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海外ギャップイヤー事情 英国編:「ギャップイヤーの予算を抑える25の実践的方法とは?」の巻バックパック1.jpg


 エマ・ランダーさんは旅をこよなく愛する英国人で、英国やフィンランド、韓国などで英語を教えてきた。児童小説まで書く彼女が、「ギャップイヤーの節約法」を伝授している。

 若者がギャップイヤーをするにあたって、最大、とは言わなくてもかなり大きな悩みとなるのがお金に関することだ。自分は大金など持っていないから、大学入学前に世界を旅行することは出来ないなどとよく聞く。しかし、これはあまり正しくない。少ない予算でも世界旅行は可能で、素晴らしい時間を過ごせるというのが実践してきた彼女の言い分だ。

それは25のアドバイスに及び、読者の皆さんと一緒に考えてみましょう。

1. 良く計画すること
 もし予算が限られているのなら、どの位お小遣いとして使えるお金が残るのか知るために、何にお金を払わなくてはいけないのか知りたいだろう。出発の前に主な出費についてざっくりとした見通しを立てておけば、その分を全部一つの口座に預け、もう一つの口座を予備の出費用に使うことが出来る。主な出費とは、交通費、宿代、食費、保険、予防接種だ。注意:保険と予防接種は必モノだ。ここをケチる旅行者も多いが、これは命を守るためのものなのだ。

2. 安く行ける行き先を選ぶ
日本からだと東南アジアは外せない。米国からだと南米だし、これは住んできた地理によるが、東欧は金無し旅行者にとってうってつけだ。食べ物は安く、泊るにも安いし、国から国まで3時間以下で行き帰りできる。遠いところでも、長期間行くのならば、もとがとれる。

3. 早めに予約する
 可能ならば早めに予約しよう。前もって予約すれば、何でも安くなる。列車や飛行機は、早割でかなり安くなる。計画を立て、どこに行くかはっきり決めなくてはいけないが、それで大きな節約となる。

4. やたらと何か所も訪れようとしない
 都市から都市へ移動することは予算を食うだけではなく、あちこち行こうとし過ぎると、いつも旅疲れして、訪れたどの場所についてもよくわからないまま終わってしまう。観光客としてでは無く旅行者としてギャップイヤーをするためには、ゆったりと過ごし、それぞれの場所を楽しもう。パスポートのスタンプ押しに奔走すると、旅の思い出や余韻を消化できないだろう。

5. みんながホリデイの時期に旅してはいけない
 これは当たり前のようだが、多くの人がやってしまい、チケットの値段や混雑について不満を持つ。休暇の時は誰もが旅行しようとするので、旅行会社はそれを利用して追加代金を取る。予算を抑えて旅行するカギは、柔軟にいくことだ。他の誰も旅行しないような時間を選ぼう。例えば、週の中日の午前4時の便だとか(笑)。

6. 空港では両替しない
 空港の両替所は便利だが、その分手数料も高い。予算を抑えるために便利さを犠牲にしなければならない時もある。街中にたどり着くまで待って両替すれば、レートはかなり良い。

7. 多額の現金を持ち歩かない
 いつか誰かの言葉で、「失くしてもいい金額以上は持ち歩くな」というのがある。東南アジアには腕のいいスリがいるのは有名だが、お金を全部持っていかれたくはないでしょう?失くしたお金は二度と戻ってこない。クレジットカードやデビットカードは、なくなった場合も、停止措置や再発行も可能なので優れている。

8. 海外用プリペイドカード
 これはなかなかよい。ただ、何事もそうであるように、利用は注意深く行い、小さな文字で書かれた注意事項も目を通すこと。海外用プリペイドカードはデビットカードに似ていて、出発前に銀行口座を通じてお金をチャージし、海外でその分を使うことが出来る。

 為替レートは固定のため、もしレートが良い日にチャージしたら、使い切るまでそのレートで買い物ができる。貸付機能が無く借金は不可能なため、お金の無い人にぴったりだ。紛失した場合は再発行が出来、ちゃんと残高の入った新しいカードが手に入る。

9. 夜行便の利用で宿泊費を浮かす
目的地に到着したら、その後の移動は安いものだ(行き先にもよるが)。しかし、どこに行くにしても、確実なことが一つある。夜行便を使えば宿代が要らない。夜行便で宿泊費を浮かし、次の目的地にも移動できる、一石二鳥だ。夜行列車と夜行バスは多くの国で運行しており、思ったより快適な場合もある。

10. ホステルの相部屋の利用
 もちろん、一人部屋に泊れるのにこしたことはないが、ホステルの相部屋がいいだろう。新しい友達が出来るし、旅の相棒とめぐり合えることだってある(一人旅にぴったり)。最大のメリットは、個室に比べてかなり安いことだ。Hostel WorldやHostel Bookersなどの大手サイトを使ってホステルを見つけ、値段を比べてレビューを読みましょう。

11.贅沢は諦めよ
 ギャップイヤーは永遠ではない。帰国したらダブルベッドやiPod、大型テレビに囲まれた生活に戻れるのだから、旅行中は少し質素な生活を心がけよう。なにも、ゴキブリが出る部屋に泊りなさいと言っているのではない。個室よりも10人部屋を選び、バスルーム付きの部屋ではなく共同トイレを選ぶ、ということだ。

 もし、本当にまったくお金が無くて、蒸し暑い国に行く場合は、エアコン付きではなく扇機の部屋に泊ってみよう。値段がものすごく安いが、熱から逃れる手段がエアコン以外無い場合もあるというのは覚えておくこと。

12.高価なものを持ち歩かない
 旅行を台無しにする確実な方法がある。大切な持ち物を家から持ってきて、旅行中に失くすことだ。iPadやノートパソコンを失くしたい人なんて存在しない。事実、旅行中はそんなものはなくても大丈夫なのだから、確実に安全な自宅に置いて出ることだ。大抵のホステルやホテルは宿泊客用にネットのできるコンピュータを用意しているから、お母さんとちょっとスカイプをするのも簡単だ。

 どうしても貴重品を持ち歩きたい場合は、ロッカーの付いたホステルを探して、自分の南京錠も持っていくことだ。

13. 洗濯物を手洗いする
 洗濯代は、安いように思えても、ちりも積もれば山となる。他人にやってもらうのではなく、自分でやってみよう!

 荷物の中に手洗い用洗剤を入れておき、ホステルの流しを使って、着た物を洗おう。真の節約家は、シャワーの中で下着を洗う。すぐできて、簡単で、無料だ。

14. 観光者向けのレストランで食べない
 レストランで食べていたらすぐにお金が消えていく。5分も歩けば、同じものが半額で売られているのが見つかる。観光客ではなく、地元の人で満席のお店を探しましょう。そこが良いお店であることは保証済みだ。地元の人がやってくる店はおいしくて安いに違いない。アジアの国々では、屋台のものを食べよう。お腹を壊す心配はしないで、注文したらその場で作ってくれる所を探そう。レストランのどんなメニューよりも屋台の方がおいしい事が多い。

15. (可能なら)値切る
 行き先で値切るという文化があるのなら、交渉してみよう。それは失礼なことではなく、そうすべきことなのだ。お店に入って言われた値段を払ったりしたら、ぼったくられたことになる。値切り方にはコツがあるが、やればやるだけうまくできるようになり、真のお買い得品を購入できるようになる。

16. 自分の力でやる
 若者の多くが海外へ引っ越しするのに業者を使ったり、海外旅行をガイド付きグループツアーで行ったりする。このやり方には長所もあるが、自分でやるよりかなり高くつく、という大きな短所がある。

 仲介業者を通さなければ多額のお金が浮き、目的地に着いてからの楽しいことに使える。多くの下調べが必要になるが、お金を節約するだけでなく大きな達成感も味わえるだろう。

17. キャンプも検討
 ギャップイヤーでオーストラリアなどに行く場合、宿泊費がかなり高額になる。長期間旅するつもりで、本当に節約をしたいなら、宿に泊るのではなくテントを購入してキャンプをすることを検討してみよう。

18. ワーホリなど仕事を見つけること
 これについては言うまでもない。予算が限られていて、異国に行ってみたいが資金が無い...働こう。オーストラリアやニュージーランドでは、仕事を見つけてお金を稼ぐのが簡単なので、バックパッカーにぴったりだ。ポイントは、柔軟に行くことと、できる仕事は何でもすることだ。

19.ボランティア
 働いてお金を得るのではなく、どこかの機関や人間に自分の能力を提供する代りに宿泊(場合によっては食事も)を無料で用意してもらうこともできる。ボランティアは履歴書をよい感じにしてくれるので、帰国後のためにもおあつらえ向きだ。

20. 現地の人と友達になる
 ある文化について本当に理解するためには、現地の人と話をする必要がある。どうやって暮らしているのか観察し、質問をして、彼らのやっている通りにやってみるのだ。現地の人と友達になるのは簡単だ。大抵の国では、あなたが彼らを珍しいと思い、交流してみたいと思っているのと同じだけ、向こうもそう思っているものだ。現地の人は、ガイドブックに載っていない場所を紹介してくれたり、本当の家庭料理を作ってくれたり、自分一人で冒険していたのでは絶対に分からないようなことを教えてくれたりする。

21. ギャップイヤーは1年間である必要はない
 ギャップイヤーをするからといって、丸1年旅をしていなければならない訳ではない。もしまったくお金が無いのなら、必要な金額が貯まるまでひたすら自分の国で働き続けるのが一番だ。銀行口座に十分な資金が貯まったら(飛行機代を除いて最低30万円は欲しいところだ)、旅立ちの時だ。

22. お酒を飲まない(なるべく)
 ギャップイヤーをする人の多くが、目的地に到着するやいなや、新たにできた旅の仲間とバーやクラブに繰り出し、延々とビールを飲み続けてしまう。これでは、お金をどぶに捨てているようなものだ。楽しむなとは言わないが、お金がかかることを忘れてはいけない。

23.無料Wi-fiを活用する
 無料Wi-fiは色々な場所で飛んでいる。ホステルでも、近頃はバーやレストランでも、Wi-fiがある。ネットカフェやホステルで料金を払うのではなく、ここでスマホをサーバーにつなぎ、ネットをしよう。大した金額ではなくても、ちりも積もれば山となる。

24. 現地のSimカードを購入する
 旅行中に電話をかけたりメッセージを送ったりしたいなら、現地でSimカードを購入して携帯電話に入れよう。母国のSimカードのままでは様々な海外手数料がかかって残金はすぐに底をついてしまう。

25. 生活費をググる
 目的地を決めたら、グーグル検索で行きたい国の生活費の相場を調べよう。そうすれば、1日暮らすのに必要な金額が見積もれる。

 最後に、頭に入れておくべきことは、誰にでも旅行はできる、ということだ。この読者が誰であろうと、予算がどうであろうと、どこに行きたかろうと。少ない予算で旅をするのも楽しいもので、多くの若者がやっている。事前にアルバイトなどしてある程度お金を貯め、一生忘れられない冒険の旅に出発しよう!


(文・吉武くらら @ドイツ、JGAP総研客員研究員)

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