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ギャップイヤーが注目されるのは「自分の足で立ち考え、視野広く問題解決できる学生が今求められている」ことの反映~米国の現状から想うこと


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米国の学生のギャップイヤー取得率は、多くて1割。しかし、北欧では5割超
 USAトゥディ5月8日付によると、米国でもギャップイヤーを選択する学生数の実数はわからないが、ペンシルバニア大博士後期課程で、ギャップイヤーの効果を研究しているニナ・ホエ氏は、2%から10%の範囲だと言う。しかし、この10%という数字は、高校卒業後で大学入学前のギャップイヤーであって、米国ではもう一つの機会でキャリアとして位置付けられつつある「大学卒業後」「大学院修士課程修了後」「転職間(キャリア・ブレイクとも呼称)」のギャップイヤーは反映されていない。私の印象では、おおよそ米国の2割の若者(大卒者)が本人が意識している、していないに関わらず、本業のアカデミアから離れた3ヵ月から24ヶ月の社会体験・就業体験であるギャップイヤーを取得していると思う。

 オスロにある「北欧イノベーション・リサーチ・教育研究所(the Nordic Institute for Studies in Innovation, Research and Education )」によると、米国と対照的に、「ノルウェー、デンマーク、トルコなどでは大学入学前のギャップイヤー取得者は50%をはるかに超えている」と言う。だから、米国はギャップイヤーの進展は、まだまだこれからということになるかもしれない。

 また、ギャップイヤーに対する見方も変わって来ている。従来は、米国でのギャップイヤーに対する否定的な考え方は、「金持ちのすること」と「高校から大学へと決められた"コンベア・ベルト"から外れること」だった。これは、09年にギャップイヤー支援NPO「グローバル・シチズン・イヤー」を設立したアビー・ファリック代表が言う。実際このプログラムに参加する高卒者の8割が財政的援助を受け、3人にひとりが全額奨学金を受けている。たしかに"変化の兆し"がある。

 「大学卒業後のギャップイヤー」の例では、南カルフォルニア大学のキャリアセンターが全学部生を対象に、学内のプレゼンテーション・ルームで、人気の高いTeach for America やPeace Corps(国際ボランティアの平和部隊)などの「ギャップイヤー・プログラム」の説明会を行っている。そこでは、大学院側のアドバイザーからギャップイヤーのメリットも聞ける。大学の日常シーン中で、キャリア(大学生の進路、生き方、働き方)の選択としてギャップイヤーが議論され、人材育成機能として根付き始めていることがわかる。

 ファリック氏は、ギャップイヤーは、大学という存在に対してその考え方と行動を変える鍵になると力説する。例えば、アイオワ州の教育テスト会社であるACT社によると、大学新入生の約 3 分の 1 は、入学後、教育機関を変えると言う。それはなぜか。


自分の足で立ち考え、視野広く問題解決できる学生が今求められている~だから、ギャップイヤー!
 この現象を起こさせる要因は複雑だが、ファリック氏は「アメリカの教育システムは、本来必要な目的、独立、自信、根性、弾力性といった大事なものをないがしろにし、高校生を単に大学に押し出してしまっているからだ」と指摘する。

 米国では、残念ながら、個人的な成長のための ギャップイヤーを学生に推奨している大学はまだまだ少ない。そんな中、プリンストン大学は、完全奨学金のギャップイヤー・プログラム(ブリッジイヤーと呼称)で毎年35 名の学生を輩出している。名門ノース ・ カロライナ大学(UNC)チャペル ヒル校も、毎年7 人の学生が自分でデザインしたギャップイヤー計画に対し、ひとり$7,500 (約70万円)の奨学金を提供している。このモデルは、今年から東大が導入したFLYプログラム(大学入学した1年生に特別休学を与え、計画が認められた学生に最大50万円の奨学金)に近い。

 UNC グローバル ギャップイヤー奨学金組合のコーディネーターは「自分の足で立ち考え、視野広く問題解決できる学生が今求められている」と言う。(参考英文:We're looking for resourceful students who can think on their feet and are open-minded,)

 これは説得力があり、米国でも"トコロテン方式"で、高校生はさして深く考えない環境の中、大学進学し、迷って大学を変えたり、中退したりしている。だから高大の接続(transition)の中で、社会体験(ボランティアや課外留学、旅)や就業体験(インターンやワーホリ)のギャップイヤーが注目される。「自分の足で立ち考え・・・」は日本でも今、求められている人材像ではないだろうか。


(参考)
※「海外ギャップイヤー事情」60超記事の一覧リスト(右ナビ)→http://japangap.jp/info/cat44/

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