「ラウンド・ザ・ワールドフライト・ドットコム」という英国の旅行サイトに、「ギャップイヤーはいいなあ」というエッセイを見つけた。筆者のスチュアートさんは、1990年に世界一周の旅から帰国した際、あるかわいいらしい女の子とランチを一緒にしたという。「休日はどうだった?」と彼女に聞かれ、うまくまとまらずも口ごもって搾り出した言葉は、「あれは"休日"ではなく、"旅(travelling)"だったかな」と言ったとある。
90年代といえば"大衆化"したギャップイヤーの先駆けであり(60年代からオックスブリッジの入学予定者から始まっていた)、スチュアートさんにはギャップイヤーという名前に馴染みがなかった。どうしてかといえば、第一に、ほとんどの人は4か月から長くて8か月間で1年未満、イヤー(1年)ではなかった。
第二に、ギャップとは何からのギャップを指すのだろうか?人生からのだろうかという疑問もあった。
三つ目に、"Gap Yah(ギャップイヤーをする上流階級の子弟)"なる人たちがいる。つまり両親の資金を利用してご旅行をなさる若者だ。旅をすれば、その"お坊ちゃま達に出会うことになる。しかし、修理工、歯医者、学生、それに何の当てもなく旅をする人々もまた存在する。次に何をしてよいか考えが浮かばない多くの人々がいて、それは旅(journey)である。違うバックグラウンドをもった他人と出会うことは、その後書いた"僕の人生"というタイトルの本にはかかせなかったと言う。
そしてスチュアートさんは、ギャップイヤーの"本質"を以下13点挙げている。
1.富裕層の特権ではない
必ずしもお金持ちである必要はない。旅のノウハウではなく、旅の敷居が下がっている。たとえば、中間所得者や低所得者が旅をする余裕が出てきた。1999年には1100ポンド(約14万円、当時の月収約二か月分にあたる)かかっていたが、今では1500ポンド(約19万円)以下、[年収23000ポンド(約300万円)の場合で約一か月分強]の費用で済む。こうしてみると、旅行は以前よりはるかに身近なものとなっている。
2.若者だけのものではない
ギャッパー(ギャップイヤー経験者)たちの中で一番増えているのは、キャリアブレイク(子育て等による一時的休職)しているギャッパー達であった。だから、ギャッパーが皆18歳というわけではない。
3.金銭面の投資で考えても、決して"悪くない"
英国では、昨年の大学授業料の大幅値上げがギャップイヤーの機会を奪う可能性があるが、あきらめる前に計算してみよう。
英国の学部(3年制が多い)か、もしくは専門学校の費用=60000ポンド(約750万円)
1年11か国の旅の費用(必要最低限の小予算として)=8000~12000ポンド(約100~150万円)
そこから得られるものを天秤にかけてみよう。
4.記憶に残る価値が得られる
齢(よわい)を重ね、高齢者になって新たに何かを成し遂げたいと思い立ったとして、何ができるだろうか?遅すぎる。しかし、若ければ、大概のことは何でもできる。
5.異文化出身のいろんな人と同じ釜の飯を食べよう!(Eat with different people from different cultures)
現代は多文化社会の中で生きている。肌の色や宗教が違ったり、国籍の違う人の家で食事を共にしたことはあるだろうか?思い出を言葉にするのは好ましくないけれど、1990年、タイ・チェンマイに住む友人のお母さんの台所にスチュアートさんはいた。友達の母親が鶏肉を調理し、配膳してくれた。そこは笑いとおしゃべり、それに笑顔であふれていたという。それは、彼の人生でも最高の食事の一つだった。
6.ギャップイヤーも教育
スチュアートさんは生涯学習の信奉者だ。多くの人々が学習のピークは大学と決めつけ、人生にはまだまだ学ぶことがたくさんあるのだということを忘れてしまう。旅(もしくはギャップイヤー)は教育の一形態だ。それは教育的であると共に、金銭のやり繰りを学ぶことであり、文化的でもあり、団体活動ではなく個人的でもある。上述通りギャップイヤーは大学の年間授業料よりも安価ともいえる。
7.オーストラリア人に会おう
旅をすれば、きっと彼らに出会うことだろうと思う。これは必ずしもそうとは言い切れないが、オーストラリア人に出会うなら旅の道中がいい。彼らは何か"違う"ものを持っている。
8.アメリカ人に会おう
アメリカ人をテレビで見たことはあるはずだ。ギャップイヤーで多様なアメリカ人に会って、交流を図る、もってこいの機会といえる。
9.国内を旅し、学ぶようになる
旅は国内を周ることも促進するものだ。特に、子供を持てばその必要性は一層感じるはずなのだ。
10.大人になれる
「ギャップイヤーで世界一周した人で、後悔したと言っている人に未だに出会ったことがない」とスチュアートさんは言う。みんながみんなではないだろうが、それは、青春の通過儀礼のようなものだと考えていると語る。さらに、資金をやりくりして、地に足つけて旅をし、日常必要な洗濯もする。これらはまさに実践から生きるための知恵を学んでいると言える。多くの人がギャップイヤーを通して成長を果たしている。
11.本物の食べ物に接しよう
英国で食べる平均的な中華料理というのは、中国で食べる平均的な中華料理と比べると、たいしたことはない。違う人々や文化に触れ、食べ物を探し歩いて実際に食べなければ、本当の味覚というものは分からない。人は誰かに頬をたたかれて、初めて痛みを感じるものだ。
12.旅に出てホンモノに出会うか、家庭用に56インチプラズマテレビを購入するか
ギャップイヤーの費用に値する資金があれば、大きさで世界一、3D機能付きプラズマテレビを購入することが可能だ。テレビならソファに座ってゆっくりダラダラしながら、誰かの世界の体験を楽しめる。そちらがよいか、実際旅に出て、"自分"の感覚を磨くかの選択ではないだろうか。
13.多くの分野の人に愛される存在になれる
旅は先行投資で、長い目で見れば回収できる。一概には言えないが企業は"賢い"旅人を好む。しかし本当の秘密というのは、自信がつくということ、企業はそういった人を好む。
最後に、スチュアートさんは、男性のギャッパーならば、「女の子にも必ずモテる。100パーセント保証の限りではないが」と結んでいる。
(翻訳:JGAPギャップイヤー総研「翻訳チーム」出崎義明 編集:砂田 薫)

