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JGAP寄稿者短信:「世界一周するのと,海外に長期滞在する違いは何ですか?」(内藤俊輔、 青年海外協力隊/ルワンダ派遣)

 ここでの世界一周されている人は,基本的にはバックパックで旅行している人を差します。
長期滞在は自分のようなボランティア,または仕事などで海外に1年以上滞在している人を差します。

 自分は結果的に協力隊を最初は選択し,現在進行中ですが,最初は世界一周も頭にありました。

どちらも世界を観るという点では達成出来ると思います。が,微妙な違いがあります。

 自分が海外長期滞在している身で,さらに幸いルワンダで10名近くの世界一周旅行者さんとお会いする事が出来たので,違いが結構見えてきました。

 ただやはり偏った記事になってはいけないので,今回ご協力者がいます。その名も,,,ふじもんさん

 世界一周についてブログを調べたりしている人は既に知っているかもしれません。
そのくらい世界一周系では有名な人です。

 自己紹介は,ブログ世界中から熱苦しく・・・「ふじもん世界放学ブログ」からの引用になりますが,様々な活動を経てから教育の世界に。私立高校、教育委員会、公立中学校を経て今に至る。現在はフリーランス。 「教育から日本と世界を変える」が人生の目標!

 激アツですね,自分もルワンダでお会いしましたがこの文章に全く退けをとらない熱さを持った方でした!

という訳で,せっかくですからふじもんさんに今回の記事の議題について意見を頂きました!

今回二つの質問を投げさせて頂きました。

・世界一周と長期滞在の違い
・世界一周のメリット,デメリット

 両方とも答えは似てますけどね。
で,実際に頂いてみて長期滞在はほぼこのメリット,デメリットと逆な部分が多かったので,回答にそって自分の意見も添えてみます。

まず,世界一周と長期滞在の違い

 ふじもんさん:ザックリまとめれば「広く浅く」というのが世界一周の旅、「狭く深く」というのが長期滞在になると思います。それに尽きるのではないでしょうか。

 まさに自分もそう思います。
あとでまた書きますが,長期滞在をする事は世界を観るというよりも,もう1つの母国を持つ感覚に近いと思います。客観的にその国を観れる時期は意外と短いです。

そしてメリット,デメリットですがまずメリットから(太文字はふじもんさんの見解)

①それぞれの国の滞在期間は短いけれど、たくさんの国の様子や人々を見ることができる。
②たくさんの国を見ることができるので、それぞれの比較ができる。ここがすごく大きい。

 思うに、①②に関しては世界一周の一番の特権かもしれません。繰り返しになりますが,長期滞在(特に協力隊)の場合は客観的というよりかは,主観的にその国を見る形になります。


③移動してまた宿を探し、現地の人々に色々聞き・・・という過程そのものが面白い!
④常に情報を仕入れ自分の責任で動くということは大きな自己責任も伴うものであり、まさに「生きる力」を育んでくれる。
⑤常に移り行く環境の中で自分の身体を保たなくてはならないので、健康でいるための体力がつく。
⑥常にその場での判断が要求されるので、瞬時の判断力に磨きがかかる。
⑦常に身の危険を意識しなくてはいけないので、人を見る目が(ある意味本能的に)つく。
⑧危機管理能力が身に付く。以外にこれは大きいかも。

 ③~⑧に関しては,ふじもんさんの言葉を借りるとまさに「生きる力」を養えると言っていいと思います。バックパック式の世界一周は常に環境が変わり続ける中で行動をしなければならないので,自分の身は自分で守るという事が必然的に必要になりますね。

 長期滞在は入国当初はこれに近い感覚ですが,慣れてしまえば良く言えば余裕,悪く言えば油断が生まれます。

では続きまして,デメリット。

①その国の浅い部分しか見ることができない。長く滞在するからこそ色々見たり感じたりできるその部分がどうしても失われる。
②仲良くなった現地の方とも、すぐにお別れがやってくる。これは寂しい。
③その国や土地の生活のコツをつかむ前に移動してしまうので、深くて面白い部分まで感じられないことも。

 ①~③は世界一周される方のほとんどの方が言っていましたね。
表裏一体な部分はありますが,長期滞在の場合は客観的に見ることが難しい分,深い所まで感じる事が出来ます。

 世界一周してても親友は得られる可能性はありますが,例えば一緒に仕事をしたりなどの親友であり戦友でありみたいな関係を築くのは長期滞在が圧倒的に有利かと思います。

 自分もこれが長期滞在の中の大きなメリットだと思っています。
何度も言いますが,裏を返せば世界という視点では見れなくはなりますが。

④移動ばかりで疲れる。また移動時間が勿体ないともいえる。
⑤移動はリスクもあるので、盗難や強盗の危険性も高まる。

 ③④はなるほど!って思いましたね。確かに世界一周されている方は移動時間が大半を占めているかもしれません。これも旅の醍醐味の1つですが,時間を有限とすると確かに勿体ないのかも。
そして確かに途上国では移動中での犯罪・事故が多いので,事故に巻き込まれる可能性は高いと思います。

 しかし,これも裏を返せば「生きる力」を養えるという事になりますね。

⑥常に両替をするので、その都度の手数料分のマイナスが実は大きい。

 これもお金を有限と考えると確かに。と思いました。まず,世界一周中の方はお金がプラスになる事はまず無いかと思います。

 逆に長期滞在は仕事で来ている場合もあるので,プラスになる事もあります。自分も協力隊という立場で来ていますが,給与は日本の数分の1になりましたが,貯金は実は出来ていたりします。

 ただ,お金を自分で全て負担して行っている世界一周ですから,1秒でも記憶にしっかり留めておこうとする努力は,長期滞在側と比べると雲泥の差だと思います。


⑦ただダラダラする長期滞在は別ですが、長く滞在することでボランティア活動に参加出来たり実際に仕事をしたりと、ただの旅では体験できないことにチャレンジできる。

 これ,①~③と似ていますが,重要なキーワードが入っています。「ただダラダラする長期滞在は別ですが」

 これです。これは⑥にも関連しています。協力隊が時に否定をされる理由でもありますが,我々はお金がプラスで入ってくる仕組みにいる為,しかもそのお金が日本から出ているという事もあり,
派遣国側は損はしません。よって,時に活動もせず2年間をダラダラ過ごしてしまう隊員もいるようです。ただルワンダではそのような隊員を自分は見た事がありませんし,周りでも聞いた事は無いです。

⑦を長期滞在側に置き換えると,お金を得られ,時間がある分,ダラけてしまう可能性もある。しかし,やる気があれば仕事も充実し,その国を第二の母国のような視点で見ることが出来る。その上で日本や世界を見るが出来る。ただし,客観的に滞在国を見るには相当の意識が必要である。

 これが長期滞在のメリットとデメリットを一言でまとめたものですかね。振り返ると,一見相反するような世界一周と長期滞在ですが,根っこは同じかなと。世界に興味があって,自分も磨きたくて,ワクワクして人生を生きている人。そんな人がどちらにも多いかと思います。

 これから,世界を出ていきたい人にどちらが合っているか分かりませんが,どちらにしても,デメリットよりもメリットが大きい事には変わりありません。

 一番のデメリットは行かない事なのかもしれません。自分のやりたい事は最低でもやって後悔しましょう^^

 ふじもんさん,ご協力ありがとうございました!また日本,または世界のどこかで語り合いましょう!!

2014年7月16日付エッセイ集 フロンティア・フォーラム No.174:「 格好悪くてもいいじゃないか。それでも前に進み続けるたった1つのコツ」(内藤俊輔さん、 青年海外協力隊/ルワンダ派遣) http://japangap.jp/essay/2014/07/post-79.html

ブログ(内藤俊輔 BOOK):http://ameblo.jp/naikel0311/