代表ブログフロンティア・フォーラム

日本をよくする提言から多様性を高める主張、ギャップイヤー文化構築提案まで、
多種才々なイノベーター達のエッセイ集

「自分の人生を愛するということ」IMG_0793.JPG


竹内 頌(Sho Takeuchi)
(北里大学4年次中退)

あなたの存在は素晴らしい
大学を卒業するまであと4カ月という2016年10月31日、僕は大学に退学願を提出した。

 この時期の中退というのは見方によってはドロップアウトした人生に見えるかもしれない。大学4年生という時期の中退が正しい選択だったかどうかは正直言って自分にもわからない。普段、何事にもポジティブな考え方をしているし自己肯定感にも溢れている方だと思うが、さすがに大学を本気で辞めたいと思ってから決断するまでの間は時期が時期なだけに、自分に自信がもてなくなったり自己嫌悪に陥ったりもした。さらに言うと、全てのことに無気力になってしまうという今までに体験したことのないような状態になったりもした。

 そんな時、僕を救ってくれたのは「あなたの存在は素晴らしい」ということを伝えてくれる人の存在だった。僕の選択が正しいだとか間違っているだとかではなく、竹内頌という人間を肯定してくれる人の存在は100人の否定的な意見にも勝る強力な味方だった。そういう人がそばにいてくれるだけで、また前向きになることができたし改めて自分のことを好きになることができた。きっと悩んだり落ち込んだりしている人に必要なのは、経験則によるアドバイスなどではなくその人の存在を包摂するような言葉なのだと思う。


僕は一人では生きていけない
 中退をするにあたって、改めて真剣に自分の人生と向き合うことになった。その中で、僕の人生は本当に人に恵まれているのだということを強く感じることができた。19歳の頃から始めた旅では出逢う人の数だけ価値観が広がり続け、ユースとして活動をした国際NGOオックスファムでは出逢う人の数だけ多様性がもつ力と美しさを知り、僕の選択を温かく見守り続けてくれた家族からは愛を知ることができた。僕は今まで出逢ってきた"あなた"がいるからこそ自分の人生を愛することができるし、生きていくことができるのだと心の底から感謝することが出来るようになった。


描いていく世界
 「正しい行いと間違った行いを超えたところに野原があります。そこで逢いましょう。」
 これは、ジャラール・ウッディーン・ルーミーという詩人の詩であり、僕が描く理想の世界だ。旅をしていく中で、自然農法を行っている畑に行く機会がよくあった。そこでは多種多様な生物が息づいていて、正しい行いも間違った行いも存在せずにそれぞれが個としての命を全うしていて、その上で共生関係を築きひとつの生態系を作り出していた。人の生き方にも答えなんてないのだから、それぞれの人が自分のど真ん中を生き抜くことがより豊かな世界を創っていくことに繋がっていくのではないかと考えるようになった。。

 しかし世界には自分の権利を行使することができない人や、社会的不公正に苦しんでいる人がたくさんいるのも事実。僕はそういった人のためにも生きていきたいし、そう思っているからこそ自分の思い描く世界を表現していきたい。きっと"あなた"と"わたし"を超えたところにも野原は存在していて、誰かを救うことは自分を救うことに繋がるし、自分を救うことは誰かを救うことに繋がっているのだと思う。


エコビレッジというひとつの答え
 自分の理想とする世界を表現していく手段のひとつとして、エコビレッジというものに辿り着いた。去年の夏、熊本県にある三角エコビレッジサイハテというところに行き衝撃を受けた。そこでは「お好きにどうぞ」を合言葉にそれぞれの思いをそれぞれの人が協力し合いながら色々な形で表現していた。生命の輝く生き方という言葉がぴったりなほどにそれぞれの人が本当に輝いていたし、生きる力に溢れていた。

 僕は11月末から、もう一度1ヶ月間三角エコビレッジサイハテに行きエコビレッジというものを学び感じてくる。そこからまた新しい何かが生まれるかもしれないし、全く別の道を選ぶことになるかもしれない。

ひとつだけ確かなことは、今とてもワクワクしているということだ。


最後に
 この先中退という選択を後悔するようなことがあるかもしれない。失敗もたくさんするかもしれない。それでも僕は、自分らしく生きている限り、"あなた"が存在してくれている限り自分の人生を愛し続けていくことができると思う。

Love the life you live. Live the life you love.



プロフィール:

竹内 頌(Sho Takeuchi)
Twitter:@osho_t8
Facebook:http://m.facebook.com/sho.takeuchi.0817


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