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海外ギャップイヤー事情 米国編「大学を今決めることが不安なら、ギャップイヤーがよい道筋かも!!?」の巻udai.jpg

 ' WANDERING EDUCATORS'は教育者たちが旅の経験を分かち合う、世界的なコミュニティサイト。世界に広く興味を持つ人々の為の、いわば旅に関するライブラリーで、ネット上では、旅についての情報源として最大規模を誇る。近年は世界中の教育者達の職業、インターンシップや学術会議などに関しても、最も役立てられている。
編集者は35名を超えている。そこで、米国で利用者が増えているギャップイヤーが議論されていた。

 米国の高校生(と彼らの両親)にとって、新年の始めの4カ月間は特にストレスの多い時期である-というのも、大学の入学手続きという最高教育機関最後の苦しみに苛まされるからだ。
申し込みの締め切りが到来し、キャンパスの訪問などすみやかな決断が要される。そしてそれらの決断は、不安に変わっていく。こういった生徒の頭の中にあった、「僕は受かるだろうか?」の問いは「僕はどこへ行くのだろう?」に取って代わられる。

 「僕は大学入学に心の準備が万端だろうか?」この重圧と格闘する生徒にとっては、深刻な課題だ。

 米国ミルウォーキーに住む19歳になったばかりの女子高生は、このところ増加中の、アジアに渡って勉強した学生のうちの一人だ。中国で過ごす彼女はその経験を語る。

 「一番学んだのは、私たちが受けた期末試験は、ちょうど以前に毎週末受けていたテストにそっくりだ、ということ。もちろん週を通して学んだトピックだけでなく、学期を通して学んだこと全てから出題される、ということは異なるけどね。」
そして、「基本的には、もう中間テストや期末テストに怯えることはない。大学はなんだかもう、すごく容易なものに感じるの。」と語る。

 米国ギャップイヤー協会(AGA)によると、ギャップイヤーを経験したほぼ全ての学生が、人間的に成長することができ(95%)、また成熟度が増したと言う(97%)。

 また、84%の学生が将来の職業に役立つスキルを身に着けるのに助かったと言う。勉強の点でも職業の点でも、行く道をしっかりと見据えるのに役立ったと言うことだ。

 結局、それが教育の目指すところではないだろうか?高校卒業後ギャップイヤーを経験した生徒のうち、73%が大学に対する準備感が増した、というのは全く不思議ではない。

 ノースキャロライナ大学、イェール大学、プリンストン大学、ミドルベリー大学のような難関エリート大学は、個人単位で勝手に計画を立てて実行するギャップイヤーでなく、それぞれの人材育成の教育カリキュラムに取り入れる制度として着手している。今年になって、タフツ大学内の市民学と公共サービスを専門とするティッシュ・カレッジは、学部生としての4年間の勉強をスタートさせる前に、国内外のボランティア事業に年間通してフルタイムで携われるような「ブリッジイヤー・プログラム」という名称のギャップイヤー制度を導入したところだ。

 ある学生はギャップイヤーの間、国内を旅行したり働いたりすることを選ぶし、この機に海外へ渡れる利点を利用する学生もいる。

 世界的なNPO、Asia Societyが著書'Educating for Global Competence: Preparing to
Our Youth to Engage the World(世界における人的資質のための教育・若い世代を世界へ)'で主張しているのは、この確かにグローバル化した時代、今日の学生は世界を意識した教育を必要ということだ。

 「若い世代は世界的な規模での思想、モノ、流行、メディア、イデオロギー、人間の循環を理解する必要がある。これらの現象は現実的で力強く、偏在するものである。その上世界で今日、そしてこれから育ちゆく者は、広がりゆくあらゆる問題に取り組む
準備をしなければならない。人類の争い、気候変動、貧困、病気の蔓延、核エネルギーのコントロールなどである。」と述べている。

 「おっと!ここまでにしておこう。」まだ17歳なのに、なんで性急に進路選択をいっときに決めなければいけないのだろう。若い時期は成長には個人差が大きく、「もう少し時間がほしい!」という同年代も多いのが実態だ。

 国際感覚を研ぎ澄ました気鋭のジャーナリストであるニコラス・クリストフが今やギャップイヤーの大いなる推奨者であることから、海外でのギャップイヤーの影響を考えてみてほしい。彼は今や、大学生が学習のために世界旅行を出来るよう、コンテストを立ち上げている。

 大学入試に関わる一連のプロセスのただ中にいる家族が現状を不確かなものと思うなら、そのすぐ前の道を行くよりも、海外でギャップイヤーを過ごすことが良い解決法となるかもしれないと米国ではこのような考え方も広まってきた。

それは学生にとって、大学のみならず職業やその先にある人生といった、次のステージにおいて有益な準備と成り得るという見立てだ。


文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 斉藤 美和


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