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海外ギャップイヤー事情 米国編:「児童文学作家が語るギャップイヤー向き・不向き学生は、日本にもあてはまる!?」の巻中国1.jpg


大学・ギャップイヤー生・企業3者のwin-win-win!
 リタ・ゴールデン・ゲルマン(Rita Golden Gelman、78歳)さんは、アメリカの児童文学作家、おとな向けの紀行文も寄稿するライターだ。29年前の離婚をきっかけに、バッグ一つで、旅から旅へと人生を楽しむタイプで、計画なしで、本能のまま偶然の機会を大切に旅をし続けている。

 唯一の興味は、「人間」で、旅で出会う様々な人との交流を通して、生きる意味を感じている。今回グログにギャップイヤーを経験することに向いている人と不向きな人を挙げていて興味深い。


 まず問題意識として、アメリカが"人対人"のレベルで異文化と交流しあう集団であれば、もっと思いやりがあり、礼儀正しく、そして理解のある国になるだろうという考えがある。そして人とのふれあいがより世界を平和へと近づけてくれると思う。

 幸運にも異文化に溶け込める人にとって最も大切なことは、人がどこにいようと、またどんな姿をしていようと、人は皆同じであるということを悟ることだ。全ての精神文明において、人は笑い、遊び、食べ、排尿をする。弓と矢を使って狩りをするニューギニアの部族の人々であろうと、バリの王族であろうと、タンザニアのマサイ族であろうと、皆、泣いて、笑う。私達のように彼らもまた、子供を愛し、食物を共有する。人が死ぬと悲しむし、踊っている時は楽しい。そして彼らの文化と家を、喜んで見知らぬ人である旅人と共有してくれる。

 ゲルマンさんは、特に高校生に1年、あるいは数カ月でもよいので、高校を卒業した後に異文化の世界へ旅をすることを奨励することに力を入れている。その旅はまさにギャップイヤーであるが、イギリス、オーストラリア、ニュージランド、ドイツで広く知られている。それならアメリカでギャップイヤーがもっと奨励されていてもよいではないかと問う。そして米国ギャップイヤー協会(AGA:JGAP設立1年後の2012年に誕生)のサイトには沢山のプログラムが紹介されているので、それを活用し、心配する親御さんたちも見るべきと勧める。

 現在ではギャップイヤーのために資金を提供する方法も多くある。就労することや、奨学金、資金集め、そして学生がまた若い時期から銀行口座を開くこともできる。

 米国の多くの大学が好意的に1年間の入学延期を受け入れており、大学側は国際的ギャップイヤーを過ごした学生が、より自信とやる気をもっていることを知っている。ギャップイヤーは学生に他者を理解し尊重する気持ちと同様に、自信と自尊心を与える。大卒後採用する企業側も異文化を経験したことのある社員を雇うことはメリットがあると考えている。それは大学・ギャップイヤー生・企業3者にとって満足のいく経験でもあり、win-win-win であろうと力説する。 


 そして逆説的だが、下の7にあてはまるタイプの学生ならば、国際的ギャップイヤー(1学期でも1か月でも)を取ろうと思わないほうがよいと主張する。

1)学習は授業の中でしか行われないと思っている人
2)「高校卒業後は、大学進学あるいは就職に即、進まなくてはいけない」、や子供時代から言われ続けてきた「見知らぬ人とは話しをしてはだめ」のような親や教師にずっと言われ続けてきた規則のようなものに一度も疑問を持ったことのない人
3)美しい物を見て、知恵を順守し、あるいは貧困の辛さや、伝統的文化の中で人生の豊さを経験することは目的の妨げになると思いこんでいる人
4)世界地図の中で自分が住んでいるほんの小さな点のような場所しか見ておらず、その他の広い地域や国々のことや生活様式のことには何の興味もない人
5)将来何を専攻したいのか、残りの人生において何がしたいのかはっきりわかっていて、自分の選択が、自分が何者であるかを知っていて、沢山の違う選択肢があることを自覚していることに基づいている人
6)もし新しい考えに触発されて、自分の信じていることに疑問を持つことを強いられることに怖がっている人
7)ギャプイヤーは金持ちの子供がやることだと思い込んでいる人で、自分や自分の家族には到底そんな余裕はないと思っている人

 どうであろう、シニカルだがギャップイヤーの必要性を表現する説得力があるのではないだろうか。

 一方、自分や自分をとりまく世界がどういうものであるか発見してみたいと思っている学生なら、お金を貯め、働いて、ギャップイヤーを取得するための様々な違う方法を調べてみることだ。高校卒業生が利用できるプログラムや奨学金も米国では増えている。もし以下のようなタイプの人間なら、ギャプイヤーを勧める。

1)そろそろ学校で学ぶのは中断してみようと思っている人
2)大学進学、あるいは就職する前に、世界と自分自身を探検してみたいと思う人
3)自分と違った考えを持っている人と親しくなって、他の生き方を学んでみたいと思う人
4)お金を稼ぐのに多少のきつい仕事を厭わない、あるいはギャップイヤー・プログラムを始められる奨学金制度を探す調査を進んでできる人
5)世の中を理解し、世界平和に貢献したいと思う人。そしてそのためには直接世界を知る必要があることがわかっている人
6)自立していて、親や教師を頼りにするのではなく、自分自身が責任を持ち、自分が何者であるかを見出したい人
7)国境を越える挑戦や、困難に立ち向かう経験や、自分自身のために主体的に好奇心を持っている人
8)自分が住んでいる、ほんの小さな場所を見た時に、その世界が自分が経験することの全てだと自分をあざむいていることを知っている人。そして、異文化を直接経験することは、本を読んで知ることとは全く違うことだということを確かに思う人
9)今日、ほとんどの採用企業と大学側が、学問的環境や国境を越えたところで経験を積んだことのある若者を受け入れた方が有利だと考えていることを知っている人
You know that most employers and many colleges these days consider it an advantage to accept young people who have experienced the world beyond academics and national borders.
10)様々な選択を調べ、それが何であるか理解することを怖がらない人
11)そして最後に、本当に欲しいものがあれば、それを実現させてしまえる人

どうだろう、この11項目は、日本でも十分適用できる条件ではないだろうか。

ゲルマンさんはブログでこう結ぶ。
「さぁ、私は、皆さんの中に種をまいたので、それが育って、生涯、旅と冒険と心の開放を楽しんでくれることを祈ってます。人生の喜びは人と繋がることだから! 良い旅を!」


文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 余田有子

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2015年8月1日付ス
「今秋から新たに10大学で"ギャップイヤー制度"が誕生する!」(砂田 薫)-代表ブログ http://japangap.jp/blog/2015/08/10.html

2015年5月15日付
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2015年1月29日付
「ついに大学に、文科省の"ギャップイヤー予算"が付く!」(砂田 薫)-JGAP代表ブログ
http://japangap.jp/blog/2015/01/-27-httpwwwkanteigojpjpsingisouseikihonseisakudai2s6pdf.html


2013年1月9日付 なんと、大学院が「ギャップイヤー・プログラム」を創った?!~ "起業家精神と経営管理の"ギャップイヤー修了書"が授与される南ア・有力大学院1年専修コースが出現-JGAP代表ブログ
http://japangap.jp/blog/2013/01/-httpkodamayusukewordpresscom20121207efbc91efbc99e6adb3e381aee88ba5e3818de8b5b7e6a5ade5aeb6e38081e4b.html

※「海外ギャップイヤー事情」100超記事の一覧リスト(右ナビ)→http://japangap.jp/info/cat44/