海外ギャップイヤー事情 英国編:「母国で安定したキャリア実現のため、事前にギャップイヤーで"海外就業体験"をアピール~そして世界の若者がアジア・中東で能力開発を目論んでいる」の巻
不況の続くイギリスやヨーロッパの主要企業では、新卒よりもギャップイヤー期間に海外で(主にアジア)就業して、一定の仕事の経験や高いスキルを積んだ学生を採用する傾向がある。ギャップイヤーとして、海外で就業することは学生間では、後の過酷な就職競争を勝ち抜くために人気で、もはやトレンドとなりつつあるようだ。複雑な法的手続や生活全般のためのサポートは、ギャップイヤーの支援会社や認定機関がしてくれる。夏休みなどに日本で行われている"内容が薄い"お客さん的インターンシップやアルバイト感覚で働くこととは異なり、1年以上で長くは5年など給料をもらってきっちりと働いて専門的なスキルを身に付けていく。
最近では世界中の多くの若者が、インド、中国、東南アジア、中東の国々で、ギャップイヤー期間に質の高い就業経験(インターンや有期採用)をしたいと考えている。ギャップイヤー期間を通して自分が将来働きたいと希望する業界で有償・無償の仕事をして、関連の業務経験を積むことは将来の仕事を獲得する一歩として非常に有益である。つまり、その経験が就職する時のアピール・ポイントになる。日本でも今後「グローバル人材」が喧伝される中、このような人材評価なり価値感が浸透していくのであろうか。
既に、"gap year employment"(ギャップイヤー就業)"gap year employment abroad"(ギャップイヤー海外就業)"professional exposure"(実際の職業の現場体験)といった言葉が英国で一般的に普及しているようだ。
これは、米国にも当てはまり、Chicago Tribune(3月) の記事の見出しに、"from gap year gals to empty nest" (ギャップイヤー女子から、子育てが終わった女性まで)という表現があった。ギャップイヤーという言葉が日常的に浸透している様子がうかがえる。
さて、本題に戻るが、日本に置き換えると、ギャップイヤー期間の海外での就労体験を保証してくれ、しかも煩わしい一連の事務手続や申請、書類作り、ビザ取得、部屋探し、航空券の手配、保険など全部面倒をみてくれる専門スタッフがいて信頼できる認定機関やその実現のための仕組みを今後構築できるかが課題だ。また、前提として現地で普通にコミュニケーションしていくには一定の英語力がないと厳しいことがある。そして何より、"ギャップイヤー経験をした若者"(gapper)をちゃんと企業なり、社会なり、また大学なりが「本格的社会体験・就業体験などの課外活動」を意味するギャップイヤーを正当に受け入れるかどうかにかかっているように思われる。
(参考資料:英国の無料記事ウェブサイト GO ARTICLES 2012年7月25日教育コラム他)
JGAPギャップイヤー総研客員研究員 湯上千春

