海外ギャップイヤー事情 英国編:「Further education(継続教育)のリーダーが提唱するskills gap year(スキル獲得のためのギャップイヤー)」の巻![]()
TESは、世界で最大のオンラインで結ぶ教員のネットワークで様々な情報が入手できる。そこで、Further education(FE:継続教育)が議論されている。
Further education(継続教育、FE)ってご存じだろうか?イギリスやアイルランドで、義務教育(中等教育)を終えた後の教育過程ではあるが、大学によって提供される高等教育とは区別され、基本的に職業教育である。
イギリスにおいて、16歳で中等教育段階を終えた後の進路は、高等教育(higher education, HE)に進む者は、シックスフォーム過程に進学することとなるが、そうでない者はこの継続教育に進むこととなる。イギリスには460校近い継続教育(FE)カレッジがあるとされる。継続教育は、特定の職業(経理士、積算士、都市計画家、獣医等)に就く資格を得るため、または大学編入資格への中間段階とされ、16歳以上の者であれば誰もが学ぶことができる。
その中にあって、FEのリーダー的存在であるデビッド・ハーボーン氏は全ての若者に異なる職業を試せるようなギャップイヤーの期間を与えるべきだと提唱していて、興味深い。
エッジ財団の最高責任者代理の同氏は、イギリスの継続教育(FE)の指導者的立場にあるが、もっと国をあげて、16歳で学校を卒業していく子供達に異なる職業を試せるチャンスを与えるような新しい形のギャップイヤーをしていくべきだと提案する。この取り組みによって、可能性のある生徒達が職業選択の際に、適していない職業に就かないようなると主張している。
そのような違うキャリアをテストドライブするskills gap year(スキル獲得のためのギャップイヤー)は、生徒に試験勉強してきたプレッシャーの後に、ゆっくりと落ち着かせ、考える時間を与えることになると主張する。「自分はこの次、何を本当にしたいのか?」と、もし1年間あれば、就労体験をしてキャリアのフィルターにかけられ、きっと「大学で一体何をしたいのか?」と考え始めるだろう。そして、仕事とより明白な関連性のある職業コースをとるかもしれない、とエッジ財団の10周年記念講演で彼はそう説いた。
同氏は、学習者のスキルと雇用者側のニーズの関連性についても訴えている。
2011年の高等教育統計機関(the Higher Education Statistics Agency)によると、何せ26,000人の学生が大学入学後1年で中退しており、それは全学生の6.7%にも及ぶということだ。
「大学1年目で中退者がでることの問題点の一つには、そこに入るためにまず多くのことを捧げてきたにも関わらず、入学したコースが期待していたもの、あるいはやりたかったこととは違っていたということだ」と訴える。
「1年間のギャップイヤーは、貴重な社会生活に適応する要素(socialising element)があり、大人が皆、教師のようではなく、また全員が怖い存在でもないことを発見するこに役立つ。私の娘は社会人類学に進んだが、進学後何をやりたいのかわからなくなってしまった。我々の家族同士の親しい友達も同じケースで、大学1年目で中退してしまった。ようやく今、彼女は助産婦という、本当にやりたい職業を見つけたんだ」と結んでいる。
日本でも、生徒のやりたいことを問うこともなく、ただ偏差値の数字を判断材料に、とにかく「現役に入れる大学」を勧めているだけの高校の進路指導者はいないだろうか。
文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 余田有子
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