代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「私の米国1年ギャップイヤー物語~第2章 視野の広がりと多様性体感」山下さん新2.jpg

山下 美早貴
京都府立大学公共政策学部公共政策学科4年

第2章 視野の広がりと多様性体感
エチオピア系アメリカ人の友達
私「指輪してるけど彼氏がいるの?」
友人「そう、夫がいるの」
私「え、結婚してるの?」
友人「そうよ、エチオピアでは20歳過ぎたら結婚するのよ。結婚してから大学に行くの。」

ドバイ出身の友達
友人「今日は日が昇ってる間は食べられない」
私「え、なんで?体調悪いの?」
友人「イスラム教徒だからね」

担任の女性の先生
先生「今度私の妻の会社に連れて行ってあげるよ」
私「?!」

 このような会話が日常茶飯事で会う人会う人が大きく違うバックグラウンドを持っていました。でも、彼らは彼らの価値観に従っていて、他人のことは気にせず、自分の好きなことを追及することに命を懸けていました。大学の専攻も気に入らなければ変える変える(笑)。勉強に疲れたら1年ぐらい平気で休学するような人ばかり・・・。

 人はそれぞれ違うと頭では分かっていたけれど、どこかに「常識」というものが存在していて、常識の範囲外の人は変わっているという印象を持っていました。でも、自分の友達が常識の範囲外で生きている人ばかりになったらどうでしょうか? もはや持っていた「常識」は消え去りませんか?それが留学中私に起こった変化でした。

 バックグラウンドの違う人たちと友達になることで学べることは多く、それまで頭ではわかっていても本当のところで理解できていなかったことが理解できるようになりました。特に変わったのが宗教に対する考え方です。「宗教=悪いこと、怖いこと」 多分こんな考えを多くの日本人が持っているのではないでしょうか?私もその一人でした。

 以下敬虔なキリスト教徒、Jordanの話です。

 シアトルにアメリカ人ボランティアが日本人に英語を教えるボランティアグループがあるのですが、それのトップを務めていたジョーダン(Jordan)。私は半年間そのグループでボランティアをしていたため彼に関わる機会が多くありました。いつも日本人に優しく、自然な英語を本気で教えてくれます。

 日本語を勉強しているわけでない彼に、「なんでこのボランティアを始めようと思ったの?日本人は英語を勉強できるけど、あなたはボランティアをしても何も得るものがないよね」と聞いたことがありました。彼は「僕はこれまでとても恵まれているんだ。神にたくさん愛してもらってきた。今度は僕が他人を愛する時なんだ」と答えました。それを聞いて、「そうだこの人キリスト教徒だったんだ」と私はドン引きしてしまいました。

 しかし、仲良くなるうちに、彼は冗談も言うし皮肉もいう、普通の人だということに気づきました。ただ、他人への尊敬の気持ちとやさしさはいつも忘れない。彼と仲良くなるにつれ、宗教って「悪いものではないな」と思えるようになりました。何かを信じることによって強くなり、人に優しくなれる。使い方を間違えなければ宗教って素敵なものなのだなと実感し、ただ知らないだけで宗教に嫌悪感を持っていた私はなんて軽率だったのだろうと思いました。

 留学は英語力のためにはもちろん素晴らしい方法です。しかし、月並みの言い方ですが、多様性を体感し、視野を広げることができる絶好の機会でもあります。英語は帰国後衰えますが、このような視野が広がる、自分の常識が変わる経験は一生忘れないし、身につくものだと思います。これから留学に行く方、いろんな人と触れ合う機会を持ってください!


人生も連載も明日に続く・・・


プロフィール:
山下 美早貴
京都府立大学公共政策学部公共政策学科4年 ※5年目
FB:https://www.facebook.com/misaki.yamashita.12


(関連記事)
2015年6月4日付
「私の米国1年ギャップイヤー物語~第1章 英語力」(山下 美早貴さん、 京都府立大学公共政策学部4年)http://japangap.jp/essay/2015/06/-4-5.html

記事一覧

フロンティア・フォーラムトップページへ戻る

アーカイブ