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JGAP寄稿者短信:「大学院1年目を振り返って --- 米国大学院で学んだ個人戦と団体戦」(加藤遥平さん、米国大学院UC Davis在学中) 真夏のDavis.jpg  
     ※写真は、真夏のDavis

当初は、不安の方が大きかったと思います。
交換留学の経験や、周りの大学院生の様子を見て、
大学院の過酷さを知っていたからです。

博士課程に居た友人の口癖は、
「大学院生は情熱的な変人だ」

こう言う友人の顔は、どことなく誇らしげでした。
今では、この言葉や表情の意味が身をもって理解できるようになりました。


当たり前じゃない当たり前なマルチタスク

授業に向けた準備の量は想像以上でしたが、
期待される成果の質にも頭を抱えさせられました。

TA(ティーチングアシスタント)の自由と裁量の大きさ、責任の重さにも苦労しました。
GSR(もしくは、RA:リサーチアシスタント)に要求される知識とスキルは、
幅広いかと思えば、逆に専門的なことも多く、
柔軟に対応しなければなりませんでした。

修士論文のアイディアを練りつつ、
専門分野の教授とネットワークを築き、
3人の指導教員を選ぶのにも苦労しました。
一人一人とアポイントをとり、相性を見極めて行く過程は、まるでお見合いでした。

年間数百万円の授業料と月々の生活費の確保、研究資金の獲得も怠るわけにはいきません。

ファンディングの状況は学生によってまちまちで、
入学前に2年分の奨学金を獲得した人もいれば、
毎学期毎にTAやGSRのポジションを得る学生も。
それらとは別に、研究資金を獲得するためにプロポーザルを書いたりもします。
(プログラムの同期で、TAやGSR、奨学金を争うこともしばしば...)

子育てをしながら、上記全てをこなす強者が居れば、
TA、GSR、インターンを兼ねるワーカホリック、
授業をいくつも受ける勉強の虫も居ます。

理想と現実のギャップ、周囲の友人とのギャップに苛まれながらも、
1年目を乗り切ることができたのは、周りの方々の支えがあったからに他なりません。
特に教授や友人にかけてもらった言葉がなによりの救いになりました。


「知らないことを知らないことを受け入れなさい。」

わからないこと、できないことばかりで悩んでいた時、教授に言われました。

「君は、その苦しみを経験しに来たのだろう?」

「知らないこと、出来ないことが一つもなかったら、ここに居る必要は無い」
そう気付けたことで、劣等感は消え、
理解できない苦しみも受け入れられるようになりました。
興味、好奇心のアンテナも広がり、疑問を抱く機会も増えていきました。
そして、それは価値観を覆されるような経験の連続でした。


「誰とも比較するな」
生まれた場所や育った環境が違えば、価値観もまるで違う。
興味関心やスキルも異なれば、研究のスタイルやペースもそれぞれ。
当然といえば当然ですが、これに気付くまでは、
無意識に周りから「正解」や「ものさし」を探していました。

「誰とも比較するな!」と言った友人は、
「夜7時以降は、家庭を大切にする」と宣言し、2年間を乗り切りました。
他にも「毎月1週間は実家に帰省する」と約束し、守り続ける友人も居ました。

大切にしたい価値観を見つめ直すきっかけになり、
改めて自分と向き合う良い機会になりました。


「修士論文は孤独な作業」
授業を選ぶのも、指導教員を決めるのも、
研究計画を立てるのも、自分です。
論文を書くのも、締め切りを管理するのも、
必要な研究資金を捻出するのも、すべて自分。
クラスメイトや指導教員がその過程をサポートすることは出来ますが、
誰も代わりにはなれません。
とても孤独な作業なのです。

それでも、
「私たちはみんな、君の『孤独』を知っている」
と気遣ってくれる教授や、同じように孤独と向き合う学生が周りには居ます。
一人一人の葛藤は個人戦ですが、同じ目標に向かって進む人々の存在には、
団体戦にも似た心強さを感じます。


2年目こそが正念場
2年目には、修論の口頭試問があり、
中間発表、ポスター発表、そして提出、と大きなイベントが続きます。
副専攻を追加する関係で、履修する授業も減りそうにありません。
それでも不思議と不安を感じないのは、
個人戦であり、団体戦でもある大学院での戦い方が、わかってきたからです。

この夏は迷った末、Davisに残ることにしました。
GSRとして働きつつ、修論の準備を進めます。
新年度を良い形でスタートできるよう、密度の濃い3ヶ月間にします。

 
2012年7月8日付 フロンティア・フォーラム寄稿 No.75:「米国留学、国際NGOインターンを経て、バングラデシュ~国境なきコミュニティデザイナーを目指している私」 加藤遥平さん(当時、筑波大学5年) 
http://japangap.jp/essay/2012/07/ngo.html

2013年12月16日付 JGAP寄稿者短信:「米国大学院の教壇で学んだこと」(加藤遥平さん、米国大学院UC Davis在学中) http://japangap.jp/info/2013/12/jgap1220-happiness-architect.html


ブログ:The Rad Visionary
http://yoheikato.weebly.com/1/post/2013/12/161.html