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「フィンランド・アカデミーのギャップイヤー調査結果公表~明らかによいことで、ストレス軽減作用も!」


教育科学文化省直下で教育戦略を立案・検討する研究機関がギャップイヤー調査
「ハフィントンポスト英国版」5月14日付に、興味深い記事が掲載されている。見出しは「So Taking A Gap Year Is Apparently A Good Thing, And Means You'll Have Lower Stress Level」で、日本語にすると、「ギャップイヤーって、明らかによいことで、ストレス軽減作用も」というところか。

 この記事は、フィンランド・アカデミー(注1)のギャップイヤー調査結果(12日公表)を要約したもので、「学習・知識・スキルプログラム」の一環として調査されているのが興味深い。高校卒業生の半分がギャップイヤーを取得するとすら言われる北欧で、教育科学文化省直下で教育戦略を立案・検討する研究機関が、日本の文科省もそうだが、ギャップイヤーを教育的見地からまともに議論していることに注目してほしい。

 今回の調査・研究をリードしたヘルシンキ大学のカトリーナ・サルメラ・アロ教授は、「若者にとって、高校から高等教育に進学するのは、人生においてキツイ局面であり、卒業のタイミングで擦り切れる者が現れる。多くの若者にとって、ギャップイヤーはポジティブな未来観を醸成しながら、休息し未来の選択肢を考える機会を提供している」とコメントしている。

 同教授は「高大間のギャップイヤーの研究成果では、それは有害でない、特に、若者が1年やそこらを取得する限りでは」と結論付けている。

 しかもギャップイヤー取得者と非取得者の関係を見ても、帰還後、就学の動機付けで遅れたことを努力で早々に克服していると言う。健康ならば「人生80年時代」-----広範な社会体験や就業体験をするギャップイヤーの半年や1年がはたして大変なハンデになるのか、「案ずるより産むが易し」ではないか。この調査は、ギャップイヤー非取得者がより目標志向で学習に耐性があるもののストレスを抱えており、学生の長期の旅がその後の人生の成功を阻害したりすることはないことも明らかにしている。

日本でもまた高校生ギャップイヤー生がひとり誕生した!
 本日の中日新聞夕刊に、名古屋大学附属高校の吉野 裕斗さん(18歳)がインタビュー取材されている。24日から高校を1年間休学して、「世界一周の旅」に出るという。将来具体的にやりたい仕事は何か、村上龍氏の職業百科全書「13歳のハローワーク」でも見つけられなかった原体験がある。「大学進学前に、まず"リアルな世界"を知りたい」----そう考える生徒や学生がいても自然ではないだろうか。旅程は、フィリピンの語学学校で英語を4週間学び、東南アジア、中国、ロシア、欧州、北米、南米。今関心あるテーマは、「貧困と教育」、貧困の中で子供達の教育がどう行われているかを自分の感性で掴んでくる。親元や教員に守られたcomfort zone(ぬるま湯、日常)から抜け出して、ギャップイヤー生(gap year student)がまた生まれた。親を説得して旅立つ吉野さん、来年2月にどんな成長を遂げて帰国するか、今から楽しみにしたい。

 ギャップイヤーは、「空白」でなく「機会」、それは新たな価値であり、"キャリアの創造"である。

(注1)フィンランド・アカデミー(FA)
フィンランドの 教育科学文化省所管の組織(1970年設立)。長期の研究開発基金により、高度な研究開発を支援。前身は国家科学政策委員会。

参考:フィンランド・アカデミーのサイト「ギャップイヤー調査結果」:http://www.aka.fi/en/about-us/media/press-releases/2015/a-gap-year-does-not-weaken-study-success/


(関連記事)
2015年1月29日付
「ついに大学に、文科省の"ギャップイヤー予算"が付く!」-JGAP代表ブログ http://japangap.jp/blog/2015/01/-27-httpwwwkanteigojpjpsingisouseikihonseisakudai2s6pdf.html


2013年9月10日付
ギャップイヤーが注目されるのは「自分の足で立ち考え、視野広く問題解決できる学生が今求められている」ことの反映~米国の現状から想うこと-JGAP代表ブログ http://japangap.jp/blog/2013/09/-usa58-50-npo-act-3-1.html

※オスロにある「北欧イノベーション・リサーチ・教育研究所(the Nordic Institute for Studies in Innovation, Research and Education )」によると、米国と対照的に、「ノルウェー、デンマーク、トルコなどでは大学入学前のギャップイヤー取得者は50%をはるかに超えている」と言う。

2014年1月5日付 ※「いいね!」が1222個。ツイートが154件
No.150:「高校3年生、今、自分らしさを求めて~私のギャップイヤー計画」 (阿部愛里さん、宮城県気仙沼西高校 3年) -エッセイ集 フロンティア・フォーラム :http://japangap.jp/essay/2014/01/3-3.html


(ギャップイヤーの定義と4層構造
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