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海外ギャップイヤー事情 米国編:「ギャップイヤー経験者のほうが大学での成績がよい!~FOXビジネスが伝えた米国のギャップイヤーの進展」の巻


ギャップイヤー経験者のほうが、大学での成績がよい!
 フォックス放送(英語名:The Fox Broadcasting Company)は米国のテレビネットワークのひとつで、21世紀フォックス傘下にある。設立は1986年と、ABC、CBS、NBCと比べ振興だが、近年は視聴者数で並び、現在は「4大ネット」と呼ばれている。
そのサイトであるFOX Businessの9月20日付に、「ギャップイヤー取得にあたって考慮すべきこと」という見出しの記事が掲出された。

 記事では、欧州諸国では、高校卒業後にギャップイヤーを取ることは一般的(例:北欧では5割超)であったが、米国でも学生ローン滞納と大学の学費の値上がりに伴って、学生間でもギャップイヤーの人気が高まりつつあるという。どういうことか。

 「学生が1年間、技能を習得し直したり、何かをしたり、キャリアの機会について知ったりすることが、結局は大学での方向性を正しく決めることになる」と、パースカレッジの教育推進部副部長は言う。「学生はこの時間を使って、奨学金や補助金などさらなる経済支援を探すこともできる」

 高校から大学へ即座に進学するよりも、高大間に期間を取って、関心事を追求したり価値ある経験をしたりすることで、大学入学後に、よりよい修学が出来るだろう、と考える専門家も多い。

 名門ミドルベリーカレッジの元入試局長が行った調査では、ギャップイヤーを取った学生は、取っていない学生よりも優れた成績を取る傾向があることが明らかになった。ミドルベリーカレッジとノースカロライナ大学の学部生は、入学前にギャップイヤーを取っていた場合、GPAの点数が高校時代の成績から予想される点数よりも平均して0.1~0.4点高くなっている。つまり、ギャップイヤー間に、"自頭"がよければ勉強の仕方を忘れていないということになる。
(訳者注:GPAとは、全ての科目の成績の平均点のことで、4点を満点として計算されることが多い)

 ギャップイヤーを勧める親もいるが、一般的な保護者の心配は、我が子は学校での授業を忘れ、半年かそこらで大学に戻らないのではないかということだ。しかし実際は、「ギャップイヤーのおかげで、大学に入学すると、やる気を持って何かに取り組むようになったという声が多い」とギャップイヤーの専門家は言う。


目的を持ってギャップイヤー計画を立てること
 高卒者がギャップイヤーを取得する理由は、大学でのハードな勉強に向けた準備がまだ出来ていないため、時間をかけて自分にぴったり合った大学を探したい、高校・大学の接続の時点で、何らかの社会経験や就業体験を本格的にしてみたい、などとまともなものである。

 ギャップイヤーの悪例は、「ちょっと休みたいから」という理由だろう。この競争社会の中、ただのんびりと過ごすために休みを取る選択肢はない。これが米国的なギャップイヤーの平均的捉え方かもしれない。一方、欧州では、「ブレイク」自体が必要との考えもある。

 ただ、より「いい大学」に入学できるよう、翌年出願し直す目的だけでのギャップイヤー取得の学生に対しては、釘を差す必要がある。

 翌年「よい大学」に入れる保証はないし、それ以前にギャップイヤーの本質に反している。ギャップイヤーの本質は、「自分は何者なのか、何に自分は興味があるのかを探るために、何か始めたり徹底的に打ち込んだりしてみて、どんな結果になるか、何かのきっかけになるか確かめること」だろう。

 「学生がギャップイヤーの計画を立て、明確な目標を明らかにすることは、時間とお金の無駄使いを防ぐ」と、シンキング・ビヨンド・ボーダーズの設立者であるロビン・ペンドレイ代表は言う。

 「自身の方向性や大学生活を送る目的意識を見つけるという明確な意思を持ってギャップイヤーを作り上げるべき」、「時間、お金とエネルギーの使い方を学び、大学に行って活躍できるための大切な投資」、「大学に向けて準備をし、そこでの4年間を精力的かつ効果的に過ごすため」と続ける。


ふさわしい選択肢を見つけること
 目的や経済状況に応じて、ギャップイヤーの過ごし方にはかなり多くの選択肢が存在している。企画されたギャップイヤー・プログラム、ボランティア活動、インターンシップ、アルバイトや資格取得などだ。

 米国には既に組織化されたサポートがあり、奉仕活動や冒険の旅や語学の勉強などができる様々なギャップイヤー・プログラム(Teach For America, Peace Corps等)が存在する。

 「興味のあるいろいろな分野を追求してみることは、大学での専攻を決定し、同時に、将来働く時に"売り"になるような価値ある技能を身につけるのに役立つ」とシンキング・ビヨンド・ボーダーズを利用してギャップイヤーを取った後、コロンビア大学を卒業したリズ・クンストナー氏は言っている。

 ギャップイヤーは、自分の目指そうと思っているものに近付くために実際の体験が出来るし、さらに、実はやりたくないことを明らかになるメリットもあるだろう。もし何かの職業体験をしたら、その職場に入ってみて、そこのルーティーンはどんな感じで、社員たちがどう働いているのか観察できるだけでも価値はあるのではないか。また、ギャップイヤーの経験を持つと、将来履歴書に書く内容も増やせると多くの識者は言う。

 「1年(2学期制)の間に異なった4つのインターンシップをやり、大学に入学し、在学中もインターンシップ、フェローシップやアルバイトに挑戦した学生は、志望すれば大体どこででも採用されるでしょう。はっきり言うと、採用担当者は4種類もの体験を、相当高く評価する」
 また、 「ギャップイヤーの内容は、学生の経済的、社会的状況や進路の志望に沿ったものにできるので、大学生活の方向性を見いだせるのは、考えもがいて専攻を変えるのに比べて、非常に貴重な投資になる」とクンストナー氏は続ける。

 大学では絶対に得られない、あるいはできない、それが確信できれば、ギャップイヤーはやっていいのではないか。日本で深く浸透するのは、この確信が条件かもしれない。

 「ギャップイヤーを終えたその時に、自分が何をしたいのかはっきり分かったわけではない。しかし大学で、どのようにしていきたいかを考えるための道具は得られました」と、クンストナー氏はそう結んでいる。


(文・吉武くらら @ドイツ)

JGAPギャップイヤー総研

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