ギャップイヤー・ジャパンからのニュース・お知らせ

JGAP寄稿者短信:「世界一幸福な国、デンマーク-ギャップイヤーで掴む10のチャンス」banrisan.jpg


 皆さんは、「ギャップイヤー」という言葉をお聞きになったことがあるだろうか。もともと、これは大学就学前後の1年をめどに、正規教育から離れてテーマを持って「ボランティア・インターン・国内外留学」等で過ごす英国で生まれた社会慣行である[1]。先日、『ギャップイヤーが、大学生活を豊かにする10の理由。オバマ大統領の娘も1年間とるよ』[2]という記事がHuffPost Japan Lifestyleに掲載された。あまりにも、ギャップイヤーがいかに大学生活を豊かにするのか分かりづらい内容であるため、このブログでは、筆者自身の留学経験と実際にデンマーク人に対して行ったインタビューをベースに「ギャップイヤーで掴むことができる10のチャンス」を紹介したい。ここでは主に、留学、旅行、ワーキングホリデー等の海外経験を通したギャップイヤーを中心に筆者の考えを述べる。


Chance 1  「非日常」をデザインする
 日常の生活から離れ、予算・時間が許す限り、自分が体験してみたい自分だけの「非日常」をデザインするチャンスだ。今まで行ってみたかった国に観光ビザで滞在するのも良し、海外ボランティアを経験してみるのも良し...自分を充電することのできる「非日常」である。どんなに些細な事でも良い。ポイントは、それらをギャップイヤー終了後も継続することである。例えば、デンマーク人の生活習慣を模倣した筆者は、時間を見つけてはお洒落なカフェに行くようにしている。そこでは何もせず40分~1時間ゆっくり過ごす。そのような、自分の考えを整理するための小さな「非日常」は、日本での生活にも応用できる。


Chance 2 経済的に自立をする
 Chance 1を読んで、「うちの家庭はそんなお金がないから無理!」と反論するあなた。例えば、デンマーク人の典型的なギャップイヤーは、1年のうち最初の3、4か月程アルバイト等で旅行や留学への資金を稼ぎ、残りの期間で旅行や海外滞在をする。また、インターンやワーホリで生活費を稼ぎながらギャップイヤーを取るのも珍しくない。これらの背景には、18歳になると、デンマークでは成人とみなされ、親の財政的援助を受けないという社会的な認識がある。自分が稼いだお金でギャップイヤーを取るというのは、自分の将来への投資の勉強になる。


Chance 3 ライフスタイルを変え、QOL*を上げる
 渡航先で思う存分身体を動かしたり、興味がある本を多く読んだり、新たな趣味に挑戦してみたり...自分を心身共に向上させるため、ギャップイヤーは思い切ってライフスタイルを変えるチャンスになる。筆者がインタビューしたコペンハーゲン大学在学のヨセフィネさんは、イスラエル滞在中、午前中アルバイトをした後、午後はプールで泳ぎ、街を観光する等、余暇を存分に満喫した。
*QOL...Quality Of Lifeの略。生活の質。


Chance 4 心の余裕を持つ
 ギャップイヤーを取るということは、教育制度というレールから外れることである。ポジティブに言い換えると、高校や大学での授業と課題、大学受験、就職活動...ギャップイヤーはこれらの社会的プレッシャーから解放してくれるチャンスだ。誰もが大きなプレッシャーの中で、高いパフォーマンスを発揮できるわけではない。そして、良いリラックスして心の余裕がある時に、物事に落ち着いて向き合うことができる。そのような環境を自ら整えよう。


Chance 5 素直な感性と自分の視点を磨く
 ギャップイヤーを存分に活かす環境と心の余裕を兼ね備えた時、自分にとって重要な周囲の情報を吸収しやすくなる。異文化に触れる、音楽や芸術を楽しむ、何でも良い。渡航先の国ならではの感性や視点の磨き方があるはずだ。コペンハーゲン大学在学のヘンリックさんは、ギャップイヤーで日本語を学びながら日本文化に触れ、東京の街を散歩しながら、将来のキャリアについて考えた。筆者自身は、デンマーク滞在中やデンマーク国外旅行中に美術館を巡ることで「素直な感性」で作品を鑑賞し、風景や街の写真を撮ることで「視点」を変えて自分の身の回りを観察するようにしている。


Chance 6 自分を導いてくれる大切な人と出会う
 環境を変えることで、普段出会えなかった人たちと出会うことができる。異国で新しい友達や恋人を作るのも良いが、SNSの友達リストが外国人であふれることは重要ではない。自分の専攻分野や進路選択に大きなヒントを与えてくれるような人と積極的にコミュニケーションを取り、自分の興味のあることについて熱く語ってみよう。自分のキャリアを切り開くような良いアドバイスがもらえるかもしれない。筆者の場合、インターン先のボスや仲間たちのアドバイスやサポートが、幸福やギャップイヤーを意欲的に勉強するきっかけやモチベーションとなっている。


Chance 7 他者との比較をやめる
 日本のように幼いころから競争にさらされ、他人の目を気にする社会では、絶え間なく自分と他者を比較し続け、意図せずも自らを疲弊させる。Chance1でも述べたが、自分だけの非日常をデザインし、実際にそれを経験する。これがギャップイヤーの醍醐味である。自分オリジナルでユニークな経験と、他人のそれを比較するのは無意味であると同時に、時間の無駄である。自分のやるべきことに集中すると、他人のキャリアは自分にとって重要ではないことが分かる。


Chance 8 自分だけの軸を創る
 「あなたは何をしている人ですか?」、「どうしてそれをするのですか?」、初めて出会うデンマーク人に必ずと言って良いほど聞かれる質問である。これら2つの質問を「あなたの軸は何ですか?」と言い換えても良い。大学で勉強したいことや、卒業後にやりたいことを日常生活で考える機会は滅多にない。忙しい人なら尚更だ。ギャップイヤーで時間的・精神的両方に余裕がある時こそ、自分の軸を着実に創っていくチャンスである。

Chance 9 創造性を高める
 自分だけの軸を創り、好きなことに集中するプロセスで、人は創造的になり、大きなエネルギーを持つ。自分の好きな物事に対する内発的・実存的動機により、人の創造性は掻き立てられる。それに伴い、今まで思いもしなかったことに気づき、全力でそれに取り組むようになる。例えば、コペンハーゲン大学在学中のイダさんは、高校卒業直後、何をすべきか分からなかった。しかしながら、ギャップイヤーを通して、彼女が昔から好きである文学と日本を強みとし、将来、日本文学を研究をしたいと考えている。


Chance 10 幸福度を上げる

 「世界一幸福な国」と言われているデンマーク。筆者のデンマーク人の友人や、インタビューしたデンマーク人たちは日々の生活やキャンパスライフを存分に楽しんでいるように見える。それは、自分がしたいことに夢中になって取り組み、将来に対して自信や希望に満ち溢れている彼らの表情は生き生きとしているからである。些細なことでも、幸福度は上がっていく。例えば、「昨日分からなかったことが分かるようになった。」、「勉強したいことが見えてきた。」というギャップイヤーでの小さな発見の積み重ねが、結果として大きな喜びとなっていく。


 HuffPost Japan Lifestyleに書かれている、「大学での成績が上がる」、「履歴書の見栄えが良くなる」というのは、あくまでも結果である。重要なことは、ギャップイヤーでいかに数多くのチャンスを掴み、新たな経験や視点として自分の血と肉にできるかである。ここでは、筆者独自の10のチャンスを列記したが、これら複数のチャンスは相互的に関連しているということを改めて強調したい。ギャップイヤーは普遍的な答えなど無い、人生の1~2年をかけた「人生の壮大な旅」である。「まだこんなチャンスがあるよ!」という方は、フェイスブックのコメント欄やメッセージで筆者に教えていただけたら嬉しい。そして、この記事が皆さんのギャップイヤーへの関心や議論へのチャンスとなれば、筆者にとってこの上ない幸福である。

banri.JPG
プロフィール:
林 万理(はやし ばんり)
1993年生まれ。山口県出身。立命館アジア太平洋大学(APU)国際経営学部4年生。2015年8月下旬より、コペンハーゲン大学経済学科に交換留学中。興味のある分野は、デンマーク人の幸福観、デンマークの社会福祉モデル。趣味は、フィットネスとカフェ巡り。
個人ブログHP(L!FE IS CRAZY): http://banrihayashi.com/
Twitter:@banrihayashi
北欧研究所HP:http://www.japanordic.com/

参考
[1]Sunada, K. (n.d.). 一般社団法人 日本ギャップイヤー推進機構協会(JGAP). Retrieved May 26, 2016, from http://japangap.jp/greeting/
[2]Strutner, S. (2016, May 16). ギャップイヤーが、大学生活を豊かにする10の理由。オバマ大統領の娘も1年間とるよ Retrived May 26, 2016 from http://www.huffingtonpost.jp/2016/5/16/10-reasons-take-a-gap-year_n_9999154.html?ncid=fcbklnkushpmg00000063

2016年5月18日付
「世界一幸福な国、デンマークで『自分だけの軸』を創る」(林 万理さん、APU4年生=コペンハーゲン大学留学中)-エッセイ集 フロンティア・フォーラム
http://japangap.jp/essay/2016/05/-apu4.html

最近のお知らせ

アーカイブ