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海外ギャップイヤー事情 インド編:「高卒後大学入学前のメディアでのインターンシップで人生変わった!」の巻

 インドでは大学受験で疲弊するため、高校を卒業してから1年間の「休息」を取得することが多いが、去年5月にムンバイにある国際バカロレア後期中等教育課程の12学年を終了後、メディア産業の実務的な経験をするために、就業体験をギャップイヤーを充てた女子高生(18歳)がいた。

 成績優秀でいつも精神的に自立している彼女は、自分が何を望んでいるかをわかっていた。「自分のことを信頼し、サポートしてくれた両親がいてラッキーだったと思う。でも友人を除く他人にとっては、このギャップイヤーはショックだったようだ。なぜなら、インドにはギャップイヤー文化がないと思っているから。」と彼女は語っている。

 最初、彼女は少し不安に感じていた。「これが無駄な決心にならなければいいと思った。家で無為な生活をするよりも、人生において何かをやりたかった。」

 演劇女優をしている彼女の叔母が文芸ライブのオーガナイザーとつなげてくれて、そこでライブイベントのパンフを作ったり、コーディネイトしたり、ギャップイヤーに慣れ始めたらもう考え直すことはなかった。11月まで文芸ライブで働き、その後はデジタルマガジンの「メガロポリス インド」で働いた。

 その後、音楽・文化情報雑誌「ローリング・ストーン」でインターンをやったことは、インドの音楽界にはまっている若い女の子には素晴らしい機会だった。2~3カ月間の経験だけでも、学校で学ぶこと以上のことを学んだ。音楽業界での1年間で多くの人達と出会い、多くの人が自分のことを名前で知っていてくれたり、顔で覚えていてくれたり、また自分のやった仕事で覚えてくれている人さえもいたことはその後の人生の財産になることだろう。

 彼女のギャップイヤー経験は、今後のキャリアについて、"より情報に基づいた決心"をすることができた。イギリスのエクセター大学への入学を2014年から2015年に延期をし、そしてギャップイヤーの経験によってインドでマスメディアの勉強をしようと確信をして、学部卒業後は海外で修士号を取ろうと決めた。彼女は大学という高等教育に踏み入れ、修学にやる気十分であり、別に自分より若い子と同じクラスになることなんてまったく躊躇していなかった。「1~2年の差なんて全くないと思うし、学校なら私より若い子はいっぱいいる。」と思うようになった。

 毎朝必死に起きて、電車に乗り仕事場まで毎日通い、8時間労働した後、再び電車にのって帰宅するなんてことは学校では経験しないことだ。自分が何をやっているつもりか自尊心がめばえていくようだ。また自分の個性を伸ばすことにも役立った。「取材対象に来てもらうこともあったし、インタビューをすることもあった。その中で自分の殻をやぶることを覚えた。今では人とどう接していったらいいのかがわかり、以前よりずっと自信がある。」と言う。

 ギャップイヤーを取得することにおいて何か不利な点はあるかと聞いたところ、彼女の場合は何もないという。「ギャップイヤーをうまく利用できる限り、人間形成がなされ、自立して物事を考えることを教えてくれるし、様々なことにおいて自分をさらけ出すことができる。自分がメディア関係で働きたいのか、あるいはライターかコンテンツ製作をやるような仕事につきたいのか、今年が事実上それを確認する年であるが、自分が探せたであろう広告や美術関連のイベント・マネージメントのような道の存在も見出すことができるだろう。」

 ギャップイヤーを取得していなければ、これらのことについて調べもしようとしなかっただろうし、考えさえもしなかった。メディアやコンテンツ製作などの違った分野において自分の身を置くこともなかっただろう。今、マスメディアの学士号のようなコースをとろうと決めたことも、2~3年のうちには広告やそれ同様のキャリアに進んでいこうと決心したことから生じるものだ。

 これから5年後か10年後かの彼女の最終的なゴールは、自分がほんとうに好きなことをやり、本当に情熱をもってやれることに忠実で、自分を力づけていくことだ。それがメディア関係であろうと、ジャーナリズムであろうと、広告関係であろうと、あるいは演劇や映画の物書きかわからないが、自分の情熱に忠実であることをやりたいと思っている。

 現在のインドの大学進学率は15%(2012年度)。日本と違い、平均年齢が若く、日本の小中学生に相当する6-14歳の年齢階層に2億人以上がひしめく。これからの20年で25%を目指すようだが、大学進学率に伴い、ギャップイヤー経験をする学生は、間違いなく増えるだろう。


文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 余田有子.

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2015年5月17日付
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http://japangap.jp/blog/2013/01/-httpkodamayusukewordpresscom20121207efbc91efbc99e6adb3e381aee88ba5e3818de8b5b7e6a5ade5aeb6e38081e4b.html

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