ギャップイヤー・ジャパンからのニュース・お知らせ

12/2実施 文科省第2回「学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議」検討会議議事録が公開!

 この文部省の検討会議は、昨年10月主に、「大学秋入学とそれに伴う半年ギャップイヤー」を産官学民セクターの各代表者で議論・検討するために設置された。このたび、12月2日実施の第2回「議事録」が公開された。全文が読めるようになったが、以下16委員の主な発言・やりとりを要約する。

下村大臣
「本日は、鈴木座長と砂田委員から、国際教養大学のギャップイヤー入試の取組や海外の事例について御発表いただけると聞いております。若者たちがギャップターム等を活用し、留学など様々な活動からグローバルな視点や新たな価値観を見出し、大きく成長できるよう文部科学省としても総力上げて取り組み、また併せて皆様方の御提言を受けて、各大学においても是非ギャップターム等、さらに促進していくような動きを作っていくように文部科学省も働き掛けをしていきたいと思っておりますので、是非活発な御議論をお願い申し上げたいと思います。」

鈴木座長(国際教養大学学長)
「ギャップイヤー入試の目的ですけれども、本学の理念はグローバル社会で通用するタフな人材を育成・輩出するということにございます。そのためにギャップイヤー入試でも、年齢あるいは学事暦にとらわれずに国の内外の諸問題に対し高い関心を持ち、探求する意欲のある人材を求める。あるいは失敗を糧にして困難に挑戦できる人材、あるいは人を動かせる力を持った人材を発掘する手段としてこの入試が行われているということで、早い時期に社会体験を積むということで、入学後の学習意欲あるいは職業選択意欲が高まるということが期待できるわけです。」

砂田委員(JGAP代表/お茶大特任講師)
「定義というのは、"親元や教員から離れた非日常下でのインターン・ボランティア・国内外留学、課外の国内外留学"となります。つまり大学間協定がある交換留学とかじゃなくって課外の留学、あと旅です。旅も1つの留学だと考えるといいかと思うのですが、そういう位置づけである。期間については3か月から24か月というイメージを皆さん持っているということです。ちなみに後でお話ししますが、アメリカのギャップイヤー協会というのは去年設立されましたが、彼らの期間の定義は2か月から24か月です。」
「実はこの資料4の表紙にエッセンスを書いております。今からお示しするのはファクトベースで、世界で何が起こっているかという事例を紹介しているわけですが、これを結局見ていくと、『グローバル人材』の文脈と、もう一つ『社会的課題解決型人材』をギャップイヤーは作り出すという結論を申し上げたいことでございます。」
配布資料:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/57/siryo/__icsFiles/afieldfile/2014/02/12/1342409_04.pdf 

濱田委員(東大総長)
「私たちも担当教員、FLYプログラム、2人ついて、かなり密な連絡をしています。これが、先ほど申し上げましたように、じゃあ高校を卒業した全員がこのギャップイヤーを使うということになると、担当教員がとても間に合わないということになりますね。これは現実的にはもう動かないということになります。そのときに動かないと考えるのか、そこの突破口は、恐らくそういう若い人たちを社会が育てる。もちろん教員が責任をある程度持たなきゃいけないのですが、同時に社会も責任を持ってそういう人たちを育てる仕組みがやはり根付いていくということが僕は大事だと思います。」

藤沢委員(シンクタンク・ソフィアバンク代表)
「お話を伺っている中で、未整備の部分というのは5つあるのかなと。1つは資金面、2つ目は安全面、これは体の健康、そして精神の健康、そして治安という部分の安全、そして3つ目は理解ということで社会からの理解、親からの理解、そして学内からの理解というもの、そして4つ目がやはり身分、学籍がないということで学生にとっての身分の部分、そして5つ目がプログラム、インターン先であるとかそういったプログラムというふうに、私はきょうのお話を伺って5つの未整備部分というのを感じました。」

船橋委員(ウィル・シード代表取締役会長)
「今、『トビタテ!留学JAPAN』ということで、留学生を倍増するという計画が文科省主導で始まっていますが、大学生や企業の若い社員に、最近よく話を聞く機会があります。海外留学となると、余り自分ごととして捉えていない。海外に行くということ自体がちょっと自分には遠い、あるいは勉強しにいくというのが遠い、あるいは体育会で部活をしている人なんか時間がないという中で、私はギャップイヤーというものができれば、1回何か考える。その選択肢の1個として留学というぐらいの方が、ここにすごくインパクトが起きるのではないかなと思って、これ国としても大学としても企業としても海外留学生を増やしたいというのがある中で、こういう1個受け皿があると進むのではないかと思います。」

山内委員(一橋大学学長)
「基本的には大学で、さらに入学が決まっていなくてもどうしようか。その上で初めてどこの大学にするかというところまで今のお話は突き詰めて行くというような気はするのですが、ただ、入学が決まる前に高校を卒業して、そのギャップイヤー期間でギャップイヤー学生みたくするというのはかなりコストも高いですし、その人の人生にとっても危険性がかなり高いような気がするので、やるのであればやはり入学をどこかで決めた上で、予定者なり何なりという形で少しいろいろ考えさせると同時に、入った場合には大学が自分のプログラムを含む形でやった方が良いかなと私は思いました。」

宮城委員(ETIC.代表)
「私は齊藤先生と濱田先生が最初におっしゃった18歳全員にこのギャップイヤーを体験させるような社会的な仕組みを作っていくというのは非常に賛成です。こういう今回の検討会議のような場は、やっぱり問い立てが大事だと思いますが、私は1つの問い立てとしてそういう問いを立てて、日本の今の若者たちの現状を考えたときに、18歳の若者が、仮に全員希望すれば、このギャップイヤーを体験できるというシステムを作るにはどうすればいいかという問いを1つ立てるということは、非常に大胆ではありますけれどもおもしろいのではないかなと思います。もちろんもともとそれを、本来のギャップイヤーの趣旨である主体性を持って決断するというだけの子供たち、学生の意識をどう育んでいくかというような基盤作りから考えないといけない課題だと思います。」

萩原委員(立教大学教授)
「18歳で大学に行くという観念を、やはり日本ではもっと壊していくべきだと思っております。18歳で一体自分は何をしたいのかと思ったときに1回社会に出てみるということですね。そして大学に行く選択というのもあると思います。私は今、ずっとフィンランドを調査していますが、フィンランドでは生涯学習という言葉がなくて一生涯学習です。学びたいときに常に戻っていける場所、そういうところが大学であると思っています。例えば立教大学の大学院は8割が社会人です。そこに多様な世代が学ぶことによって、ある意味ギャップイヤー的な経験をしていく。まずだから常にある固定観念みたいなものから一応自由になるということが、このギャップタームの議論をしているときに1つは重要だろうと思っております。」

長谷山委員代理(慶大)
「ギャップタームという名称ですが、ギャップタームというのはまさに東京大学が秋入学とか、それに関連する学事暦をお考えになったときに学期をどうするかという発生で出てきた1つの用語だろうと思いますが、もっと広く、今この会議で議論されているような入学前の体験や人材育成をどうするかということで言うと、やはりギャップイヤーという用語が良いのではないか。特にグローバル化に対応するので考えようというときに、欧米ではギャップイヤーが短い期間でも一般で、これは濱田先生には申し訳ありませんが、多分ギャップタームといきなり言っても、イギリスとかアメリカの人間はそれ何という感じだと思います。ですから、いろいろこれから議論は尽くされていくだろうと思いますが、むしろ広くグローバル人材を育成するという意味で用語を定義付けていくならギャップイヤーという言葉で議論を続けていくのが良いのかなと、感想です。」

島村委員(日商)
「学生のキャリア教育や職業観の醸成という観点からも、ギャップイヤーは大きな役割を担っていくのであろうと思います。しかし東京大学の濱田総長もおっしゃったように、ギャップイヤーの本来の趣旨は学生が自由な発想で自主性を持ってその期間の過ごし方を考え、その後の人生や進路を考える上で有益な経験を広げていくことにあると思います。したがって留学以外にも産学連携などを通じたインターンシップなど、学生側にある程度のプログラムメニューを提供していくことが大事なのではないでしょうか。それと、先ほども意見がありましたが、やはり入学を認めて、学生として、それから、何といいますか、活動をしていただくというのも、やはり私は賛成だと思います。」

御手洗委員代理(経団連)
「大変いい話を聞かせていただきました。ありがとうございました。最近、我々企業内の教育の考えるとき、非常に重視しなければいけないと分かってきたのはやっぱり自発性・自主性です。やっぱりお仕着せのプログラムを幾ら教えてもなかなか定着しない。ところが自分でやりたいとか自分で計画したものをやらせると、これは本当に定着します。そういう意味では、そういう本人の意思というのを大事にしていこうということで、企業内の教育が見直されていると思います。そういう観点からいきますと、今回、国際教養大の皆さん、非常に高いレベルで成果を上げられたというのはやはり自分で自主的に決めて、それから自主的にやって、それでいろいろな自覚が出てきたと思います。やっぱりそういうことがすごくいいサイクルになっていったのではないか。これが、例えば18歳全員とかということになりますと、本当にその辺が担保できるのか。やっぱりそういう自発性を大事にするようなことをどういうふうにしながら、広げるのはどこまでということをある程度考えていかざるを得ないのではないかという気がいたしました。

 それからもう一つ、違う観点で言いますと、我々企業といたしまして、この間から申し上げておりますとおり、もう秋の卒業も結構ですし、ギャップターム、ギャップイヤーで卒業が遅れても、それはもう全然関係なく受け入れたいと思います。それはもう、いろいろな機会を通じて言っていきたいと思います。むしろ高く評価しますよという、それぐらい言ってもいいかな、いや、言いたいぐらいだと思っています。ただ、逆に高く評価しますよというのがわーっと産業界から出ますとどういうことが起こるかというと、みんな、じゃあギャップタームは就職に有利なのねということになって、次にどういうことが起こるかというと、多分、いろいろなお仕着せのプログラムができます。で、それを例えば認定団体がAとかBとかCとかDとかいうと、多分、就職のとき、私はAのこれをちゃんと受けてきましたとかいうそんな話になっていくのではないか。そういうことになるというのはやっぱり非常に良くないなと思っています。ですから自発性とか自主性とか、そういうことを本当に大事にして、そういうことがきちっと評価できるような仕組みを作っていくことが必要なのではないかなと思っています。」

2013年12月2日 第2回文科省「学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議」議事録
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/57/gijiroku/1344529.htm 

全般資料:文科省「学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議」http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/57/index.htm 

2014年1月31日実施 第3回検討会議配布資料 資料3 砂田委員資料
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/57/siryo/1343955.htm 

記事:
半年ギャップイヤーが議論! 10/4 第1回「学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議」が文科省で開催された。-ニュース | :http://japangap.jp/info/2013/10/104-1.html