ギャップイヤー海外事情(カナダ・中国・南ア編)「ギャップイヤーは、世界の人材育成に貢献へ!」
藪内 達也(日本ギャップイヤー総研客員研究員)
これまでに、「ギャップイヤー海外事情」と題して、米国と英国の事例を見てきたが、ギャップイヤーを取り巻く状況は、もちろん他の国でも進展している。米国・英国に比べると、事例の数や浸透度合いは少ないが、カナダ・中国・南アフリカがどのような状況に置かれているのかについて、検証していく。 それは、いわば、ギャップイヤーが世界の人材育成に貢献というトレンドだ。
1.カナダ~1/3が大学中退
今やカナダは、大学を一年間通った後に、学生の三分の一が中退等で大学から去る国である。カナダ最大の学生向けキャリア支援サイトでも、環境学部に進んだそのような一人の女子大生が紹介されている。彼女は大学に入学するまでは「勉強が自分の人生の明確なステップ」と確信していたが、入学後に興味のない科目の宿題に追われる中で、「自分がなぜここにいるのかさえ分からなくなった」と言う。これは一例だが、彼女に似た境遇にいる大学生が、全体の三分の一を占める。
彼女は「中退っていうのもばかげているけども、2年生に進んでいたらもっとばかげたお金の無駄使い」と彼女は言い切る。そこで、夏の三ヶ月間は、植樹関係の仕事に就いた。大学には戻りたいと思っているが、貯めたお金を海外で、人道的な分野で使いたいと思っている。
「私は学生にギャップイヤーをためらわずに勧めます。特に何を勉強したいか分からない場合は尚更です」と言うのは、クイーンズ大学就職進学課課長兼就職カウンセラーのポール・ボーマン氏。
元々カナダではアメリカと同様に、高校卒業後はストレートに大学進学する。しかし、ギャップイヤーの文化が根付いた欧州の考え方が両国にも飛び火してきているのが現状だ。今ではカナダでも、多くの大学が「入学延期許可」を出し、入学見込者へのギャップイヤー取得に協力的だ。大学によっては復学前に1年の海外留学を含むような橋渡しをする「ギャップイヤー・プログラム」まである。つまり、大学側が学生のサポートもしてくれるのだ。
このように、カナダでも本格的な社会体験(ボランティア・課外留学等)・就業体験を意味するギャップイヤーが、大学でのキャリア支援の一つになってきている。
![]()
2.中国~ギャップイヤーの体験記がベストセラー!
日本以上に厳しい就職活動、雇用状況に直面している中国だが、ここ1年程でギャップイヤーに対する認識が広まりつつある。
まずは、中国関連情報サイト(サーチナ)の中で、中国人ブロガーが「日本のギャップイヤー(間隔年)」の内容が紹介されている。そこでは、欧米で敷衍しているギャップイヤーの概念が、日本でも広まりつつあり、日本ギャップイヤー推進協会(JGAP)が設立されたことや東大がギャップイヤー制度を導入する案も紹介されていた。
また、昨年9月中旬には、国営テレビの「中国中央電子台」も、英語討論番組"Crossover"でもギャップイヤーについて30分間討論をした。番組内では、「まだ中国人は現実主義的で、ルーティーンから離れるギャップイヤーは稀だが、実際若者を中心に起こっている事象」と説明された。
他にも、別の番組でもギャップイヤーについて取り扱われたことがある。作家の孫東純氏が13ヶ月間、海外でボランティアに従事した体験記「延長したギャップイヤー」がベストセラーとなり、若者の間で人気が広がっていることが発端となったようだ。
3.南アフリカ共和国~多様性の中で徐々に浸透か?!
南アフリカのニュースサイトで、コラムニストが「ギャップイヤーは誰でも行けるわけではない」という刺激的・反語的な見出しで、現地を卒業したばかりの優秀な黒人女性を紹介している。
南アフリカの同人種間では、人に認めてもらうために良い成績を収めなければならない、という脅迫観念がいつも存在している。また、学費を捻出してくれた親の恩返しも含めて、良い成績を収めなければならないプレッシャーがある。「ギャップイヤーを取得して自分自身を試してみる」という選択肢自体がないと言いたげだ。
優秀な成績の彼女の周りにも、同じように「必死に頑張って安定した職を得る」という考え方をもった人が多いが、その他にも「ギャップイヤー」を取得し、自分の人生を切り開いた人たちとも話をして、「自己発見に身を投じる見返りは、初任給を受け取ることよりはるかに素晴らしいのかもしれない」と思うようになったとある。
Reference: JGAPホームページ掲載記事(46記事):http://japangap.jp/info/cat44/
(1)海外ギャップイヤー カナダ編 2012.11.22
(2)海外ギャップイヤー 中国編 2012.7.17
(3)海外ギャップイヤー 中国編 2012.9.15
(4)海外ギャップイヤー 中国編 2012.12.29
(5)海外ギャップイヤー 南アフリカ編 2012.12.17

