海外ギャップイヤー事情 米国編(その4=おわり):「ギャップイヤーは官製・民製・私製といろいろ、経費負担もバラエティに富むと知る」の巻
ギャップイヤーは官製・民製・私製といろいろ、経費負担もバラエティ
「詳細な計画がない」というのはギャップイヤーの切っても切れない魅力。コンサルタントのホリー・ブル女史は、「私は、バラエティ豊かな選択肢を前にしたギャップイヤー希望者が、いったい何に興味を示すのかをいつも探っています」と言う。ギャップイヤーの魅力のひとつは、期間中に、色々なことを体験できるという点。だから、彼女はクライアントに2~3のオプションに挑戦することを勧めている。
もし学生が外国での開発プロジェクトのような高額プログラムに惹かれたら、経費負担を減らす方法もある。例えば、難関だがプリンストン大学のように、学生が無料または低額のギャップイヤー・プログラムを受けられる大学が存在する。民間プログラムの中にも、費用負担の支援が利用できるものがある。例えば、サンフランシスコに拠点を置き、セネガル、エクアドルやブラジルに高校卒業生を送るGlobal Citizen Year(GCY)という非営利団体は、26,000ドル(約200万円)の支出の支援に、階層に分けて奨学金を提供する。アビー・ファリク代表は、大学と同じ費用援助形態を考えている。2年前に始まったこのプログラムは、33人の参加者の11人に奨学金全額を支援し、ほかの11人にも部分的な補助を提供している。
本格的海外体験プログラムで、よく練り上げられたものには数々の利点があり、例えば緊急時や不測の事態に対応することなどが挙げられる。またプログラム終了生には、大学が単位を与えたり、外国語の履修を免除することが考えられ、実施されれば利用者のコスト軽減につながる。「今までのところ、ギャップイヤーを経験した高卒者は、大学で学ぶことを渇望しているのがわかります」「彼らは自分たちをより自立・自発的にするスキルをギャップイヤーで身に着けているのです」と、ファリク氏は答えた。
【総括】 ギャップイヤーの時期は、「高→大」「大→会社(起業)」「会社(起業)→会社(起業)」の明確な"つなぎ""連結部分"が基本。注意すべきは、"休学"はギャップイヤーの要件ではない
今回のレポートも含め、4回シリーズで米国のギャップイヤー事情をケースで概観してきたが、英連邦だけでなく、確実に米国でもギャップイヤーという概念が浸透しているように考えてよいだろう。日本でも産官学民のそれぞれのセクターでギャップイヤーは議論されてきているが、"本丸"は高校・大学間の「つなぎ期間」、そして官製のピース・コー(平和部隊)、アメリ・コー、民製のティーチ・フォー・アメリカ等の大卒後・就職(起業)間のキャリア・ブレーク期間だ。もちろん、オーダーメイドである個々人の"私製"のギャップイヤーは多種多様。ただ、大学学部内の"休学期間"などを通じてのギャップイヤーのデータや事例は見つけにくいし、学術研究文献も見当たらない。日本固有に近いかもしれない。ツイートを読み込んでも、"Should I take my gap year before or after uni?"(ギャップイヤーは大学入学前か卒業後に取るべきか?)などの表現がほとんどだ。
逆にいえば、期間の定義は3ヶ月から(2年まで)であり、別に休学をしなくても自主休講や長い休みを利用や延長して、アイセックなどでギャップイヤー取得はできる。イスラエルなどでは、短期間のギャップイヤーをmini gapと呼称するようにもなった。ギャップイヤーの定義は、英国・教育省や主要な学術研究者の間では「親元・教員から離れた非日常性の中での社会体験(ボランティア・非正規留学等)や就業体験(インターン・アルバイト等)」の課外活動というのが支配的だ。
つまり、国内で引き合いに出されることがある休学の有無は、ギャップイヤーの定義の要件ではないし、直接関係ない。ギャップイヤーを取得したが、それはたまたま休学をしたかどうかという問題だけだ。狭く捉え、誤解をしている学生や社会人もいるので、この際是非基本概念を知っておいてほしい。
そして、大学も社会も無為な「空白」「ブランク」という捉え方ではなく、正当に重要な「連結期間」「本格的課外活動機会」としてのギャップイヤーを認識し、人材育成(グローバル人材、問題解決型人材、リーダーシップ、高コミュニケーション能力等)や多様な価値(ダイバーシティ)の文脈で、この"世界基準"の概念で認めていくことが肝要だ。
(文 / JGAPギャップイヤー総研「翻訳チーム」 関塚芽衣子 総括/砂田 薫)
※米国ギャップイヤー事情の追加情報
BLOGOS:米国の新聞コラム「10代に直球トーク」に掲載された"ギャップイヤー"議論 砂田 薫 http://blogos.com/article/44269/
「ギャップイヤー・ハーバード・カレッジ(Gap Year Harvard College)」が誕生!~ギャップイヤー経験学生によるピア・サポート体制-JGAPギャップイヤー総研客員研究員 湯上千春 http://japangap.jp/info/2012/07/gap-year-harvard-college.html
以上

