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ギャップイヤー海外事情(米国編まとめ②)「ギャップイヤーはプラン(個人が自主的に作成)とプログラム(大学や公共団体が作成)があり、後者が充実!」


湯上 千春(JGAP総研客員研究員)


 米国の大学てプログラムやサポート制度が導入されて、ギャップイヤーが注目されてきていることについて米国編①で触れた。米国ではさらにギャップイヤーはキャリアの選択肢の一部としても捉えられてきている。ここでもこれまでJGAPで発信してきた「ギャップイヤー海外情報 米国編」の内容を簡単に紹介する。


1.キャリアの一つとしてのギャップイヤー
 英国ほどはまだ浸透していないが、米国でもトップクラスの大学をはじめギャップイヤー取得することを推奨する大学が増えてきて、学生の人気も高まってきている。さらにギャップイヤーは米国では高校を卒業して大学で勉強したいことを見つける単なる架け橋としての意味合いに加え、キャリアの選択の一つ、そして将来のキャリアに繋がる重要な社会修行の期間としても捉えられている。


2.教務課のみならず就職課がサポート
 高校卒業後にギャップイヤーを取得して大学入学前に様々な経験をするような入学を延期してくれる制度のみならず、大学の在学生にもギャップイヤーは人気となっている。教務課だけではなく、就職課も情報を提供したり、セミナー開催するなどギャップイヤーのサポートに力を入れているようだ。

 例えば、全米トップクラスの名門ペンシルバニア大学では就職課(キャリアセンター)が同大学公式ページ上でギャップイヤー・プログラムの紹介欄を設けている。それによると在学生に1年間あるいは2年間のボランティアや地域奉仕活動プログラムに参加することが選択肢として人気となっている。就職課では教師、弁護士組織、医療、環境保全など様々な機会があるようだ。在学生のためにTeach For Americaなどの受け入れ先のリストが紹介されている。在学中および卒業後にギャップイヤーを取得することはキャリアの一つの選択としても捉えられてきている。(1)

 またスタンフォード大学医科大学院では、卒業生でギャップイヤーを経験した人達が医師を目指す学部学生に向けて自分達の体験を共有するセミナーに参加し、その様子がビデオ公開されている。この「メディカル・スクール・ギャップイヤー・パネル」セミナーの主催者も大学の就職課(キャリアセンター)であり、前述のペンシルバニア大学同様ギャップイヤーを一つのキャリア、また将来のキャリアに繋がる期間として捉えているようだ。セミナーでは卒業生は1、2年は親元を離れて社会修行することを勧め、また成績に加えてギャップイヤー自体が将来のキャリアに有利であるという内容が話されている。ここでも単なる高校から大学への繋ぎ期間というより将来に就く仕事と密接にリンクして有利なものであると捉えられていることが窺える。(2)


3.社会貢献、社会修行としてのギャップイヤー
 ギャップイヤーには、学生の自主的な活動である「プラン」と、大学や公共機関による「プログラム」がある。ギャップイヤー期間での経験から意識が変化して招来の進路に影響するケースもあるようだ。例えば全米20都市の学校の子供達の指導をする若者を派遣するアメリ・コー(AmeriCorp)の全米社会貢献プログラムと提携する民間団体City Yearに応募した学生がいる。教師の補助、放課後プログラムに関わることでこれまでの自分の恵まれた環境に気づいて意識が変わり、その後、大学で公共政策を学んで修学意欲が湧いて様々なことに参加するように変化しているケースがある。City Yearは大学に学費、生活費補助の支援、またこうしたアメリ・コーなどのギャップイヤー・プログラムを修了した学生は全米約90の大学が経済的なサポートを提供し、中には授業料の半分を補助する大学もある。(3)ギャップイヤー期間に経験したインターンシップによって、その後の自分が本当にやりたいことが明確になって大学で勉強したいという思いが高まって学業に熱が入るというケースもある。(4)

 また、米国ではギャップイヤーとは単なる留学や旅行をするだけでなく、「有期の仕事」の一つとしてギャップイヤー取得すると捉えられており、それを大学側や大学と提携した民間団体が強力にサポート体制を組んでいるようだ。

  米国編①、②とこれまでJGAPで発信してきた「ギャップイヤー海外事情(米国編)」を少しずつ紹介してきたが、米国でもギャップイヤー人気が高まってきていることが窺える。米国の世界最大級で若者向けの音楽・エンターテイメント・ブランド「MTV」が2013年5月・6月に高校卒業後、大学にすぐに入学せずにギャップイヤーを取得する若者のドキュメンタリーを制作する。そのために該当する高校3年生を募集し、応募する人は自分の自己紹介とギャップイヤー計画をビデオにして送ることが条件である。(4)

 但し、流行や人気だから無謀にギャップイヤーを取得するのではなく、大学での信頼できるアドバイスと支援を得て、支出する予算をしっかりと計画を立て、安全面や保険についてもよく調べて、ギャップイヤー取得する際に何を考えて、どういう準備をするべきなのかをきちんと把握することが今後、重要である。

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Reference:JGAPホームページ掲載記事
(1)ギャップイヤー海外情報 米国編 2012.11.19
ペンシルバニア大学のキャリアセンター:
http://www.vpul.upenn.edu/careerservices/undergrad/servicegapyearprograms.html 
(2)ギャップイヤー海外情報 米国編 2012.11.25
 スタンフォード大学メディカル・スクール
http://studentaffairs.stanford.edu/cdc/services/video-gap-panel
(3) ギャップイヤー海外情報 米国編 2013.08.13
内閣府資料: アメリ・コーの概要:
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/jiritu/02/siryo02-3.html 
(4)ギャップイヤー海外情報 米国編 2013.08.14
(5)ギャップイヤー海外情報 米国編 2012.02.23
米国MTV:http://www.mtv.com/news/articles/1701022/taking-gap-year.jhtml