ギャップイヤー・ジャパンからのニュース・お知らせ

海外ギャップイヤー事情 豪州編:「オーストラリアも、新卒が大変な時代のよう?!」の巻


The NewsRoom(ザ・ニュースルーム)はオーストラリアのシドニーとメルボルンにキャンパスを構えるMacleay College(マックリー大学)の学生がジャーナリズムの研究の一環として作成・発行しているニュースレターだ。そこに投稿された大学卒業後の就職探しについての記事が興味深い。


 全豪の多くの大学生が今月11月に卒業する(豪州の学事暦は1-12月)が、専攻分野そのものの関連した仕事に就いた卒業生は少ない。

大卒者の就職率は悪化中だが、それでも75.9%!
 現在、有給の仕事を確保するのに苦労している卒業生はますます増加している。2013年にGraduate Careers Australia(GCA:豪州大卒者協会)が行った調査によると、高等教育を受けた卒業生で、大学卒業後の最初の4か月でフルタイムの仕事を得られたのは75.9%止まりであり、この数字は2012年には79.7%、2010年には80.1%あったことから年々悪化していることがわかる。

 前述のGCAは、大学卒業生が就職困難を強いられているのは、世界金融危機によるもので、新卒採用者市場は厳しくなっているという。
「卒業生が就職を探していないのではなく、就職先を探すのに時間がかかる。大卒雇用の数値が前年に比べて、再びわずかに落ちていることについて心配している。色々な大学内にある就職課の担当者と話してみると、新卒者にとって将来の見通しはよくなっていないと言う話を聞く。」


メディア関係の専攻の就職は不調、健康・保険関連は堅調!
 現状は、健康や保険科学系の専攻は経済に左右されていないが、特にコミュニケーション学科とジャーナリズム学科の卒業生には厳しい。各大学から毎年卒業するコミュニケーション専攻の学生は益々増えている。だからジャーナリズム、あるいはコミュニケーションの学位をとったほとんどの学生にとって、将来の見通しはいつもとても厳しくなる。

 コミュニケーション学科の学生は、就職探しのアプローチを独創的にまた戦略的にやるべきとGCAは助言する。「学生は自分がこれまでにやった仕事のポートフォリオをつくり、それを見込みのある会社に見せることができるし、既存の考えにしばられることなく、その他の可能性のある就職先の選択肢も考えられればいい。誰か仕事を持ってきてくれるのを待つだけではなく、ブログやオンラインサイトを使って自分の仕事をアピールする卒業生も出現してきた。現在、あまりにも就職活動に時間や費用がかかりすぎ、多くの学生が望んだ仕事を見つけられていないことにオーストリア社会も同情し始めているようだ。

 エリック・リー氏(24歳)は最近、シドニー大学から2つ目の学士号を授与されたばかり。最初の学位を取った時、フルタイムで働こうかと思ったが、勉強するのに一番いい時期は若くて可能性がある時ではないかと思い、そのまま修学したという。
「フルタイムで働けば、たくさんのお金を稼げたかもしれないって少し思っている。今では2つも学位を取ったし、自分のキャリア開発にはより多くの選択肢が広がっていると思う」と言う。また、卒業生が直面している職不足についてザ・ニュースルームにその心境を吐露している。


学生にはできるだけ早く就職探しを始めた方がいいと忠告
 「勉強した分野で働きたいという目標を持って4年ないし5年間勉学に勤しんだが、国内より海外の方がもっと機会もあり働く場があると言って、海外で働いているたくさんの仲間たちを見てきている。」とリー氏は語る。
現在、リー氏は大手の建築会社でフルタイムで仕事をしているが、学生にはできるだけ早く就職探しを始めた方がいいと忠告している。彼もまた3~4か月、卒業後無職だったからだ。

 「以前、フォルダーと山積みの願書を抱えていたことを思い出す。3~4か月の就職活動中に50社以上もの会社に就職願書を出した。」

 ニューサウスウェールズ大学生で法科と商科を終えようとしている学生がいるが、彼女はまもなくニューサウスウェールズ州(NSW)の政府機関である運輸事業会社で働き始めることになっている。彼女は自分が就職活動のプロセスのなかで比較的ラッキーだったが、修学から仕事への移行に直面している、その他何万人もの彼女のような学生達は皆同様に、大学卒業後の計画について最終学年では不安に思ったという。

 法科生の最初の年にもし質問されていたら、"商法を取り扱う法律事務所で働きたい"と応え、もし同じ質問を今年の最後にされていたら、"ただ仕事が欲しい"と答えたと言う。

 匿名でザ・ニュースルームに応えてくれた学生は、法科生間での競争は、彼女を法律に関係ないインターンシップをやってみようという気持にさせたという。それは、自宅から出ていくことが一番の優先事項で、お金を稼ぐことが人生の主な目的になったからだ。将来に関して言えば、自分の仕事をちゃんとやりたい、そしてNSWの公共交通インフラに貢献できるようになり、そこから快適な暮らしができればいいと思っている。あれこれと自分自身を検証しながらやっていける限り、本当に幸せだと言う。


文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 余田有子

(関連記事)
2013年1月9日付 なんと、大学院が「ギャップイヤー・プログラム」を創った?!~ "起業家精神と経営管理の"ギャップイヤー修了書"が授与される南ア・有力大学院1年専修コースが出現-JGAP代表ブログ
http://japangap.jp/blog/2013/01/-httpkodamayusukewordpresscom20121207efbc91efbc99e6adb3e381aee88ba5e3818de8b5b7e6a5ade5aeb6e38081e4b.html

※「海外ギャップイヤー事情」100超記事の一覧リスト(右ナビ)→http://japangap.jp/info/cat44/