代表ブログ Jギャップは社会変革のイニシャル!

 22日、英国の大卒者向け就職サイトである「グラッドプラス・ドットコム」に、「企業は伝統的なギャップイヤーより、インターン経験を評価する」という見出しの記事が出た。ギャップイヤーの要素としては大きく、「社会体験(ボランティア・国内外正規外留学・旅等)」と就業体験(インターンやワーホリ等)の2軸があり、"伝統的"なギャップイヤーというのは、"自分探し"の旅や"遊学"も含む牧歌的であり、前者を指すと考えるのが自然だ。そして、そのバランスが崩れそうだというのが、「見出し」のいわんとするところであろう。

 さて、それこそ"伝統的な"「高校卒業後、大学入学前の ギャップイヤー」ではなく、最近増えているとされる「大卒後ギャップイヤー」として海外に飛び立つ卒業生(英国では新卒一括採用が当然ない)は、雇用可能性の点ではマイナスになるかもしれないという新しい調査結果の考察だった。

 それによると、伝統的ギャップイヤーの価値は急速に落ちていて、米国法人であるペプシコの英国雇用責任者は、「中小企業のビジネスリーダーの7%しか、かつてよりギャップイヤーが価値があると考えていない」と言う。 世界を旅することを選択する大卒生は、就業体験を優先するグループと比較して、「リスクがある」と英国ペプシコと調査会社YouGov との共同調査(母数は、テレグラフ電子版によると537社)は示す。

調査対象であるビジネス リーダーの 3 分の 2 は、インターンシップを完了した大卒生のほうが、業界での就業体験を持たない層よりも、雇用されやすいと指摘する。
 英国ペプシコの担当者は「大卒の雇用市場は従来にも増して厳しく、競争が激化している。他の学生より傑出したものを求められる中、必要なビジネススキルを開発して習得する必要があり、インターンシップはこの経験を構築する重要な方法」と言う。

まだ大学在学中の学生か秋に入学予定の新1年生なら、"The year in industry" という英国の1年間のインターンシップ・プログラムを選択することもできると記事は推奨する。

特に外国語の学位を取得しようとしている学生は、武器としての有用な多くのスキルを獲得できる。9 ヶ月間、外国で就業体験をした卒業生は、雇用する会社にとっては魅力的だ。他の学部の学生も、就労の世界に入って、大学 3 年生(英国は3年制が多い)の間にインターンシップも選択できる。これは、英国やカナダや米国など海外でも実行できると勧める。

しかし、既卒者や十分なインターンシップする機会がなかった若者はどうすればよいか。それは、もし血眼で仕事を探しているなら、スキルと履歴書をよくするような就業体験やインターンができる先を探す価値はあると言うしかないようだ。

代替手段としては、英国では大卒者に就業体験や訓練を提供する「大卒者プログラム」に応募する手がある。 産業界での就労体験は紛れもなく非常に貴重だが、伝統的なギャップイヤーである"海外への旅"にもやはり利点があり、帰国後に仕事探しに役立つだろうと最後はなぜかトーンダウンしているのが滑稽だ。

 日本ではインターンは中途半端な一週間が主流で、「ワンデイ・インターン」に象徴されるように、企業は、本気でなく学生を「お客さん」と扱うところが多い。1年のインターンというと長くて、体の良い「1年のただ働き」という側面はあるかもしれない。しかし、「大学卒業後3年で3割辞める」安易な現状を見ても職業観の醸成は急務で、「青田刈り」のそしりを恐れるあまり、「社会が若者を育てる」、「明日の日本を支える勤労人養成」、あるいは「ネクスト・タックスペイヤー(次世代の税を支払う人造り)」という重要な役割を社会全体が"たなざらし"にしているような気がしてならない。

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