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JGAP寄稿者短信:「すべての人にとって住みやすい街を目指して~バリアフリー社会 北欧フィンランド・ヘルシンキ」(檜垣賢一、学習院大学3年=米国NY州立大学オールバニ校留学中)檜垣さん.jpg

ムーミンで有名な北欧フィンランドの首都ヘルシンキにやって来ました。


ヘルシンキは、徹底的にバリアフリーな街を実現していて、とても驚かされました。

 歩道は広く段差が少なく、また公共交通機関である電車、地下鉄、バス、トラム(路面電車)は完全に低床化された車体が導入されており、街のいたるところでバリアフリーな側面を垣間見ることができます。

 これには市の絶え間ない長期的な努力があったようで、 2002年にヘルシンキ市がすべての人が暮らしやすい街づくりを目指し "Helsinki for all"("すべての人のためのヘルシンキ" )プロジェクトを立ち上げ、2011年までに徹底的に街のバリアフリー化を促進させたそうです。
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 日本と比べ、車椅子利用者やベビーカーを押したお母さんの姿を目にすることが圧倒的に多く、まさにすべての人にとって住みやすい街を体現しているのだなと感じました。

 そこで実際にベビーカーを押してトラムに乗っていたお母さんにインタビューをしてみました。

檜垣:「ベビーカーを使っている身として、ヘルシンキでの生活で困ることはありますか?」

お母さん:「いいえ。とても快適な街です。私のような小さな子供連れにとって、常に子供を抱っこすることはとても肉体的にきつく、長時間移動する際はベビーカーは必須です。ヘルシンキは、いたるところにバリアフリー化がなされておりとても便利な街でして、移動する際に障害を感じることがほとんどありません。」
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檜垣:「日本と比べて、ベビーカーを押すお母さんの光景をよく目にするのですが、理由は何だと思いますか?」

お母さん:「おそらく公共交通機関がとても便利な点にあると思います。まず低床化が実現されたトラムを始めとした公共交通機関が町中に張り巡らされているので、自分の車を持っていなくても移動に困ることがありません。次に6歳までの子供を乗せたベビーカー利用者また車椅子使用者は運賃が無料なんです。ベビーカーや車椅子を利用している人にとっては、時に運賃を支払うのも困難な時があります。それならいっそ無料にしてしまえということで、1986年に行政が中心となってこの制度を導入したそうです。行政のそういった積極的な支援にとても感謝しています。」

(2015年 1月18日 フィンランド ヘルシンキにて)

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量から質を大切にする街づくりへ

 日本でも、バリアフリーという言葉が日本に使われるようになり久しいです。たしかに公共交通機関などインフラ面では先進国と言われていますが、バリアフリーの観点から見れば、まだまだ不十分な点があることも現状です。

 日本では、これまで国中にインフラ整備をして社会全体として暮らしやすい街づくりをすることが優先課題でしたが、これからは成熟社会日本として、1人1人が暮らしやすい街を目指して、一層力を注いでいかなければならないなと感じた滞在でした。
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参考
Helsinki for all:http://www.hel.fi/hki/hkr/en/Helsinki+for+All


(関連記事)
2012年5月16日付JGAPエッセイ集 フロンティア・フォーラム
No.65:「僕の"留学のススメ"~"18歳の国会議員"がいるスウェーデンにいるワケ」 両角達平さん(静岡県立大学 国際関係学部4年=休学中)※Stockholm University(スウェーデン)留学中
http://japangap.jp/essay/2012/05/18-4stockholm-university.html

(関連記事)
JGAPエッセイ集 フロンティア・フォーラム「道がないところに道を作る。」(檜垣賢一さん、学習院大学3年=米国NY州立大学オールバニ校留学中)
http://japangap.jp/essay/2014/11/3-5.html

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