海外ギャップイヤー事情 米国編:「100年超の歴史がある米国・コネチカット大学の大学新聞"デイリー・キャンパス(電子版)"がギャップイヤーをテーマに議論」の巻
110年の歴史がある米国・コネチカット大学の大学新聞「デイリー・キャンパス(電子版)」が3月5日付のオピニオン欄でギャップイヤーをテーマに議論している。見出しは、「 ギャップイヤーが持つポテンシャルは、学生たちに多くの果実をもたらすだろう」だ。
まず、高校生は大学出願に際して、自分の進路にちゃんと取り組んでいるとは言えるだろうかお問う。日本でもこれは、当てはまるのではないか。通常、普通科の高校生は3年になると、他の選択肢を考えることなく、大学に出願をする。高校から大学の時間が極めて重要なのに、何を勉強したらいいのか明確でない場合も、また勉学に疲れたり興味を失っていても、その大事な時間をあまり認識していない。大学に入ると、何に興味があり、何に興味がないかを授業や課外活動を通じて見つけたり学んだりできる機会があると考える。しかし、大学というものは、本当に入学してからそういうことを探すべき場なのだろうかとこのオピニオン欄は問いかける。
高校から大学の間にギャップイヤーを取ることは、欧州では旋風を巻き起こした現象であるが、米国ではそこまで一般的ではない。米国のギャップイヤーの専門家であるローラ・ホシッド氏によると、イギリスの7%の大学新入生はギャップイヤーを取るために入学延期をする。この統計はギャップイヤーを高卒後に先に取った後に大学に出願した高卒者を含まない。よって、イギリスの10-15%の大学新入生がギャップイヤーを取っていると推定される。しかしながら、米国では数年前の古いデータでは、大学新入生の約1.2%だけのが1年間入学延期を決めている。アメリカ人は1年間「空白」を取ることへのある種の決めつけや傷跡というような見方に対するためらいが強いと観ている。
ところが、ギャップイヤーを取る学生を大学があまり受け入れないというと、そうではない。現に、大学に出願する学生に対し、在学中に得られるプラス効果のために、多くの名門大学が新入生にギャップイヤーを取るよう興味を喚起する。
ギャップイヤーははたして"傷跡"なのか。両親は自分の子供が1年間旅したり働いたりすると、そこで子ども達が今後も大学に戻らないのではないかといぶかる。名門ミドルベリー大学の入学試験事務局長は、ニューヨーク・タイムズの記事の中で、ギャップイヤーは学生達にとって充電期間となり、学業の崩壊を防いだり、入学準備の調整期間になると主張している。
実際のところ、ギャップイヤーが高校から大学への移行の弊害を否定するだけでなく、大学時代全体にプラス効果を及ぼす。
簡単に言えば、ギャップイヤーは高卒者が旅行やボランティア、仕事を通じて、残りの人生に何をしたいのかという、より良い意識へと導く。
ギャップイヤーをバネに、学生たちは何を勉強したいかのより良いアイデアを持ち、明確で簡潔な結論を出す可能性が高い。
入試事務局長はこうも言う。「高等教育の専門家は、学生たちに現実の世界を探検する機会を提供すると、彼らを"おとな"にさせると言っている。彼らが大学の学業に戻ると、高校から大学へ直接入学した者よりも成績がよいと、先行研究で明らかになっている。」
大学入学時に既に何を専攻するか心に決めていることは、学生たちがその後自分たちが受講する授業やインターンシップで効率よく準備ができるからと指摘する。
そして、学生が自信を持つことは、より一層の努力を注ぐ可能性が高いし、結果的にさらに良い成績を収めることになる。ギャップイヤーを取得した大学生が、取得しない学生よりもかなり高いGPA(成績評価点)を取るという事実もある。
更に事務局長はこう続ける。「高校卒業前だと多感な時期で"さてどうしよう?"という感じでひ弱いし、達成感や自尊心の低下につながる。ギャップイヤーはそれを未然に防ぐ。」
大学入学前にギャップイヤーで興味・関心のあることや自分自身を探求することは、大学での時間をより効果的に使えるという結論になっている。
文・加藤 直子

