代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「米国リベラルアーツ・カレッジという選択」林さん.jpeg

林裕太
米国・ローレンス大学1年


リベラルアーツ・カレッジとの出会い
 高校2年生の秋、ある出会いが僕の視野を大きく広げることになる。

 イギリスの大学に通っていた父親の知人。彼が日本の大学に行くという僕の前提を大きく覆した。「日本の大学に固執することなんて、ないんじゃない?」それは正に、"目からウロコ"の心境だった。そして"日本の大学以外"という選択肢を模索し始めた。そこで出会った"リベラルアーツ"という選択肢。最初耳に入った"リベラルアーツ"という単語は、今までの人生の中で一度も聞いたことがない、繰り返し心の中で唱えてみる。その事実が全てを物語っている。日本人にはまったく馴染みがないのだ。
しかし、「少人数制の授業、包括的な教養」という側面を学習することに重きを置く、そしてなにより小さい学校ゆえのこのアットホーム感こ、の全てが僕にとってのリベラルアーツの魅力だった。これが僕の希望と夢を一気に膨らませた。
 しかし、現実はそう簡単には動かない。


決断までの葛藤
 あまりこの進学を後押ししてくれる人がいない。所属高校の先生に相談したところ、「受験勉強をして、東大を受けてから考えたら?」。この言葉がひどく心に突き刺さった。しょうがない。この高校からリベラルアーツに行った生徒の前例・実績がまずない、これは先生の親切心なのだ。自分の中で無理やり論理をねじ込み納得させようと努めた。

 でもよく考えてみよう。人に反対されたくらいで諦められるものか?そんなことで諦めたくなかった僕は、両親を説得してまず日米併願を決意。出願までのプロセスは容易に片付けられたが、日本の大学との併願は可能だろうとたかをくくっていたが、想像を超える勉強量に、自分のキャパシティが追いつかず、高3の4月からリベラルアーツの出願に専念することにした。


リベラルアーツの授業は"高校の延長"?
 入学すると、皆が言っていた通りの少人数制の授業、家族のようなコミュニティ。キャンパスを歩けば何人に会釈をするのだろう。そんな知り合いばかりと受ける授業は、まるで"高校の延長"のようだ。この例えが一番適切。

 しかし授業は大変だ。毎回リーディングが課され、事前の準備をして授業に臨む。授業が終わったら、復習に取り組む。都会とは程遠い立地ゆえ、総合大学に比べ外界からの刺激が少なく、毎週こんな同じルーティーンを繰り返している。でもこんなことから得られるものもあると気づいた。言葉で表すのは難しい。でも先々週と比べて少し、成長した?と感じることは少なくない。それに多様な分野の授業をフレキシブルに受けられるというリベラルアーツならではの特権は、僕の好奇心を刺激し、無数の可能性を与えてくれている。


リベラルアーツ・カレッジを選択して
 日本人が知らないから就職は厳しくなってしまうのでは?耳にタコができるほど聞いたこの問いかけ。確かに総合大学に通う友人をみて、少し彼らに引けを感じているのは否めない。

 でもここで"グッ"とこらえて、今の"自分"を信じてみようではないか。このリベラルアーツの理念は僕に無限大の可能性を与えてくれている。この環境で成長できると思える自分に自信を持たないと。結局は自分探しの旅など存在しないのだから。

 そして覚えておいて欲しい。地球の反対側の小さな学校で、自分の可能性を探っている日本人学生が少なからずいることを。そしてこの経験をしている僕たちが主体になって、その経験を次世代に伝えていかなければ。そんな義務感と心が躍るようなワクワク感を感じる。他の皆さんもそうではないだろうか。

 その遠い日本とアメリカの距離をどうにかして繋げないか、そんな思いから開設したブログやこの寄稿。
 慎重に踏まなければならない道は、世の中にたくさんある。しかし、勇気を振り絞り足を一歩前に踏み出し、与えられた環境の中で選択を正解にしていくことも大切なのではないだろうか。僕はリベラルアーツを選択した先輩として、そのような意志を持ったこれからの高校生の意気を本当に尊重したい。


プロフィール:
林裕太
1996年生まれ
公立小学校を経て、東京港区の芝中学・高等学校に在籍。高校2年生の秋にアメリアの大学の選択肢に気づき、日米併願を始める。そして、高3の4月にアメリカの大学の出願に絞る。同校を卒業後、アメリカのウィスコンシン州にあるリベラルアーツ・カレッジのローレンス大学に入学。

リンク先:
Japanese Lawrentians: https://www.facebook.com/Japanese-Lawrentians-492235757609961/?ref=aymt_homepage_panel
個人ブログ:http://www.agos.co.jp/news/report/hayashi/
個人FB:https://www.facebook.com/yutaponta.go.piano


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