東大・濱田純一総長が、10月10日発売の月刊「文藝春秋11月号」に、「秋入学は生き残りへの賭け~世界の大学と伍していくために東大を変える」と題し、その真摯な想いを綴っている。
「失われた20年」に、グローバルの中、日本を取り巻く環境は激変し、年功序列型・終身雇用も揺らぎ、「異質なもの」と向き合う必要性を問うている。期待されるエリート像も変化し、官僚ですら、国内のことだけ考えればそれでいい時代ではなくなり、国際性・協調性が要求される。
世界の有名大学と比較すると、学部生と院生を合わせた外国人留学生の比率は、ハーバード大が20%、オックスフォード大が29%、シンガポール国立大が30%であるのに、東大は院生こそ18.6%だが、学部生ではわずか1.9%であるという。さらに、海外へ留学に出た東大生0.3%(53人)で、院生も1.9%(286人)にとどまっているという。東大の国際化の遅れは、欧米の約8割が9月入学であり、4月入学はわずか7カ国である現状を考えると、入試時期のズレも大きいと観ていて、"大学のガラパゴス化"は避けたいという。
秋入学の検討が明らかになった7月以降、「4月新卒採用」の慣習や、合格発表後の半年間のギャップイヤーをどう過ごすかの懸念があるが、前者は「通年採用」にいずれ転換していくだろうし、後者は「国際経験や社会の見聞を広める期間」として、被災地ボランティアやNPO活動、企業へのインターンといった選択肢を挙げている。また、卒業時期も、3年半の早期修了の仕組みを議論してもよいとしている。
「就活」で、実質的な修学時間が短縮化する中、人生の節目でショックを受ける体験がなければ、常に変化していく時代に対応できる能力は身につかず、入学前や卒業後社会活動を通して鍛え抜かれた学生は、即戦力とはいえないかもしれないが、企業や社会が求めるニーズに応えられるタフさと人間の幅を備えた優秀な学生に育つと力説する。
「学生が内向きなのではなく、社会が内向きなのであり、社会の閉塞的な雰囲気から変えていかないと若い世代は元気にならない」「優秀な学生は国力の源泉、失敗を恐れず、自ら率先してリスクを背負える人間こそが、次世代の日本を支えるリーダー」そして、そのような人材育成こそが"東大の使命"と結んでいる。

