海外ギャップイヤー事情 カナダ編:「なぜ高校卒業後や大学入学後に、ギャップイヤーを取得することが一般的な規範(Norm)になってきているのか?」の巻
カナダ最大の学生向けキャリア支援サイト「ジョブポスティング」の9月24日付記事で、「なぜ高校卒業後や大学入学後に、学業から1年離れることが一般的な規範(Norm)になってきているのか?」というショッキングな見出しを見つけた。
そこには、高校を卒業して、大学の環境学部に進学した女子大生が紹介されている。彼女は入学するまで、「勉強することが、自分の人生の明確なステップだと確信していた」「進学しようかどうしようかなんて考えたこともなかった」と言う。ところが、入学後に学寮の部屋に閉じこもって、興味もない科目の提出期限が過ぎてしまい、宿題の山に埋もれたことでそれは破たんした。中間試験期間中に急に目が覚めたように、「自分がなぜここにいるのかさえわからなくなった」とまで言う。
彼女の話は、カナダの進路指導界隈ではよく知られた話らしい。アメリカでも、これまでは、多くの学生は高校からストレートに大学進学する。しかし欧州では学生が学業を一旦中断するギャップイヤーが文化や慣習として浸透しており、現在ではその考え方がアメリカやカナダでも飛び火している。研究調査でも高校と大学の間の一時中断のギャップイヤーがあるほうががあらゆる意味で本人の将来のためになるという。
「私は学生にギャップイヤーをためらわずに勧めます。特に何を勉強したかわからない場合は尚更です」とポール・ボーマン氏(クウイーンズ大学就職進学課課長兼就職カウンセラー)は語っている。「我々はギャップイヤーなしでもやる気があって方向性がはっきりしている学生をたくさん見てきましたが、なぜ自分が大学にいるのかわからない学生も多く見てきた。彼らは単に時間を埋めているだけで・・」と口ごもる。
実は、先の女子大生は、悲惨な中間試験期間中に中退している。今や3分の1のカナダの学生が大学1年間を過ごした後に、中退などで大学を離れる時代となったが、そうした1人となったわけだ。
「中退っていうのもばかげてるけど、もし2年生に進んでいたらもっとばかげたお金の無駄使い」と彼女は言い切る。夏の3か月間、北オンタリオへ植樹関係の仕事に従事した。「大学にはまた戻りたいとは思っているが・・。ただ、本当に私が何をしたいかを知りたい」そして、樹木の仕事で貯めたお金を海外で、何か人道的な分野で使いたいと思っている。
「ギャップイヤーは自分が何をしたいのかをはっきりとさせるために必要な期間」「ギャップイヤーを経験したほとんどの学生は大学に結局戻る。子どもがギャップイヤーを選択するというのは親にとっては不安ですが、私がこれまで見てきたデータでは必ずしも不安なものではない」とボーマン氏は説明する。
「就業体験や自覚といった生産的なことのためにギャップイヤー期間を費やすのであれば、価値がある」「学生にはまず外に出て人と会い、何かに関わり、新しいことをやってみて、学び、ネットワークを広げてほしい。自分が今いる安楽なから出てみてほしい」と続けている。
カナダでも多くの大学が入学延期許可を出し、ギャップイヤーに協力的だという。大学によっては復学前に1年の海外留学を含むような橋渡しをする「ギャップイヤー・プログラム」まである。入学延期を決め、「ギャップイヤー・プラン」を持って教務課を訪れると、大学側は学生の計画をサポートする。
「なぜなら、そういう学生の方が復学後の学業成績がよい。ギャップイヤーは学生のモチベーションをあげることと連関することが証明されているからです。モチベーションが高まるにつれ、集中力がつき、彼らの豊かなキャリアへとつながる」とボーマン氏は結んでいる。
カナダでも、本格的な社会体験(ボランティア・課外留学等)・就業体験を意味するギャップイヤーが、大学でのキャリア支援の一つになっていることがわかる。
(文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 湯上千春)

