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海外ギャップイヤー事情 米国編ギャップイヤーが優秀な学生を作り上げる~GPAが3.0⇒3.5のケースも!?」の巻udai.jpg


米国の雑誌「Fortune誌」の姉妹紙の"Money~College Planner大学案内版"に、ギャップイヤー関連記事が投稿された。先日オバマ大統領の長女・マリアさんがハーバード大学に入学が決まり、入学前にギャップイヤーを取得するというニュースが発表されたが、増加傾向にあるギャップイヤーもマリアさんのお陰で一層弾みがつく。ここで、ちょっと米国のギャップイヤー事情を考えてみましょう。


 マリアさんがハーバード大学に入学が決まったことは何の驚きもないだろうが、2017年までギャップイヤーを取得するために入学を延期するという彼女の決心には、大学進学を考えている高校生や親御さん達の話題にのぼっている。

 ギャップイヤー・ジャパン(JGAP)に遅れること1年、2012年に設立された米国ギャップイヤー協会(AGA)によると、近年アメリカではギャップイヤーの人気が高まってきているが、その発祥地のヨーロッパやイギリスの方には、まだかなわない。

 学生達はギャップイヤーを利用し、就労活動やボランティア活動に励んだり、旅をしたり、あるいは単に自分自身を成長させ、将来どうしたいのかを考える時間に充てている。とりわけ、ハーバード大学など一流大学はギャップイヤー制度を奨励している。

 親御さんたちが心配する共通項は、ギャップイヤーを取得すると、帰還後も大学に入学しないのではという不安であるが、ギャップイヤーは全ての人に適した物ではないが、(ギャップ協会によると)1年間以内にギャップイヤーを終えた学生の内、90%以上は積極的に4年制の大学に入学しているという。

大学が始まる前にギャップイヤーを取得しようと考えている人は、以下を参考にしよう。

1)大学進学前に有意義なギャップイヤーを取得する意味
 大学進学前によく計画が練られた休暇をとる全ての学生が同じ経験をするわけではないが、ギャップイヤーを成功させるためには条件がある。米国ギャップイヤー協会のイーサン・ナイト代表は、それらの条件の中には学習に集中すること、自分がやっていることを正しく理解するために、また安全性をしっかりと確保するためにもメンターと一緒に行動すること、経験を内省できるようにすることが含まれる。素晴らしいギャップイヤーとは、学生達に居心地のよい場所(comfort zone)から飛び出してもらい、国内外で異文化と交流し、これまでと異なる見解を身につけ、地球市民に成長していくことを手助けするものだと言う。


2)ギャップイヤーが優秀な学生を作り上げる
 先述のイーサン・ナイト氏によると、大学進学の前に1年間を利用して色々と経験することが長い目でみて人生にとってプラスだという。高校卒業後にすぐに大学進学をせずに道を外れることに抵抗を感じる人もいるが、1年間のギャップイヤーを取得する傾向はますます米国内でも流行り始めている。骨組みのしっかりとしたギャップイヤー、つまりボランティア活動や学びを通して性格(個性)や自尊心を作り上げることに集中することができた者は、将来大学に進学した際に実際に成績がとても良いことが調査でわかっている。例えばGPA(成績評価方式)の点数について言えば、3.0の成績であったのが、ギャップイヤーを終えて戻ってくる頃には3.5にも上がっていて、それが大学在学中も学力が落ちないという。ある調査によると、期待を超えてはるかに成績がよい。


3)いかにギャップイヤーが大学卒業後の人生にプラスになるか
 ギャップイヤーは大学進学前にやることのひとつではあるが、その効果は大学卒業後に実際に活きてくるのだと、イーサン・ナイト氏は言う。
 高校を卒業した学生達が、一般的には旅やボランティア活動や将来のキャリアを発掘するために取る、計画された休みがギャップイヤーであるが、その期間を利用して学生達は自分の興味があることや、大学卒業後にどうありたいのかを考えている。ボランティア活動やインターンを通して、学生は自分の専攻分野に専心する前に、何が一番自分に向いているのかを理解しようとしている。そして大学に入学した時には、卒業後の世界がどんなものであるかを体験してきているので、モチベーションもより高まり、大学の授業に専念するようになり、そして留年せずに大学を卒業できるのだ。ギャップイヤーを取得した学生は、自己啓発されて、仕事を見つけることにも上手く、また選択した職業に対しても満足しているケースが多い。また色々な経験を少しずつかじりながら積んでいくので、雇用者側も実地の経験を積んでいる学生の価値を高くみている。こういった学生は就労経験やインターンシップ、また奉仕活動等を色々混ぜた経験を積んでいるのが特徴だ。


文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 余田有子


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