旅行や海外生活も人との関わりの方法に影響を与える。ジュリア ・ ツィンマーマン博士とフランツ・ネイヤー博士の研究では、ドイツの大学生で、1学期以上の留学経験者と国内滞留組との対比をして、人格発達を比較した。

 結果は、海外留学経験者は、国内滞留組に比べ、一般的に外向性が高く、一人でいることよりも周りに人がいることを楽しみ、帰国後は、新しい環境によりオープンになり、同調性や感情的な安定性が増す傾向にあった。
 
 シェフィールド大学の博士課程の学生は、 1年半、シンガポールで研究していたが、海外での生活で、より寛容になり、思いやりある人間になったと自己分析する。「海外で、世界を見ることは、これまで見えてなかった自分の文化習慣を理解し、共感と他者を理解する能力、そして感覚を磨く」。
 そこから、若者はやがて自信と自立を培うのだろう。


マインド向上は、難しくない!

 米国旅行協会の調査研究によると、旅行中に出会った新しくなじみのない状況では、ローカルの地下鉄で移動する方法を把握しようが、不慣れな言語で食事を注文しようが、精神を研ぎ澄まさせことができるという。 新しい経験にチャレンジすることは、認知の健康状態を高めることができ、脳は新しい趣味や外国語を学ぶと、活性化する。

 「 もし、幸運にも旅の有無を選べる幸運な立場にいるなら、冒険をし、世界を探検すればよい。それは脳も喜ぶはず」とガーディアン紙は結んでいる。

 なんといっても、環境やステレオタイプな発想を一番手っ取り早く変える方法は、海外に飛びだすことだろう。そこで精神は解き放たれ、非現実的な発想( Blue-sky thinking )が生まれる土壌ができ、それがクリエイティブな発想や思考を醸成するのではと考えた。

「2016年は"ギャップイヤー2.0"の時代!」(砂田 薫)

※この記事は、BLOGOS にも掲載されています。⇒http://blogos.com/outline/152588/

明けましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。

"ギャップイヤー2.0"の時代は、ギャップイヤーの人材育成機能がより公的に認められ、予算化される!
 さて、昨年の日本におけるギャップイヤーの話題は、なんといっても大学の学外学修(体験)の一環として"ギャップイヤー・プログラム"が文科省の予算付けされて誕生したことだろう。初年度の平成26年度は、神戸大学など10大学・1短大・1高専への予算配分が決まった。(参考記事:2015年8月1日付「今秋から新たに10大学で"ギャップイヤー制度"が誕生する!」-JGAP代表ブログ http://japangap.jp/blog/2015/08/10.html )

 これまで「ギャップイヤー・プログラム」はあくまで大学の学内の自主予算で、東大や国際教養大などが導入してきたものだ。今後ギャップイヤーが、その人材育成機能により公に認知され、文科省予算がついてくるわけで、私はこれを「ギャップイヤー2.0」と呼称している。また、その特徴として、何も必ず休学して1年間、社会体験(ボランティア・課外留学等、旅)や就業体験(インターンシップ・ワーホリ等)を行うというものでもない。夏休みや春休みを活用したものが開発されてくる。期間については、英国やJGAPの定義では「概ね、3ヶ月から2年」であり、2012年に誕生した米国のAGA(米国ギャップイヤー協会)の定義は、「2ヶ月以上」とさらに短期化している(ちなみに、英国には3ヶ月未満はmini gap という呼称もある)。

 「ギャップイヤー1.0」は下表にあるように、日本においては2011年だったと思う。5年前当時は、「ギャップイヤー」は"市井の人々"には関心がなく、ほんとうに一部の識者か教育関係者、あるいは英国圏に留学した人か、住んでいた人くらいの話題であったと言っても過言ではないだろう。だからこそ、JGAPはその啓発と理解促進のため、ギャップイヤー経験者の若者のエッセイである「フロンティア・フォーラム」をこれまで200編以上掲載してきたり、海外のギャップイヤー情報を150編以上発信してきた。
JPEG版 過去5年のギャップイヤーの動向~産.jpg

企業の人事部門はギャップイヤーの重要性を理解している!
 しかし、今日では少なくとも、東大や国際教養大の卒業生を採用するような企業の人事関係者は、間違いなく理解しているし、経団連の昨年の「グローバル人材調査」を観ても、企業のギャップイヤーへのポジティブな評価は明らかであり、その人材育成機能に期待している。

(参考記事:2015年10月29日付JGAP「経団連『グローバル人材の育成・活用アンケート』にみるギャップイヤーの好評価!」http://japangap.jp/info/2015/10/post-198.html )

 先週「海外留学のEF Education Firstの調査によると、日本でのギャップイヤーの認知率は現在わずか20%。ギャップイヤーについて説明できる割合は、さらに下回って14%というのが現状」という記事を見かけた。読んでみると、12月11・15日に「ギャップイヤー」に関する意識調査を実施した結果で、調査は海外留学の EF 公式 twitter アカウントをフォローしているユーザーを対象に、twitter のアンケート機能を利用して行ったとのこと(サンプル数:760)。

 調査手法・対象と回答者にどれだけの意味があるかの議論もあるが、まず、5年前当時の"市井の人々"の認知率に比べたら大きな伸長であろうし、まして日本の窮屈な「ストレートでシームレスな高大接続」の一本かぶりの多様性なきキャリアの価値観に風穴を開けるギャップイヤーが、一般の人々を対象とした調査で、"5人にひとり"も知られるようになったというのは福音であり、希望だとも私は思う。加えて、前述のように、企業の人事部門は、経団連の463社調査でも「大学に期待する取り組み」として、ギャップイヤーはベスト4に上るほど、関心は高い。
経団連ギャップイヤー.jpg
 全文は以下の経団連サイトから読める。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2015/028.html


青年海外協力隊も地域おこし協力隊、ティーチ・フォー・ジャパン(TFJ)、「トビタテ留学!」の一部の活動もギャップイヤー!
 今年は、先述のように文科省予算がついており、新たに12高等教育機関にギャップイヤー制度が導入されるし、戦略的に導入する大学も増えるだろう。また、導入されていない大学の大学生も高校生の一部も、これを契機に自主的にギャップイヤーを取得する層も増えることだろう。そういう底辺拡大を認めていく、あるいは柔軟にサポートする社会が必要だ。現に、JICAの青年海外協力隊も地域おこし協力隊もティーチ・フォー・ジャパン(TFJ)の活動も"就職"ではなく、文科省の「トビタテ留学!」の一部(多様性理解やスポーツ留学等のカテゴリー)も、直接標榜していなくても定義上1~2年の有期"ギャップイヤー・プログラム"であり、それぞれ価値を既に社会に提供しているのではないだろうか。

 ギャップイヤーは、comfort zone(ぬるま湯、日常性)から抜け出して、親元や教員から離れていわば"修行"することに意義があり、それは国内外の社会的課題を解決する人材、グローバル人材、そしてリーダーシップを持った人材を生み出すことが知られてきた。

 「ギャップイヤー2.0」時代は、ギャップイヤーが実体験(real experience)の欠乏している日本の高度人材育成に貢献し、従来のキャリアの価値観を根底から変える力を秘めていると私は考えている。

※「海外ギャップイヤー事情」100超記事の一覧リスト(右ナビ)→http://japangap.jp/info/cat44/新4階層 ギャップイヤー.jpg
  

新着:「ノルウェーのギャップイヤー・プログラムには、斧投げ・航海術等を習熟するバイキング養成コースがある!?」(砂田 薫)


ギャップイヤー・プログラムのテーマはなんとバイキング!
 9月3日に英国の高級紙「ザ・ガーディアン紙」に掲載されたノルウェーのギャップイヤー・プログラムが話題を呼んでいて、フェイスブックにより5000件以上のシェアがされている。それはなんとテーマがバイキング。

 バイキングは、ウィキペディアによると、西暦800年 - 1050年の約250年間に、西欧州沿海部を侵略したスカンディナヴィア、バルト海沿岸地域の武装船団(海賊)を指す言葉。しかし、のちの研究の進展により「その時代にスカンディナヴィア半島、バルト海沿岸に住んでいた人々全体」を指す言葉に変容した。いずれにせよ、中世欧州の歴史に大きな影響を残している。

 また、海賊や植民を繰り返す略奪経済を生業としていたのではなく、ノルウェーの考古学者・ヘイエルダールによれば、バイキングの多くは農民であり漁民であり、特に手工業に秀でており、職人としての技量は同時代においては世界最高のレベルという。バイキングたちの収益の98%が交易によるもので、航海の主たる目的は交易であり、略奪の方がむしろ例外的なものだったとされる。


専門学校の科目は、斧投げ、航海術、機織り!
 さて、ノルウェーの首都オスロから西へ約140キロ、セヨール湖のほとりにある全寮制の高等教育機関「セヨール・フォルケホイスコーレ専門学校(Seljord Folkehøgskule)」が、今秋1年間の"バイキング養成コース"を立ち上げた。風光明媚な山々や湖に恵まれたこの専門学校は、バイキングの生きる知恵を学ぶには絶好のロケーションで、バイキング養成の環境としてはもってこいだ。美しいセヨール湖にはネス湖のネッシーのような「謎の生物」が棲むという伝説があることも好条件ともいえる。

 8月末に、高校を卒業したばかりの元気な9人の男子、5人の女子が選抜され、入学した。高校後で大学入学前の無所属(入学していないので大学生ではない)のこのギャップイヤー生(gap year student)たちは、バイキングの生活には欠かせない造船、航海術、斧投げ、剣作り、アクセサリー・革製品加工の伝統工芸・技術などを1年かけて学んでいく。


苦肉の策としてのバイキング学コース誕生だった!
 なぜ、このようなコースを設けたのかと疑問が生れる。もともとこの専門学校はハンドクラフト作りで知られていたが、人気がなくなってきて、教職員でブレストを行い、この人気企画のアイデアが生れてきたという。ブレストおそるべしである。

 北欧は既報通り、半数が高卒後、いったん1年程度のギャップイヤーを取得する国々だ。そして、その選択肢として、このような寄宿舎付の folkehøgskule( folk high school、専門学校に近い)に入学する若者も多い。そこでは、学修や試験に囚われるのではなく、自立心やチームワークと言ったらライフスキルを習得することに主目的がある。

 国の助成のお陰で、私立ながら授業費は無料、ただし、寮費・食費や研修旅行や教材は有料だ。 「セヨール・フォルケホイスコーレ専門学校」の場合、1年でおおよそ10万クローネ(約150万円)の費用がかかる。これを高いか安いかは、親や本人、あるいは社会の基準や価値観、規範によって変わるだろう。


公募でバイキング教員を採用!
 ところで、誰が一連のバイキング学を14人のギャップイヤー生に教えるのかという素朴な疑問がまた起こる。それについては、2万6千回もフェイスブックでシェアされたフェイスブックの広告で公募したのだという。そして首尾よく、22名の応募者の中から、生涯をバイキングに賭けているデンマーク人で熱血漢のジェッペ・ノードマン・ガリア(36歳)さんという"現代のバイキングである"匠(たくみ)が見つかり、現在教鞭を執っているという。

 彼はもともと、趣味で10世紀当時の衣装に身を包み、兜や剣を収集していた。また、鍛冶や彫金もでき、教職経験もあるという、俄かに信じ難いほどの幸運な人選であった。10世紀頃バイキングが勇敢に活躍していたときと違い、今は男女共同参画の時代だ。授業も好評で、女子ギャップイヤー生もアーチェリーや造船、機織と同様に、力仕事である木彫りや金属鋳造、パン焼きなどにもチャレンジしている。


伝統工芸学習は思考の拡張を生む(mind-expanding!)
 最後に、1年のバイキング学を修めたギャップイヤー生は、どんなキャリアパスを選んでいくのだろうか。このコースを導入した学長は、「北欧でバイキング市場で産物を売ることはできるでしょうが(笑)、労働市場において、どれくらい習得したスキルが役に立つか正直わからない。しかし、ギャップイヤー生が何に関与しようが、価値はある。

 例えば、伝統的なバイキングの武器を作ることを今学んでいるが、それこそ思考の拡張を生む (mind-expanding)。そこに学びはあるだろう。」と応えている。日本でも、各地方でそれぞれの伝統工芸を若者が1年で学べるギャップイヤー・プログラムが編成できるのではないだろうか。

 ちなみに、同専門学校には「エベレスト登山のベースキャンプ準備」や「パラグラインディング・スキル」といったコースもあることがわかる。どうやら"文化系"のハンドクラフトから方向を変え、"体育会体質"になったようである。


(関連記事)
2015年8月1日付ス
「今秋から新たに10大学で"ギャップイヤー制度"が誕生する!」(砂田 薫)-代表ブログ http://japangap.jp/blog/2015/08/10.html

2015年5月15日付
文科省が平成27年度「ギャップイヤー・プログラム」の公募状況を公表~応募は38大学。選出は12件程度を予定 http://japangap.jp/info/2015/05/273812.html


2015年1月29日付
「ついに大学に、文科省の"ギャップイヤー予算"が付く!」(砂田 薫)-JGAP代表ブログ
http://japangap.jp/blog/2015/01/-27-httpwwwkanteigojpjpsingisouseikihonseisakudai2s6pdf.html


2015年7月25日付
海外ギャップイヤー事情 フィンランド編:「学術調査でギャップイヤーは学習成果を軽減するものでないと公表!」の巻 : http://japangap.jp/info/2015/07/-cio-1.html

※「海外ギャップイヤー事情」100超記事の一覧リスト(右ナビ)→http://japangap.jp/info/cat44/新4階層 ギャップイヤー.jpg
 

「英国のシリアル起業家リチャード ・ ブランソン卿が、『16歳でギャップイヤー取得を!』と言い出した」(砂田 薫)

ギャップイヤーは「人生の大学(university of life)」
 リチャード ・ ブランソン卿といえば、1973年にはレコードレーベル「ヴァージン・レコード」、1984年にヴァージン・アトランティック航空を設立。現在グループ全体で22カ国、25,000人の従業員を擁する規模にまで成長させたシリアル起業家で、冒険家としても有名だ。

 そのブランソン卿が、「英国の若者は、16 歳で教育を終了させ、一旦世界を旅するギャップイヤーを取らせるべきだ」と声高に言い出した。この記事が出たのは、世界で400万人の登録者があるという英国の教員・教育関係者向けのTESというサイト。

 まず、ブランソン卿は、現在の英国の教育システムを痛烈に批判している。「学校は、若者に対して、広い世界に導く準備ができていない」と教育の未来を議論したヴァージン・グループのイベントでコメントをしている。若者はリアルな大学に入学するかではなく、「人生の大学(university of life)」、すなわちギャップイヤーで、より優れた社会体験・就業体験をすることの大切さと説く。冒険家でもある彼らしい発言とも言える。

 また、リチャード卿は、「学校でフランス語を学ぶこと」を、"時間の無駄"と一刀両断で、それより、スペイン語を教えるべきであると持論を展開している。「だって、スペイン語のほうが簡単だし、世界の人口の半分で通用するよ。それに教室でなくても、オンラインで学べる。」。

 彼は、「ロケット科学者になるなら別だが、10歳までに基本的な算数を学ぶだけでよい」とも言い切る。

 リチャード卿が特に強調するのは、 高校時代の16歳でギャップイヤーを取得し、その後の人生のためによりよい準備をすることだ。

「もし子どもに、足し算引き算、英語の読み書き、また取り巻く世界や興味関心事に強い想いを抱かせられないなら、学校は終わりだね」と言い放つ。


学校の教室で、どのように大きなビジネスが回っていくか、問うてみてほしい!
「16歳で、子ども達に1年旅するギャップイヤーを楽しんでもらおう。それから帰還して大学に行くにせよ、何も3年でなくていいじゃない(英国では基本、大学は3年)。1年半でも9ヶ月でもOK。全員杓子定規に、3年間の借金を負わせる理由はない」「もちろん、医学や職業に直結した弁護士業などは別にして」と続ける。

リチャード卿は、実はこれまで英国の教育システムに言及することはなかった。それは自分の発言をきっかけに、学生にドロップアウトしてほしくなかったし、学位や資格を取得しないと、後の人生に所得が上がらない構造も理解しているからだ。「しかし、考えれば考えるほど、英国の教育には怒りがこみ上げてきたので」と胸のうちを語る。

 最後に、リチャード卿はこう結ぶ。

 「学校の教室で、どのように大きなビジネスが回っていくか、問うてみてほしい。子ども達は、自分たちの取り巻く世界から活気や希望をもらえるのだから」

(関連記事・情報)
10/26(月)14:30~ 講演:「日本の大学で進展するギャップイヤー・プログラム~採択される10大学・1短大・1高専の特徴と今後 (JGAP 砂田 薫代表 )
http://japangap.jp/info/2015/10/102614301011-jgap.html


※「海外ギャップイヤー事情」100超記事の一覧リスト(右ナビ)→http://japangap.jp/info/cat44/新4階層 ギャップイヤー.jpg
 

※この記事は 、BLOGOSでもお読みいただけます。⇒ http://blogos.com/outline/125887/
新4階層 ギャップイヤー.jpg

「今秋から新たに10大学で"ギャップイヤー制度"が誕生する!」(砂田 薫)


「トビタテ留学!JAPAN」でも"ギャップイヤー奨学金"!
 昨日、文科省から平成27年度「大学教育再生加速プログラム(AP)テーマ4」の 長期学外学修プログラム(ギャップイヤー)の採択10大学(他に短大1、高専1)が発表された。

 今回の応募数は38機関、3割の採択率と激戦だったが、上図の「ギャップイヤーの階層図」の第1層の「大学等運営のプログラム」が新たに12件誕生することになる。ちなみに、第2層「参加者が公共団体等に提示」の例は、最近では文科省の「トビタテ留学!JAPAN」がある。ギャップイヤーと謳ってはいないが、5つのカテゴリーの内、「新興国派遣(②新興国コース)」や、起業・国際協力・復興支援・芸術・スポーツなどをテーマにした「多様性人材(④多様性人材コース)」「地域人材(⑤地域人材コース)」と3つが概念としてギャップイヤーに相当する。

 さて、これまで自主財源で行ってきた東大や国際教養大に続き、秋口には一挙に10大学のギャップイヤー制度(プログラム)が誕生する意味は大きい。それは"シャワー効果"のように、大学にギャップイヤー制度がなくても、学生自ら何らか目的意識を持ってギャップイヤーを選択して国内外に飛び出す「第3層」のボリュームを厚くし、キャリアの多様性を生む「ギャップイヤー」文化が浸透する起爆剤になるからである。もちろん文科省のこの補助金は「大学改革」の一環で、各機関に対し5年間上限が2千万円。補助期間終了後は自立的な事業の継続に向けた計画の策定をし、恒久的な学内制度に整備していくことが求められている。その意味でも、ギャップイヤーが日本に定着する大きな一歩なのは間違いない。

 私は、当然ながら講演や取材で「なぜ今、日本の大学でギャップイヤーが注目されるのか」とよく聞かれる。それは大学進学率が5割を超える中、同調圧力で「なんとなく大学へ」や、偏差値データや進学指導の徹底(AO入試と推薦入試で4割)で、「何をしたらよいかわからない」成熟ないまま大学に入学してしまう学生が増え、「何のために学ぶのか」を見出せない若者が増えていることに起因すると応えている。またギャップイヤーの発祥の国の英国だけでなく、北欧やオセアニアなど、本国を凌ぐ勢いで発展・定着している国も多いという現実がある。特にここ数年、米国名門大学でのギャップイヤー制度導入は、特筆すべきものがあるのは既報通りだ。

 社会における生産的な活動には、人は「スキルとマインド」が必要だが、もう一つ忘れてはならないのが「モチベーション」の存在だ。活動のエンジン自体が弱い青年が多い中、換言すれば根本的なモチベーション不足の若者が増える中、comfort zone(ぬるま湯)から抜け出して、親や教員から距離を置く「非日常性」の中、じっくり自分は何者かを整理して考える、向き合う時間を創出する時間が必要な学生が多い。主体的に考えて表現する力、多様でグローバルな視点をもってもらいたいという趣旨で導入されたのがギャップイヤー制度(プログラム)といえる。

 今回採択された12高等教育機関のコンセプトを調べてみると、実に興味深い。
まず、小樽商科大学では、JGAPが設立からこれまで4年半提唱していた英国型の「大学入学猶予制度(入学が決まった高卒者に入学前のギャップイヤーを経験できる)」を核にしたギャップイヤー・プログラムを計画している。新潟大学では、初年次の長期学外学修(ギャップイヤー)課目を必修化するという。

 関西から唯一採択された神戸大学では、1,2年生の一つのクォーターを「国際的なフィールドでの自主的活動」に充てて、「グローバルチャレンジ実習」として単位認定し、「課題発見・解決型グローバル人材」を輩出したいとしている。実に野心的なコンセプトだ。福岡女子大学は、初年次教育を中心に、①OJT型(国内外)地域課題探索インターン ②海外交換留学、有給海外インターン ③PBL型社会実践サービス・ラーニング、プロジェクト研究実践をプログラム化していく。


2月中旬から3月中旬の「梅春学期」をギャップイヤーにという大学も出現!
 東京の工学院大学では、現在学内で、理工系人材のグローバル化をテーマにした「ハイブリッド留学」があるが、これは語学留学でなく「まず海を渡る」を最優先だったが、もっとも適切な時期に海外で主体的な共同学修体験を積むできる仕組みに改革したいとのこと。津田塾大学は、H24年度の中教審答申の「大学教育の質的転換」と重ね合わせ、「(課外)留学、インターンシップ、ボランティア」のギャップイヤーの機会をより多くの女子大生に提供し、"女性による女性のためのエンパワーメント"を促進したいと宣言している。

 文化学園大学は「新しい美と文化創造」の建学精神に鑑み、グローバル意識の高揚のため、学事暦を見直し、2月中旬から3月中旬を新たに「梅春学期」を新設し、1年次・2年次を中心に、学外体験プログラムを創り、「グローバル創造力」を養成したいという。武蔵野大学は、社会のパラダイム・シフトに対応し、①自発自然型人材 ②グローバル人材 ③地域貢献型人材を育成するため、入学直後を中心に、1~7ヶ月間の「武蔵野BASISフィールド・スタディーズ(MBFS)」というギャップイヤー・プログラムを実施する。東京工科大学は、今年度から工学部で2ヶ月間のコーオプ実習(有給での就業体験)を必修としているが、今後クウォーター制開講により8週間のギャップイヤーを作り、学外の就業体験活動を構築するという。

 中京地区では、唯一採択された浜松学院大学は、現代コミュニケーション学部(定員160人)の「単科大学」だが、全学学生を対象に、「長期フィールド・スタディ」として、フィリピン・ダバオ市、浜松市北遠地区、東北被災地の「基礎編」と、学生の主体性重視の「応用編」を構築するもの。また、意欲的にアウトカムとして「社会人基礎能力」を利用した大学独自のルーブリックで、参加学生と他学生のGPAの差異も測定する。かなりコンセプトや骨子がしっかりしていることはお気付きだろう。

 唯一の短大の採択でしかも九州地区に位置する長崎短期大学は、「短大の使命は、地域の職を支える人材育成」と定義し、2年間の学びをクウォーター制にし、8つのターム(準備、導入、実践、検証、定着、応用、発展、完成)と大ナタを振るう。1年次の実践ターム(8-11月)に佐世保市と連携し、「Awesome Sasebo!」事業で、学生が学外で地域の課題解決を図るギャップイヤー・プログラムにする意向だ。

 中国地方でしかも高専で唯一採択された国立宇部工業高等専門学校は、5年制によるグローバル社会で活躍できる中核技術者育成が使命だが、地域教育と海外体験プログラムを中心に「国内外で1ヶ月以上の体験学習」ができるギャップイヤーを構築し、未来志向型の人材を輩出したいとしている。

 いずれにせよ、上述12事業の全容が明らかになるのは今秋だが、現在学内に制度がある東大や国際教養大に続き、人材育成の仕組みとしてギャップイヤーが大きなトレンドになり、教員や親から離れた非日常化での社会体験(ボランティアや課外留学、旅等)や就業体験の重要性が確認されることになる。また今回の12の採択機関で実施したギャップイヤー・プログラムが学生にもたらした効用や知恵が共有され、海外の事例との相違・相似がわかってくれば、さらに日本でギャップイヤーは進展する可能性がある。


大学は"社会のリーダー創出"が使命であり、リスク・テイカーを育成すること! 
 各採択機関は、リスクを極端に嫌う日本社会に挑戦する側面もある。親御さんも社会一般も、成熟していない(immature)学生の存在は、由々しき問題だとは感じているはずである。大学は、ますます困難で混迷を極める社会のリーダーを育成する機関だ。日本の異常な速度での「少子高齢化と人口減」を考えると、キャリアは一層非連続で不安定になるだろう。そうなると、これからの時代は、心の耐性やしなやかさが問われ、レジリエンスが肝要だ。リーダーとはリスク・テイカーであり、ノー・リスクや無菌状態では生まれない。だから、失敗したり、多少怪我や鼻っ柱を折られたくらいで、どうかギャップイヤー・プログラム自体を否定しないでほしい。家に閉じこもる以外、外出すれば事故に逢うこともあり、モノが上から降ってくることもある。卒業後の人生の荒波への"予行演習"として必要なことと捉えることだ。

 ギャップイヤーは、「かわいい子には旅をさせよ(旅、課外留学)」「情けは人のためならず、利他(ボランティア)」「他人の釜の飯を食う(インターンシップ)」の具現化である。

(関連記事)
2015年1月29日付
「ついに大学に、文科省の"ギャップイヤー予算"が付く!」-JGAP代表ブログ
http://japangap.jp/blog/2015/01/-27-httpwwwkanteigojpjpsingisouseikihonseisakudai2s6pdf.html

※「海外ギャップイヤー事情」(100記事以上)
http://japangap.jp/info/cat44/

「フィンランド・アカデミーのギャップイヤー調査結果公表~明らかによいことで、ストレス軽減作用も!」


教育科学文化省直下で教育戦略を立案・検討する研究機関がギャップイヤー調査
「ハフィントンポスト英国版」5月14日付に、興味深い記事が掲載されている。見出しは「So Taking A Gap Year Is Apparently A Good Thing, And Means You'll Have Lower Stress Level」で、日本語にすると、「ギャップイヤーって、明らかによいことで、ストレス軽減作用も」というところか。

 この記事は、フィンランド・アカデミー(注1)のギャップイヤー調査結果(12日公表)を要約したもので、「学習・知識・スキルプログラム」の一環として調査されているのが興味深い。高校卒業生の半分がギャップイヤーを取得するとすら言われる北欧で、教育科学文化省直下で教育戦略を立案・検討する研究機関が、日本の文科省もそうだが、ギャップイヤーを教育的見地からまともに議論していることに注目してほしい。

 今回の調査・研究をリードしたヘルシンキ大学のカトリーナ・サルメラ・アロ教授は、「若者にとって、高校から高等教育に進学するのは、人生においてキツイ局面であり、卒業のタイミングで擦り切れる者が現れる。多くの若者にとって、ギャップイヤーはポジティブな未来観を醸成しながら、休息し未来の選択肢を考える機会を提供している」とコメントしている。

 同教授は「高大間のギャップイヤーの研究成果では、それは有害でない、特に、若者が1年やそこらを取得する限りでは」と結論付けている。

 しかもギャップイヤー取得者と非取得者の関係を見ても、帰還後、就学の動機付けで遅れたことを努力で早々に克服していると言う。健康ならば「人生80年時代」-----広範な社会体験や就業体験をするギャップイヤーの半年や1年がはたして大変なハンデになるのか、「案ずるより産むが易し」ではないか。この調査は、ギャップイヤー非取得者がより目標志向で学習に耐性があるもののストレスを抱えており、学生の長期の旅がその後の人生の成功を阻害したりすることはないことも明らかにしている。

日本でもまた高校生ギャップイヤー生がひとり誕生した!
 本日の中日新聞夕刊に、名古屋大学附属高校の吉野 裕斗さん(18歳)がインタビュー取材されている。24日から高校を1年間休学して、「世界一周の旅」に出るという。将来具体的にやりたい仕事は何か、村上龍氏の職業百科全書「13歳のハローワーク」でも見つけられなかった原体験がある。「大学進学前に、まず"リアルな世界"を知りたい」----そう考える生徒や学生がいても自然ではないだろうか。旅程は、フィリピンの語学学校で英語を4週間学び、東南アジア、中国、ロシア、欧州、北米、南米。今関心あるテーマは、「貧困と教育」、貧困の中で子供達の教育がどう行われているかを自分の感性で掴んでくる。親元や教員に守られたcomfort zone(ぬるま湯、日常)から抜け出して、ギャップイヤー生(gap year student)がまた生まれた。親を説得して旅立つ吉野さん、来年2月にどんな成長を遂げて帰国するか、今から楽しみにしたい。

 ギャップイヤーは、「空白」でなく「機会」、それは新たな価値であり、"キャリアの創造"である。

(注1)フィンランド・アカデミー(FA)
フィンランドの 教育科学文化省所管の組織(1970年設立)。長期の研究開発基金により、高度な研究開発を支援。前身は国家科学政策委員会。

参考:フィンランド・アカデミーのサイト「ギャップイヤー調査結果」:http://www.aka.fi/en/about-us/media/press-releases/2015/a-gap-year-does-not-weaken-study-success/


(関連記事)
2015年1月29日付
「ついに大学に、文科省の"ギャップイヤー予算"が付く!」-JGAP代表ブログ http://japangap.jp/blog/2015/01/-27-httpwwwkanteigojpjpsingisouseikihonseisakudai2s6pdf.html


2013年9月10日付
ギャップイヤーが注目されるのは「自分の足で立ち考え、視野広く問題解決できる学生が今求められている」ことの反映~米国の現状から想うこと-JGAP代表ブログ http://japangap.jp/blog/2013/09/-usa58-50-npo-act-3-1.html

※オスロにある「北欧イノベーション・リサーチ・教育研究所(the Nordic Institute for Studies in Innovation, Research and Education )」によると、米国と対照的に、「ノルウェー、デンマーク、トルコなどでは大学入学前のギャップイヤー取得者は50%をはるかに超えている」と言う。

2014年1月5日付 ※「いいね!」が1222個。ツイートが154件
No.150:「高校3年生、今、自分らしさを求めて~私のギャップイヤー計画」 (阿部愛里さん、宮城県気仙沼西高校 3年) -エッセイ集 フロンティア・フォーラム :http://japangap.jp/essay/2014/01/3-3.html


(ギャップイヤーの定義と4層構造
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「ついに大学に、文科省の"ギャップイヤー予算"がつく!」


※この記事はBLOGOS でもお読みいただけます。(本欄下の関連記事除く)→


http://blogos.com/outline/104621/
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ギャップイヤー予算の原点はGP事業
 文科省の「大学教育再生加速プログラム(略称:AP)」をご存じだろうか。これは同省の大学学部(短大、高専含む)を対象にしたGP(グッド・プラクティス)事業のレビューの中で、平成26年度(今期)に誕生した10億円規模の採択事業だ。社会が大学に期待する内容は質的・量的に過去とは大きな違いがある。例えば、大量生産・大量消費で右肩上がりの経済の時代ではなく、想定外の事象に遭遇した際に、課題解決能力は問われ、課題を抽出し、自分ごととして設定していく主体的な学生の出現を期待されている。そのためには大学は教育内容や仕組みを検討しなければならないが、個々の大学の自助努力では限界がある。そこで、過去の改革をベースにして実施される改善や進化に対しては、国はインセンティブとして、支援を継続・発展させる必要があるとの考えで生まれた競争資金だ。

ギャップイヤーには「プラン」と「プログラム」があり、今回は後者
 初年度である今期は、「アクティブ・ラーニング」「学修成果の可視化(指標モデル)」「入試改革・高大接続」の三つのテーマで大学に公募をかけて、選定した。

 そして、4月から始まる平成27年度のテーマに、新たに「長期学外学修プログラム(ギャップイヤー)」が加わることになった(予算成立を前提)。あらためて、ギャップイヤーの意味は、「親元・教員から離れた非日常下での社会体験(ボランティア、課外留学、長期の旅)や就業体験(インターンシップ、ワーホリ、アルバイト等)で、期間は3-24ヶ月」を指す。そして、若者の任意での世界一周旅行に代表される「ギャップイヤー・プラン」と、米国なら国際ボランティア機関の「Peace Corps(平和部隊、日本の青年海外協力隊の原型)」や「Teach For America」、プリンストン大学などの国際コミュニティ活動の「ギャップイヤー・プログラム」がある。

 今回のギャップイヤーの予算導入については、本欄1月12日付のJGAP代表ブログ「日本再興戦略にギャップイヤーは入り、文科省スーパーグローバルハイスクール採択校でも導入が進む」( http://japangap.jp/blog/2015/01/50300.html)でも紹介したが、昨年5月に文科省で議論していた「ギャップイヤー検討会議」の報告書を受け、同年6月に国家戦略である「日本再興戦略」に、ギャップイヤー推進の文言が入っていた。そして、今回晴れて予算が付いたという流れだ。

 上図を参考にしていただきたいが、文科省の全体予算が前年を割る中、昨年よりも増額予定だ。その意欲が伺えるが、大学がギャップイヤー・プログラム(文科省はプロジェクトと呼称)を立案する国内外での1ヶ月以上の「長期学外学修プログラム」(注1.)は、どんなものが考えられるであろうか。

ギャップイヤーは「空白」でなく、「機会」 ~失敗する体験をよしとしよう!
 例えば、国内であると、都心部の学生の「限界集落や被災地におけるボランティア活動」や「消滅可能とされる地方自治体や特色ある中小企業でのインターンシップ」などが考えられるだろう。「comfort zone(ぬるま湯的、居心地よい空間)」から抜け出し、ソフトスキルを磨いて、困難な時代に対応できるタフな人材に育ってほしいという"社会修行"のコンセプトなので、学生は大学の教室内だけでなく社会でもまれ、実体験を通して育つものという発想の共有と理解が必要だと考える。現に、ギャップイヤー帰還者が大学に戻り、卒業後、「グローバル人材」や「社会的課題解決型人材」に育っている実績がある。

 ギャップイヤーは「時間の空白」ではなく、「キャリアの機会」だ。各大学は、学生が「絶対やってみたい!」とワクワクし、チャレンジ精神を喚起すような提案をステークホルダーと協議の上、してほしい。もちろんチャレンジゆえ失敗し、鼻っ柱を折られるような体験こそ大事だという評価も忘れてはならない。

ギャップイヤーはキャリアの多様性を生む!
 ギャップイヤーが日本の大学に定着し、その素晴らしさが理解されてくると、一律に同い年の者同士の大学ではなくなり、体験したこともバラエティーに富んでくる。海外のギャップイヤー生やギャップイヤーを経験した者同士の文化や人種を超えた交流も自ずと進んでくる。それは、日本に欠けているキャリアの価値観の「多様性」が生まれる大きな契機になるのではと私は期待している。

(注1.)3ヶ月未満のギャップイヤーは、英国では mini gapと呼ぶことがある。また、2011年に日本に誕生したJGAPに1年遅れて発足した米国ギャップイヤー協会(AGA)は、2ヶ月以上をgap yearと定義している。

(関連記事)
2014年5月29日付記事 ここから日本のギャップイヤーの確かな一歩が始まった!→
「日本もギャップイヤー推進へ~学生の社会経験の支援を!」 文科省有識者会議が報告書提出http://japangap.jp/info/2014/05/421-1.html

2012年10月21日付
社会的課題にチャレンジする若者養成をミッションとした"ギャップイヤー社会起業"が英国と韓国で誕生!-代表ブログ http://japangap.jp/blog/2012/10/post-16.html

2013年1月9日付
なんと、大学院が「ギャップイヤー・プログラム」を創った?!~ "起業家精神と経営管理の"ギャップイヤー修了書"が授与される南ア・有力大学院1年専修コースが出現-代表ブログ http://japangap.jp/blog/2013/01/-httpkodamayusukewordpresscom20121207efbc91efbc99e6adb3e381aee88ba5e3818de8b5b7e6a5ade5aeb6e38081e4b.html

海外ギャップイヤー事情(120記事以上): http://japangap.jp/info/cat44/

【JGAP設立4周年スペシャル紙面企画】 エッセイ欄『フロンティア・フォーラム』 「いいね!」数ベスト5稿紹介! http://japangap.jp/info/2015/01/jgap1000.html

「日本再興戦略にギャップイヤーは入り、文科省スーパーグローバルハイスクール採択校でも導入が進む」

※この記事はBLOGOSでもお読みいただけます→ http://blogos.com/outline/103301/


2014年の「日本再興戦略」の中に、ギャップイヤー!
 「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」は2013年6月に安倍政権下で閣議決定されたが、この中に大学改革に関する記述がある。それは、「グローバル化等に対応する人材力の強化」の見出しで、「世界に勝てる真のグローバル人材を育てるため、教育再生実行会議の提言を踏まえつつ、国際的な英語試験の活用、意欲と能力のある若者全員への留学機会の付与、及びグローバル化に対応した教育を牽引する学校群の形成を図ることにより、2020 年までに日本人留学生を6万人(2010 年)から12 万人へ倍増させる。」というものだ。中略するが、「高校・大学等における留学機会を、将来グローバルに活躍する意欲と能力のある若者全員に与えるため、留学生の経済的負担を軽減するための寄附促進、給付を含む官民が協力した新たな仕組みを創設する」とあるのは、現在の「官民協働海外留学支援制度~トビタテ!留学JAPAN」につながっている。

 ギャップイヤーについては、定義として、「3か月以上の本組織から離れた社会体験(ボランティア・課外留学・旅)や就業体験」(注1)であり、一部「トビタテ!」の奨学生が重なっているが、本丸はその後の記述にある「就職・採用活動開始時期変更を行うほか、多様な体験活動の促進に資する秋季入学に向けた環境整備を行う」の「多様な体験活動」にあたると考えるのが、自然だろう。つまり、この時点では、内容はともかく「ギャップイヤー」という言葉はなかった。

そんな状況下、2013年10月に文科省に「学事暦の多様化とギャップタームの検討会議」( http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/57/index.htm )が立ち上がった。翌年3月まで計5回開催されたが、東大・一橋・慶應等の5学長、経団連の副会長他経済団体から3名、NPO側からETIC.とJGAPの代表理事が委員に名を連ね、産官学民の各セクターから15名のリーダー達により、 「ギャップイヤーの日本や海外の現状や、その在り方」が議論された。筆者は5回中、「世界のギャップイヤーの浸透状況」と「世界の大学のギャップイヤー制度」というテーマで2回情報提供(委員の情報提供は合計5回)をしたが、国家レベルで初めてギャップイヤーが議論されたと言っても過言ではないだろう。その過程で、国際通用性の観点から、東大の造語であった「ギャップターム」を「ギャップイヤー」で議論するという合意が得られた。5月29日に審議内容を集約し、「学事暦の多様化とギャップイヤーを活用した学外学修プログラムの推進に向けて」(意見まとめ)が、検討会議にも全出席していた下村博文文科大臣に手交された(注2)

公的なギャップイヤー制度導入大学の増加で、私的な一般学生の挑戦も加速する!
 翌月6月24日に、「日本再興戦略」(改訂2014―未来への挑戦―)が、閣議決定されたが、「大学改革/グローバル化等に対応する人材力の強化」の戦略の中で、「日本人留学生の倍増に向け、ギャップイヤー等を活用し、希望する学生が国内外で多様な長期体験活動を経験できる環境整備を推進する」とギャップイヤーが記載されている。これは検討会議の審議内容が反映されていることがわかる。日本でも今後、東大や国際教養大に続いて、奨学金や補助金の支援を受けて「ギャップイヤー制度」を導入する大学が確実に増えていく。そうなると、"シャワー効果"ではないが起爆剤となり、自主的にギャップイヤーを取得する若者も、おとなや社会の理解も大きく進むことが期待できる。また無償、低廉、もしくは有給の「ギャップイヤー・プログラム」も登場してくるだろう。(現在の有給の例:JICAの青年海外協力隊や地域おこし協力隊)

 ギャップイヤーの意義は、リーダーシップを持った「グローバル人材育成」と「地域課題解決型人材育成」、それに係る「起業家輩出」だと考える。また、シームレスでの「高校→大学→就活→企業人」という直線的なキャリアが万人にとって、はたしてよいことなのかの問題提起になるとも思っている。ストレートに企業社会に入った後が、年功序列や終身雇用の限界が来ている中、「非連続、所属なしのキャリア」を社会人になる前に体験して、レジリエンス(耐性)を高める効果も期待できるからだ。


先進的な高校(SGH)で、ギャップイヤーが進展中!
 英国で誕生したギャップイヤーは、高校・大学間のキャリアの「トランジション(移行、転機)課題」とも言える。それゆえ、先進的な高校側も敏感に反応してきている。

 国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を目的とした教育活動を支援する文科省の「平成26年度スーパーグローバルハイスクール(SGH)」の採択校56校(246校応募)の取組を概観すると、例えば、順天学園順天高校(東京)は、「SGHの成果を、国内外のアカデミックな大学との高大連携の拡大につなげていき、将来的には日本の高校生や大学生が国際社会貢献活動として取り組めるギャップターム・イヤーの基盤構築をめざして、国際系の各大学や国際的なNPO機関、国際的な企業などとの連携を図っていく」とある。早速、同校は、英国のギャップイヤー・プログラム提供NPOの「プロジェクトトラスト」(1967年設立。スコットランド西沿岸に浮かぶ内ヘブリデス諸島コール島に本部。英国全国から集まった意欲ある青年を訓練して、世界60ヵ国に毎年300人規模を送り出し、既にに7千名以上がグローバルな世界での社会貢献活動を体験している)と連携を模索している。

 昭和女子大学附属昭和高等学校(東京)は、「第3学年次をグローバル・リーダー育成に効果の高いとされるギャップイヤーとして併設大学の海外分校『昭和ボストン』を拠点とした留学プログラムを組み、高大連携の大学準備教育を行う」とあり、これは筆者がJGAP設立時である4年前から提案していた「附属高校の大学入学前ギャップイヤー」の具現化と言える。また、県立長野高校は、「ギャップタームプラン(日本の大学へ進学を希望する海外高校生の短期受入等)」を掲げている。

 他でも、SGHに採択はされなかったもののアソシエイト(国立6、公立27、私立21校)としてグローバル・リーダー教育の開発・実践に取り組む中核的な存在である立教新座高等学校(埼玉)は、今年度から、その名も「ギャップイヤー留学」を実施する。これは現高校3年生を対象に、大学入学前の2月からの1ヶ月間を利用するもので、正確には英国のmini gap(短めのギャップイヤー)に相当する。米国バージニア州にあるメアリーワシントン大学の敷地内にあるランゲージセンターで、1ヶ月間に計100時間の英語の授業を受講し、世界から集う留学生と共に集中的に実践英語を学びという。このプログラムは、単に英語力伸長が目的だけでなく、論理的思考力や批判的思考力を同時に学び、ホームステイで異文化理解の促進から大学進学や就職後にも使える力を身に付けることを目的としている。


ギャップイヤーは、新たな"キャリアの創造"!
 米国・ニューヨーク・タイムスの新年1月4日付の記事が興味深い。見出しは、「In Fervent Support of the 'Gap Year'」(ギャップイヤーの熱烈支持の中にあって)。娘のギャップイヤーに反対していた母親が、徐々に変わって支持していくばかりでなく、下の息子に今度はギャップイヤーを勧めるまでの心情のプロセスが書かれている。教育に関して効率第一主義の米国でも、確実に"異変"が大きくなっている様子が記述されている。データに注目すると、2010 年から2013年の間に、ギャップイヤー・フェア(各地の高校や大学で体験者が語る会)の参加者は倍増し、2012年からたった1年で、ギャップイヤー・プログラム参加者が27%増となっている(米国ギャップイヤー協会イサン・ナイト理事長)。ハーバード大やエール大でも入学者にギャップイヤー取得を推奨していることや、ミドルベリー大やノース・キャロナイナ大の研究では、ギャップイヤー経験者は未経験者より、GPA(成績)が0.1から0.4むしろ高いことなども紹介されている。

 筆者の持論だが、ギャップイヤーの概念は、日本の人材育成に関する諺でいえば、「かわいい子には旅をさせよ(旅、課外留学等)」「情けは人の為ならず(ボランティア)」「他人の釜の飯を食う(インターン、短期就業等)」だ。別に、ギャップイヤーという言葉を使用しなくても、例えば、都会の生徒が地方に「島留学」するのも多様性が学べ、ギャップイヤー的でよいと考える。  comfort zone(ぬるま湯的日常環境)を抜け出して、非日常下に身を置き修行し、時には失敗することは、若い世代にとってソフトスキル開発や生きる力につながり、その"実体験"は大きな財産になることだろう。

 ギャップイヤーは、「空白」でなく「機会」、それは新たな価値であり、"キャリアの創造"である。


(注1)ギャップイヤーの定義と4層構造
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(注2)「学事暦の多様化とギャップイヤーを活用した学外学修プログラムの推進に向けて」
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(関連記事)
2014年5月29日付
「日本もギャップイヤー推進へ~学生の社会経験の支援を!」 文科省有識者会議が報告書提出→http://japangap.jp/info/2014/05/421-1.html

※セミナー告知! 寄稿者の話が聴ける場!これまで大学内では「大学生起業」が議論されることは稀有だった!
1/27(火)JGAP4周年記念 JGAP&TIP*S present「"大学生で起業家"というキャリアを考える」セミナー参加者募集!→http://japangap.jp/info/2015/01/jgap-189.html

新刊『<ジーニアス>可能性を見つけよう』を読んで~「HBS⇒グーグル本社⇒シリコンバレーで起業」の石角 友愛さんのキャリア論石角さん本.jpg

「What is your genius?」は、「あなたの本質は何?」の意
 石角 友愛(いしずみ ともえ)さんには、3年前に都内でお会いし、インタビューしたことがある。お茶大附属高校時代に違和感を感じて退学し、単身米国に渡ったギャップイヤーを経験している女性だ。簡単にプロフィールを言うと、ハーバード・ビジネススクール(HBS)時代に学友と結婚した。出産をし、MBA取得後、日本で就職する選択肢を振り切って、夫婦とも米国で就職した。グーグル本社退社後、ベンチャーを起業している。(JGAPギャップイヤー・インタビュー:http://japangap.jp/gapyear/2012/05/11.html )

 これまで、話題となった「私が白熱教室で学んだこと」「ハーバードとグーグルが教えてくれた人生を変える35のルール」を著しておられるが、今回は、2012年12月にグーグルのシニアストラテジストの職を投げ捨て、米国の労働市場が抱える問題解決のためのサイト運営会社を設立されて初めての著作だ。

 この新刊『<ジーニアス>可能性を見つけよう』のコンセプトは、ずばり「ジーニアス」。私は本来マーケッターだから、言葉に対して敏感なところがある。この日本語にすると、「天才」という言葉は、出版社は普通書名に入れたくない衝動にかられると思う。反発も予想される言葉であるし、「自分とは関係ない」と思われたら、潜在読者を失うリスクが高い。
 しかし、石角さんは、敢えて自分の信じるこの言葉に賭けられたのだろう。まさにそのチャレンジングな姿勢は、彼女自身のこれまでのキャリア・パスを象徴するかのようだ。

 古代ローマでは、「ジーニアス」は特別な人に授与された特権ではなく、 "天性から備わっている才能"で、それは"秘めたる力"、「可能性」のことだ。HBSのマルホトラ教授から教わった「すべての人が未知の可能性として秘めている、自分らしさの本質」のことだという。だから「What is your genius?」は、「あなたの本質は何?」という意味になる。

サイエンスと実用書の両面を持ち合わせる良書
 断っておくが、この本は単なるエッセイではない。石角さんは、心理学を修めているので、その新しい知見やデータが満載のサイエンス的側面と、日本人が米国で学び、ビジネスを通して経験したことが、惜しげもなく披瀝されている実用書でもある。

 例えば、前者でいうと、米国で就職前の学生が受ける「セルフアセスメント・テスト」(日本の自己分析テストやSPIに近い)やHBSで全学生が受ける「キャリアリーダー」などを紹介している。そして、「ひとりで自分の思考を張り巡らせるのが好きか」「抽象的な概念を好み、未来に関心あるか」「自分の感覚や周りの人間の感情などを配慮して物事の判断をするか「計画は立てず、締切間近に一番能力を発揮するか」など、簡易的に、4つの軸になる質問から16種のパーソナリティタイプを割り出し、読者に提示する。グローバルエリートというと、英語が出来て、外向的で、分析能力に長けてい等ステレオタイプなイメージを持ってしまうが、みんながみんなそう一律的なものではない。「内向的」資質であっても問題ないということも理解できる。

 また、世界で活躍するのに必要なソフトスキルとして、「5つのO(オー)」を整理する。
すなわち、Optimist ,Ongoing learning, Organized ,Open-mind, Ownershipの5つの要素だ。特に、4つ目の「オープンマインド」の記述は秀逸だ。自分をさらけ出すことを恐れず、新しいことや、未体験のこと、無知だったことに興味・関心を持つことで「オープンマインド」になるが、もともと人間は遺伝子的にそうなっていない。それを鍛えるエクササイズを5つ紹介しているが、そのうちの二つは、「過去に自分に対してひどいことをした人の立場に立ち、理由を3つ挙げる」「捕鯨や死刑制度など、感情を伴うディベート・トピックスを選び、自分の反対する意見の側に立つ」。ハッとした。残りの実践的取り組みについては、現物を楽しみにお読みいただいたほうがよいだろう。

 後者の実用書の側面では、グローバルな世界で評価されているのは、doer(行動する人) であって、talker(話すだけの人)ではないことが挙げられる。doerに必要なのは、世界に通用するスキルや知識でなく、むしろ強い目的意識だともいう。MBAで学ぶのも、一つのツールでしかなく、学んだことを使って「一体何をするか」という戦略を描かない限り、シリコンバレーに行こうが、NYに行こうが何もできないと断罪している。重要なことは、自分の中のジーニアスに向き合い、「学んだことで、こういうことをやってみる」と行動を起こせば、最初は試行錯誤でも、必ず自分の進路は見えてくると自身の経験を伝えている。

 また、個々のジーニアスに合わせて、どのような「問題解決能力」を、どのような「プレゼン能力」で、どのように「交渉力」を上げていくかも、著者の多くの経験から考察していて興味深い。

 いずれにせよ、石角さん自身も言うように、グローバル・エリートは「これを学べば、この分野で成功できる」といった単純な図式では表せない。しかし、この本には、10代でギャップイヤーから異文化空間をこじ開け、米国の競争社会でもまれ、子供を育てながら起業したひとりの日本人女性がまさに肉声で語りかけてくる。決して、米国称賛の文脈ではないことも読んでいてわかってくるし、日本への温かい眼差しとエールが心に響く。

 「日本人は、アピールするにしても必要以上にガツガツせず、謙虚な態度でいることができます。相手から評価を受けているという前提があれば、この姿勢は極めて信頼を持って受け入れられます。」(第4章 「グローバルに活躍できるハードスキルを知ろう」)
「以前の日本には、女性達が安定を求めて結婚をする時代がありました。しかし、グローバル社会はもっと不安定であることを前提にした社会であり、だからこそ"支え合える人"を求めて、より絆の強い、お互いのジーニアスに共感できるパートナーを、双方が目指すのです。夫婦関係はもちろん、そういう意識をもって人とのつながりを考え直すことが、日本でもより一層重要になるのではないでしょうか」(終章 「世界のエリートは何も犠牲にしない。」) 

 この新刊は、「世界に通用するワークライフ」に対し、多くの示唆を得ることができる。まさに、これからの日本における実践的「キャリア論」だと私は考える。

「本格化する米国のギャップイヤー~タフツ大学は、50人ひとり年額300万円規模の奨学金とAPが報道」タフツ大学.jpg


※この記事はBLOGOSでもお読みいただけます。→http://blogos.com/outline/82412/

ギャップイヤーの目的は、"リーダー予備軍"である優秀な学生に、将来のキャリアに備えるため、実践的なフィールドで質のよい経験や実体験、修羅場を積ませること

 3月10日付当ブログで、名門タフツ大学(Tufts University)が来年から「タフツ1+4」という50人規模のギャップイヤー制度を導入するとお伝えした(http://japangap.jp/blog/2014/03/50.html)。これは、米国の名門大学が、ギャップイヤーを高校卒業から大学入学前に1年取得するのを"推奨"するステージ(例:ハーバード大学やMIT)から一歩踏み出し、"制度"やプログラムとして自ら導入するステージ(プリンストン大学やタフツ大学)に上がってきたことを意味する(下図参照)。既報どおり、アイビーリーグのブラウン大学も現在ギャップイヤー制度を学内で検討している。

 英国や北欧のように、高校を卒業した若者が自発的にギャップイヤーを取ることが慣習として根付いていたら、社会もその認知・承認していて任意で取得できるため、敢えて制度やプログラムは必要ないが、社会の理解度という"遅れ"を取り戻すには、米国は大学が組織として関与しなければならないということなのだろう。換言すれば、それほど本格的な社会体験(ボランティアや課外留学、旅)や就業体験を意味するギャップイヤーは、リーダー人材育成に寄与すると観ているということなのだろうか。

 APが14日に配信した記事は、ニューヨークタイムスやTIME、NBCなどのシンジケートに乗り、どの掲載媒体も大きな反響を読んでいる。何せcomfort zone(ぬるま湯的日常空間)に挑戦して、価値観の違うコミュニティを探究したり、旅やボランティア、インターンをすると、支援する額が一人当たり年間300万円(=3万ドル)以上で、募集人数が50人規模(1.5億円)というから、すごい。国内外で、グローバル・シチズンやシティ・イヤーやリフトといった教育・経済・保健・環境団体に所属し、生活費や滞在費、航空運賃、ビザ取得まで、必要なら大学持ちというものだ(注1)。この原資は、企業等からの寄付も目論んでいるようだが、多額の奨学金が実現するなら、低額所帯層の学生には福音だ。大学としてのエリート集団への思い入れ、本気度が試される。


日本ではまだない「大学入学延期制度」があれば、自主的ギャップイヤーは進む!

 米国ギャップイヤー協会(AGA)によると、06年は3万2千人のギャップイヤー・プログラムの利用があったが、昨年には8千人増えて、4万人の大台を超えたという。また、同協会のサイトにある米国主要大学の入学事務局調査で「入学延期ができる(すなわち自主的なギャップイヤーが取得できる)大学」は、調査の157大学中、可能127大学、不明2、不可28だった。大学お抱えのギャップイヤー制度がなくても、大学が「入学延期制度」を導入したら、自発的なギャップイヤー取得が進む。米国の若者もギャップイヤーが本格化する条件は整ってきた。日本でも是非各大学は「入学延期制度」導入をしてほしい。画一的な受験上がりの学生から、多様な経験をした学生が増えて授業や修学が活性化する。

 懸念といえば、ギャップイヤーに賛成の立場を取っている公共政策・高等教育国立センターのパトリック・カラン会長(the National Center for Public Policy and Higher Education)が指摘するように、目標のない大学入学前の学生がギャップイヤーを取ると、大学教育に戻る気力を失うリスクがある。要はどう主体的なプランを構築したり、汎用性のあるプログラムを組み立てていくかの問題だろう。

 学内・教室内でしっかりと知識や学術の伝授や議論することと同様に、いかに"リーダー予備軍"である優秀な学生に、将来のキャリアに備えるため、実践的なフィールドで質のよい経験や実体験、修羅場を積ませるかというのも、大学の大きな役割になってきていると感じている。
 
(注1)原文は、
This "gap year" program launching this fall will pay for housing, airfare and even visa fees, which can often add up to $30,000 or more.


参考:主要な米国大学のギャップイヤー制度 ※4層構造は下図参照のこと新 米国のギャップイヤー制度.jpg


ギャップイヤーの4層構造
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