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ネットでもリアルでも5月に白熱?!~大事になってくる"休学"と"ギャップイヤー"の論点整理


休学はギャップイヤーの要件ではない!~休学なしにギャップイヤーはできる。
 「僕がギャップイヤー(休学)をすすめない理由」(http://blog.livedoor.jp/fgs7omija/archives/26471953.html)がツイッター上で多くRTされていることを知った。

 4日にアップされて以来、その数は軽く200を超えるのではないか。著者は社会人4年目で大手企業に入社、ウェブ系ベンチャーに転職し、現在は自称「海外ノマド」というバックグラウンドの持ち主だ。「大学は4年のストレートで卒業すべきで、ギャップイヤーや休学は基本必要ない」と言う。入社3年以内で会社組織を2回辞めたストレートでないこの筆者が主張するのは、むしろ反対ではと思ってしまうが、多くの方に読まれている。

 概ねRTは「同意」が多く、ブログ中のコメントでは「反意」が多い。 そこで、私が一つ指摘したいのは、ギャップイヤーと休学は同じでなく、この概念整理をしておかないと議論するにも混乱が起こるということだ。 単純に言うと、「ギャップイヤーは休学しなくとも実行できる社会体験・就業体験」であるということだ。

 ギャップイヤーはもはや、高等教育の「人材育成の装置」としての位置づけもされつつあるが、定義としては04年に英国・教育技能省(現・教育省)が発表した「教員や親元から離れた非日常化での社会体験(ボランティア・課外留学・旅等)と就業体験(ンターン・アルバイト等)」を指し、概ね期間は「3-24ヶ月」が現在でも、世界の議論の基準になっている。

 また、ギャップイヤーの形態は4層構造になっており、自主的なプラン(自分で設定するテーマを持った世界一周や語学留学等)と大学や公的団体が提供するプログラム(米国の2年間のティーチ・フォー・アメリカやプリンストン大の1年海外ボランティア等)に二分される(図表参照)。 ここでわかるように、「休学」はギャップイヤーの条件でも何でもない。現に、JGAPのエッセイ欄「フロント・フォーラム」にも休学せずに、半年間でテーマを持って世界を一週して来た大学生は何人もいる。むしろ世界の潮流からすれば、日本のようにいったん大学に入って、途中で休学してギャップイヤーを取得するのは少数派であることも押さえたほうがよい。

 その理由は、日本固有の問題として、ギャップイヤーの概念の浸透が十分ではないせいだろう。一般的には、高校卒業して大学入学前か、卒業後の大学院入学前や、就職前に大学時代に欠けていたスキルを習得すため、半年から2年ほど、いわば武者修行として、変わり目(transition)に選択する若者が多い(若年層の就職難の要因もある)。もちろん、日本のような「新卒一括採用」のような呪縛がなく、ギャップイヤーから生還した後、その期間内に習得してきたソフトスキルやアウトカム(成果)が正当に評価される環境であることが大きい。

 そこで、ギャップイヤーでなく、休学を議論する場合に、知っておいてほしいことがある。それは、積極的なハッピーな、あるいは戦略的な「休学」ばかりでないことだ。 大学で休学して、その後辞める人が結構な数、存在する事実である。 換言すれば、積極的な「休学」だけでなく、「消極的な」な休学が大きく存在する。

 文部科学省の調べでは、2012年度の休学者はおよそ3万1000人に上り、精神科医でもある内田千代子・福島大教授が2009年度に行った調査では、57の国立大学休学者の31%が学習意欲減退などの「消極的理由」を休学の理由として挙げている。精神・肉体的疾患の15%を合わせると、1万5千人規模になる。その後、引きこもりや孤立から中退してしまうケースにもつながる 。残念ながら、休学や留年で5年以上在籍する学生の自殺率は、在籍が1~4年の学生と比べて高い。2009年度に自殺した学生73人中、実に29人が休学や留年を経験した学生だった。 一方、 留学や資試験獲得のための「積極的休学者」は28%(9千人弱)に過ぎない。(2012年7月19日 読売新聞)

 「積極的休学」のはずが、1年経過し、「消極的休学」に転化してしまうリスクもあろうから、私はギャップイヤーを推奨しても、休学はよく考え実行したほうがよいと唱えている。

 折しもリアルの場では、5月18日(土)の東大五月祭では、「休学を考える座談会」が開かれるという。それ自体、チャレンジングで敬意を表したい。多様性あるキャリアパス創出のためにも、私が指摘した負のポイントもタブー視しないで、乗り越えていただき、フェアに議論してもらいたいと考えている。

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