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海外ギャップイヤー事情 米国編:「"ストレート入学"大好きの米国が"入学延期制度"で変わってきた」の巻 ※5日付TIMES誌(電子版)が報道

5日付TIMES誌(電子版)が「大学に直接入学しない権利が魅力を増してきた」のタイトルで、話題を提供している。

来年建学200年を迎える名門コルビー·カレッジ(メイン州)に入学許可されたある高校新卒者は、「大学入学延期制度」を利用して、現在ロサンゼルスの構外で中学生相手にメンターとして活躍中だと紹介されている。

 最初彼女の家族や知人は「入学延期」に反対していたという。大学を1年遅らせたのは、「大学は費用がかかり、大学じゃ社会問題は何も解決しないのではと思いボランティア・プログラムである『シティ・イヤー』に参加し、まずは社会に近いところで自分に何ができるか試したい」と思ったからだと言う。

 この「シティイヤー・プログラム」は全米の小中学校で17歳から24歳の若者が現役教師の補助業務やメンターとして派遣する仕組みだ。就業体験・社会体験のギャップイヤー・プログラムと言える。数年前の数字だが、UCLA高等教育研究所は、大学入学延期者はまだ全米では1.2%(米国で多い「大卒ギャップイヤー取得者」は計算されていない)とまだ高くない。

 これらの学生は自分の時間をどう使っているのだろうか。自宅で高額な大学学費準備のために働くものから、ボランティアや事前実地調査や自主研究に勤しむもの、高価な留学プログラムまでいる。1980年代の大学では考えられなかったことが今起こっている。「ギャップイヤーは主流集団じゃないが、大学は現在、修学能力向上や、なりたい大人のイメージを形成するものとして、ポジティブなものとしてそれを是認し始めている」と教育コンサルは語っている。

 ちなみに、「シティイヤー・プログラム」は参加費が無料で、奨学金として5,000ドル(約40万円)もらえる。現在大学入学前(つまり高校新卒)の参加者数は全体の1割だが、今後理想に燃えた有能な高卒者を増やしたいと言う。米国には他にも安価で社会貢献分野でギャップイヤー・プログラムがある。例えば、 SCV(学生による山岳環境保全連盟)や英国生まれのWWOOF(世界オーガニック農場就労体験機構) など枚挙に暇(いとま)はない。それだけ、若者を社会体験や就業体験で育てようという気運がある。

 米国で最古参の名門ミドルベリー大学の元入試担当ディレクターは、「ギャップイヤーを取るこ​​とで学究に集中し、レールを外すことで、本業である教育が何なのかがわかる」と言う。同大学でギャップイヤーを取得した学生は、研究によると、裕福度合や高校の成績成果を調整してもGPA(高校の成績)評価指標)がギャップイヤー非取得者より高いと分かった。これは、ノースカロライナ大学の研究で​​も同様の結果が得られ注目される。

 現在米国でも「入学延期制度」が利用できる大学は限定的なため、ギャップイヤーを取るにはこの制度があるところを探すのが当然合理的だ。またプリンストン大のように、大学自ら9か月間のギャップイヤープログラムを提供しているところもある。

 面白いのは、大学に落ちて翌年、履歴書の見栄えをよくするため、ギャップイヤーにチャレンジする"浪人生"がいることだ。ブラウン大学の補欠だった学生は、コスタリカ、アルゼンチンでギャップイヤーとして英語を教えていたが、合格したケースがあるという。

このように、米国の教育も「5歳から21歳まで一直線」という考え方は、変化しつつある。日本も、「人材育成」の文脈から、そのトレンドは感じられるのではないか。

(文責・JGAPのシンクタンク部門「ギャップイヤー総研」)