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海外ギャップイヤー事情 英国編:「母子共、ギャップイヤーを通じて人生が変わったケース」

イギリスの登録慈善事業団体(Charity)であるCSV(Community Service Volunteering)では「すべての人が地域で活動的な役割を担えること」をミッションとして、老若男女が地域でボランティア活動をするためのあらゆるサポートを行っている。活動の種類や期間も自分の都合や興味に合わせて選ぶことができる。フルタイムのボランティアには宿泊費、日常生活の費用、活動場所までの交通費も支給する。

CSVのウェブサイトにはギャップイヤー期間にボランティアをした学生の体験談が多数紹介されている。半年なり1年の短期間のボランティアの経験をしても、自分の進路やキャリアを変える可能性がある。イギリスでは"gap year volunteering"という言葉も普及しているようだ。日本でもこれからギャップイヤーでのボランティアをあらゆる面でサポートしてくれる専門機関が必要になってくるかもしれない。

 以下のケースは、母娘でギャップイヤーを通じて人生が変わった話だ。ボランティアは人生を変える力があって新しいスキルを教えてくれる存在であり、若者がギャップイヤー期間に、助けを必要としている人の力になることをぜひやってみたらと英国の女子学生であるグレース・タッド(19歳)さんは勧めている。

グレースさんは、高校卒業後、故郷からも遠いランカスターに進学のため移り住んで、フルタイムのボランティアという勇気ある決断をした。

 彼女の母親がCSVに相談してみたらと勧めたからだが、実は母親も同じく18歳の頃、このCSVを通してボランティア経験があった。グレースさんは現在はランカスター大学で車いすの学生のケアをしている。それは、着替え、料理、掃除、大学生活全般まで及ぶ支援をしている。

 自宅や故郷を離れることについてグレースさんは、「はじめはどうなるのか想像もつかなかったけど、とにかく故郷を離れたのはこれが最初の経験で、知人もひとりもいなかったの」「少しの間、ホームシックになったけど、知り合いが増えて新しい友達ができると居心地がよくなったわ。今ではここランカスターが故郷だわ」と笑う。

 6月にボランティアを終えて、彼女は秋の新学期から国の健康保険制度を学ぶために復学したいと考えるようになった。「ボランティアは将来の仕事に役立つし、1年近く故郷から離れる経験もできた。自分のことは自分でするようになって自立できたし、他人の世話をすることで大人に成長できたと思うわ」と応えている。これこそ、ギャップイヤーのメリットの真髄だろう。

 49歳であるグレースさんの母親は1980年代、18歳の時にCSVのもとでボランティアに従事していた。彼女は高校を中退して働いていたが、オフィス仕事が合わなく、行き詰まりを感じていて、ボランティアをすることになったのだ。
「私はケンブリッジの近くの心身障がいの子供のための寄宿学校に派遣されたわ。週6日働き、5歳から18歳までの子供達を預かる寮父母と先生方の手伝いをしていた」。

 母親はさらに自分の経験について振り返る。「その期間は今思い出しても、人生の中で、最も楽しく満ち足りた時間だった。私は一学年ずっとそこにいてそこでのすべての経験がものすごく好きだった・・・そこで出会った子供たち、友達、スタッフのすべて。手話を教えてくれた子もいたわ」

 そこで彼女は看護訓練に応募し、病気の子供たちの看護師として訓練を始めた。今では出血性疾患の大人と子供を専門看護師として活躍している。

 CSVでは若者がホームレス、社会的に排除された人々、障がい者、高齢者などのサポートのプロジェクトでボランティアとして働く機会を提供している。フルタイムのボランティアは18歳から35歳までで、半年から1年の間、いつでもスタートできるという。

 いずれにせよギャップイヤーの発祥の英国では、母親が娘にギャップイヤーを勧めるケースや、50歳前後の親自身が若い頃、ギャップイヤー経験をしていることが興味深い。

(文:JGAPギャップイヤー総研客員研究員 湯上千春)