海外ギャップイヤー事情 英国編:「ギャップイヤーを家族に認めさせるロジック?~ギャップイヤーは、学校の"屋外授業"だ!」の巻
英国の「ホステル・ブッカ―ズ(世界のホステル予約サイト)」に、「ギャップイヤーを家族に認めてもらう方策」という特集記事が出ていた。英国といえでも、ギャップイヤーは息子や娘が、親元を離れて目が行き届かない場所に「修行」に出るわけで、猛反対を食らうケースもある。そこでこのようなコンテンツになったのであろう。
どういうロジックで、高校卒業後で大学生未満の学生や、大学卒業直後の若者が多い「ギャップイヤー生(gap year student)」は家族を説得させられるか。ここでは、ギャップイヤーは本当は「これまでの学校での勉強の延長線」であって、学校をさぼったり夜中にどんちゃん騒ぎすることではないとの論拠を使用することを提唱している。
以下屋外の"授業科目"に見立てた構成だ。一見"無軌道"なご子息のギャップイヤー活動に懸念を示されるであろう日本の親御さん、「心の準備」はいかがでしょうか?!
美術
旅先の美術館と博物館を全部見て回ったら、10年間の教室での座学よりもはるかに多くのことが学べる。展示を見たり街かどの建築物を見て気付いたことをメモしたりすることで、優れた作品に関する知識を増やすことも可能。ストリート・アーティストの活動の注視や、タワーやゲートなどの建造物のスケッチもいいかもしれない。
公民
長いギャップイヤーの旅の中で、最もやりがいのあることにボランティアがある。便利屋、英語の先生、ベビーシッター、いろいろやってみることで、教室の中ではわからなかった自分の性格や能力や周囲の人たちのことが見えてくる。旅行で、全く違う人生を歩んできた人と話をしたら、その国はどういう国なのか、法律や政治はどうなっているのかもわかり、その土地に暮らす人々を理解するための社会的スキル能力も向上するだろう。そして、様々な人権についても学習できる。自分には自国で普通に与えられた機会が、会った国の人には用意されていなかったということも知る。
演劇・ドラマ
演劇関連のボランティア活動もある。これを通して、チームとして物事をやり遂げるための力も身につけられる。もしかして「見る方専門」であっても、現地の演劇や舞台を見に行ったり、路上パフォーマンスを見たりして、批評・論評の眼を養える。毎回感想を書いて、ネット上で発信すれば文章力も伸びる。また、旅行の最中には、トルコのアルテミス神殿のような見事な劇場を訪れることも実際できる。
経済
旅行中の資金計画を色々考えている内に、諸外国の経済の差異についてよくわかるようになる。各国の通貨について理解できたら一つの才能で、為替変動の理由を考えることもギャップイヤーという学校の授業の一部。更に人々の暮らしに金融政策が与える影響についても理解したら、世界経済についても詳しくなれる。
国語(English)
例えば東南アジアなら、英語を教える代わりに宿と食事を提供してもらう、ということが英国人なら比較的簡単にできる。英語の動詞変化を説明するのはなかなか骨の折れる仕事だが、そうすることで今まで以上に英語という自言語についての理解が深まる。また、旅行の最中には、英語を話せるというのがどんなに運の良いことなのか、特に外国での仕事探しにどれほど有利なのか気がつく。
自由な時間を活用して、これまで読んでもいないのに、読んだということにしていた「学校推薦図書」もじっくり読める。読書家魂を発揮して、そうでないという人も読書家になって、読みふけられる。多くのホステルには古本交換屋があり、そこで旅の途中の読書を人との交流に結び付ければ、お金も節約できる。
地理
ギャップイヤー中に行ってみたい所を考え、地図上で点描してみることは、教室で岩石について学んでいるのよりもよっぽど勉強になる。河川、自然災害、先進国と途上国、生態系、観光、天気、人口、農業など...徹底的な下調べをしていたら、地理に関する豆知識を沢山つけられる。
歴史
毎日の遺跡や博物館訪問は"百聞は一見"にしかず。ツアーに参加したら、そこの歴史に実際にふれながら勉強できる。出かけない日にはガイドブックをよく読んで勉強し、食事の席では歴史知識で友達を驚嘆させるようになるだろう。
ICT 情報技術
ネパールの外れで、年代物のコンピューターでスカイプが使えるように調整できるか、パソコンスキルは極限まで試される。あるいは、立ち上がったばかりの慈善団体でボランティアをすることでパソコンスキルは飛躍的に伸びる。
外国語
考えるまでもなく、フランス語でもスペイン語でもドイツ語でも、毎週3時間やるより、実際その国に住んだ方が上達する。地域の人とおしゃべりをして、英語を教えてあげる代わりにスペイン語を教えてもらえる。その言葉に囲まれて生活するのは、間違いなく上達への一番の近道だろう。
数学
1ユーロがタイバーツでいくらになるのか計算することで、暗算力をキープできる。ギャップイヤーの間、世界中でメニューの値段を自分の国の貨幣に換算し続けていたら、最終的には歩いて話せる"人間計算機"になっている。予算管理能力も向上し、50ユーロで1カ月過ごせるようになるかもしれない。
音楽
耳目を傾け、聞こえてくる音楽を楽しみましょう。路上のシンガーから、バーでのミュージシャン、大規模なサマーフェスティバルに至るまで、よく聴いてみよう。
ギャップイヤーは、新しい楽器を始めるのにぴったりの時でもある。ハーモニカかウクレレ、ギターがあれば、旅する一人バンドの出来上がり。音楽家は皆に歓迎されるので、ホステルでも沢山友達が出来る。
政治学
間違った政治がどんなに人々を痛めつけるか、指導者がどのように国を動かすのか、その国で一番深刻な問題は何で、それがどう人々に影響しているのか、現地にいればよくわかる。もし現地の言葉をある程度知っているなら、新聞を読んでみる。各々の国が、どう自国と関連し合っていることが見えてくる。
体育
毎日山登り、街歩き、海で泳ぐなどすることは、どんな学校の授業よりも価値がある。他にも太陽の下でテニス、ヴェネツィアの海岸でローラースケート、ヨーロッパを自転車で横断、ベトナムで子供たちとサッカー、アメリカで野球観戦、タイでボクシング、カヌー、乗馬、卓球など...文字通りエンドレス。
宗教学
ギャップイヤーの間に沢山のお寺、教会、モスク、シナゴーグなどの宗教意味合いを持つ建物を訪れるだろう。宗教が国を分断している例、宗教が政治に与える影響や宗教が生み出す地域差なども見ることになる。現地の人々の暮らし方が宗教に深く根ざしたものであることもわかる。
科学
ギャップイヤーの間、外国人がそこの環境にどう適応し対応しているか、野生動物とたわむれて自然を感じたことを帰国後伝えよう。また、気候や地形やそこに特有の動物・植物がどのように影響しているかか知ることが出来る。電気の通っていない国に行ったときには、現地の人がどうやって風力を活用しているのか見ることもできる。
ギャップイヤー
ギャップイヤーは、「昼はビーチ、夜はバー」でただ過ごしている期間ではない。もちろん、こうしている時間がない訳ではないが・・。ギャップイヤーは自分自身について発見し、世界の中での自分の立ち位置について知るためにある。この時間を十分活用して、将来の就職や友達づきあいの時に魅力的な人間になってもらいたい。
(文・吉武くらら @ドイツ)
JGAP総研
※「海外ギャップイヤー事情」50記事の一覧リスト(右ナビ)→http://japangap.jp/info/cat44/
JGAPが「翻訳」部門で、ボランティアとプロボノ公募~あなたの英語力が、この国の"ギャップイヤー文化"を創ります!(8月18日締切) http://japangap.jp/info/2013/08/post-95.html

