ギャップイヤー・ジャパンからのニュース・お知らせ

 7月13日、JGAP砂田 薫代表が経団連 教育問題委員会企画部会(約40人参加)で「ギャップイヤー体験者を増やす施策や評価」について提案した。JGAPからは湯上・設楽両客員研究員も同席した。

 まず、ギャップイヤー体験者(gap-taker 、gapper)を増やすには、ギャップイヤーは海外に行くことだけでなく、国内でも「親元や教員から離れ、非日常化に身を置く」ことが必要条件なので、例えば国内にある1700強の「市町村」が5名平均で半年インターンやボランティアを受け入れれば、1年で17000人がギャップイヤーを体験でき、地域の課題解決に尽力し、大学入学後には就学意欲が高まり、職業観・就業力醸成にも貢献するのではと国に提言している内容を紹介した。現に、島根県津和野町では、首都圏の大学生4名が今年4月から1年間「町長付」の有償インターンとして活躍している現状も情報共有した。

 また、ギャップイヤーをどう企業が採用評価するかの提案については、約2年間である「大学卒業後ギャップイヤー」のJICA青年海外協力隊や来年から本格化するTFJ(ティーチ・フォー・ジャパン)からの「帰還者」のリーダーシップや課題解決能力を測り、経団連傘下企業が積極的に採用することが、一つの「社会的認証」につながる道筋を挙げた。ソニーの2013年度新卒採用サイトの「"シューカツ"ルールを変えよう」が話題になったように、企業の採用のものさしを大量生産・大量消費時代とは違うことを再確認し、各社に落とし込み、期待すべき人物像・経験を再定義したらどうかと提案した。最後に、ギャップイヤーは企業に入ってからでも遅くはなく、パナソニックがNPO法人クロスフィールズの「留職プログラム」を採用したことなどを紹介して、人財の多様性へのチャレンジは企業姿勢次第ということを確認した。
 
 経団連は、昨年6月16日に発表した「グローバル人材の育成に向けた提言」で、 「英国等では、学生がギャップイヤーを取得し、一定期間(通常1年間)が推奨されている。 わが国でも、学生が国内外で本格的にボランティア活動等に従事できるよう、(中略)導入する ことも検討に値する。その際、企業側には、そうした学生の多彩な経験を採用活動において 積極的に評価する姿勢が求められる」 として、ギャップイヤーにポジティブな見解を示していた。

 同年6月22日には 政府「グローバル人材育成推進会議(議長:枝野官房長官)」でも 「海外へ出たことによる不利益の是正」の項目で、企業の雇用慣行として、卒後3 年以内の 卒扱い、通年採用、及びギャップイヤー等を普及・促進する」と「中間まとめ」で記述している。そして、7月1日 東大の「全学秋入学+半年ギャップイヤー(ギャップタームと呼称)」構想がメディアにスクープされた。年末の12月22日には、国家戦略室発行の「日本再生の基本戦略~危機の克服とフロンティアへの挑戦~」でもギャップイヤーが議論され、本年4月以降は、経産省が大学生や若手社会人への海外インターン・プログラム予算を取ったり、文科省が首都圏大学生の社会体験予算を設けるなど、産官(政)学の各セクターで、ギャップイヤーの持つ"高等教育の人材育成機能"に対する期待が高まっている。
 
【参考】
・経団連紹介ウェブサイト:http://www.keidanren.or.jp/journal/times/2012/0726_05.html

・5月経団連教育問題委員会企画部会 安西祐一郎(日本学術振興会理事長・中央教育審議会大学分科会長・前慶大塾長)「大学に求められる諸改革と産業界への期待について」
http://www.keidanren.or.jp/journal/times/2012/0614_05.html

・JGAP砂田 薫代表のBLOGOSのギャップイヤー関連記事一覧: http://blogos.com/blogger/krisyoyogi/article/