代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「米国留学、国際NGOインターンを経て、バングラデシュ~国境なきコミュニティデザイナーを目指している私」加藤遙平さんProfile_Pic.jpg


加藤遥平(筑波大学5年)

転機は17歳
 高校時代に陸上競技に没頭していた私は、偶然手にした本から「発展途上国の存在」を知った。
「生まれた場所が違うだけで、機会や可能性がこんなに限られてしまうのはなぜ?」
そんな疑問を持った私は「国際協力」に漠然と興味を持ち始めた。


11ヵ月間の留学
 「本場で開発学を学びたい」「新しい世界を経験したい」
大学入学当初から留学に行きたかった私は、 2010年夏にアメリカへ飛んだ。

 提携留学先のカリフォルニア大学デーヴィス校では、膨大な課題、ディスカッション、グループワーク中心の授業に悪戦苦闘しながらも、教授、TA(ティーティング・アシスタント)、友人と多くの人々に支えられて乗り切ることができた。

 特に印象に残っているのが、フィールドワークで何度も訪れた貧困に苦しむコミュニティだ。
「なんでアンダーソン・クーパーはここに来ないんだ?!」
それは、世界中を飛び回るCNNの名物ジャーナリストを皮肉ったクラスメイトの発言だった。
そして、「貧困や格差は途上国だけの問題ではない」と気付かされた瞬間だった。


「迷ったら、動け」
 「限られた時間を最大限に活用したい。」
そう思った私は、渡米後すぐに現地の高校でインターンを始めた。
そこは、学年関係なく、同じクラスで一緒に学ぶ生徒達。
信頼関係の築かれた教室に生まれるインタラクティブな授業。
多様なバックグラウンドを持つ地域住民からのサポート。
日本とは違った環境に始めは戸惑うも、教師、生徒、地域住民が一体となって作り上げる教育に
魅了された。そして、7ヵ月間の教育現場での経験が夢の仕事に結びつく。


ワシントンD.C.で夢の仕事
 教育現場での経験が評価されたことで、ワシントンD.Cで10週間のインターンシップの機会を得た。
インターン先は、紛争後地域でメディアを使い復興支援を行う国際NGO  Search for Common Ground(SFCG)。
国際協力に興味を持ち始めた私が最初に夢見た仕事であった。

 そこで働くスタッフは、アフリカ、ヨーロッパ、アジアと多様な国籍出身で、経験豊富。
最年少だった私は「使えないわね」と叱咤激励さながらも必死に働いた。

 東南アジアのプロジェクトのファンドレイジングに携わる中で、国際NGOと他の援助機関との協力関係を学び、「開発援助業界」の内情を知ることができた。

 また「もっと一緒に働きたかった」という上司の一言が何よりも私に自信をくれた。
先進国のオフィスから国際協力を経験した私は、自然と「現地から国際協力を経験したい」と思い始めた。


そしてバングラデシュへ
 アメリカでの最初の友人がベンガル人だったという縁から、現地での国際協力を経験するべく、2011年7月にバングラデシュへ向かった。

 デコボコの道路、鳴り止まないクラクション、砂ボコリ、強烈な臭い。
初めて訪れた途上国の喧噪は、驚きの連続だった。

 国際保健機関 ICDDR,Bで2ヵ月間、スラムの調査をしていた私は、「スラム」といっても一括(くく)りにできないほどの多様性があることを学んだ。

 また、スラム居住者の生活を見つめるうちに、そこにも自分と変わらない「人間の営み」があることを知り、自分が持っていた途上国のイメージが思い込みや偏見に満ちたものだったと気付かされた。

 もう一つ、バングラデシュで得たものは、情熱と行動力に溢れた人々との出会いだった。
ベンガル人、アメリカ人、韓国人、日本人。国連職員、青年海外協力隊員、NGO職員、ビジネスマン、学生、と様々な立場の人々が「自らがバングラデシュに出来ること」を真剣に考え、実際に行動する姿に刺激を受けた。

「自分には何が出来るのだろう?」と問いながら、
「『学生だから』を言い訳に、行動を後回しにするのはやめよう」と誓った。


繋(つな)がるドットと今後
 帰国後は「つなぐ」をキーワードに、コミュニティ作りに取り組んでいる。
「筑波大生の海外チャレンジを応援する」をミッションに海外渡航経験者の思いや経験を伝えるコミュニティ、University of Tsukuba International Community(UTIC) (*1) を立ち上げた。

 縁あって 、「人と人をつなぐ、つくばのアイディア発信基地」を目指す spice up cafe ALDOR (*2) の立ち上げに携わり、現在は代表として「場作り」の実践に没頭している。

 留学先で学んだコミュニティ開発、教育現場と国際NGOでのインターンシップ、目の当たりにした先進国の貧困と途上国の現実、そして現在、取り組むコミュニティ作り。

 迷いながらも考え、行動し続けて得られた経験が、全て今の私に繋(つな)がっていると思う。将来の夢は、フィールドを問わず、地域が抱える課題を解決できる人材、「国境なきコミュニティ・デザイナー」になること。

 特に、地域資源を活かした教育を軸に、有機的にヒトやモノが集まるコミュニティを作りたい。
来年は大学院で、これまでの経験と問題意識を突き詰め、卒業後はフィールドで更に経験を積みたいと考えている。

 そして、30歳になる頃には胸を張って「国境なきコミュニティ・デザイナー」を名乗りたい。
それまで、アンテナは広く、フットワークは軽く、情熱的に走り続けたい。

(*1) UTIC:http://utic.weebly.com
(*2) spice up cafe ALDOR:http://aldor.web.fc2.com

プロフィール
加藤遥平/ Yohei Kato
Twitter: @he_yy
ブログ: http://yoheikato.weebly.com

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