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海外ギャップイヤー事情 米国編「ギャップイヤーは7割の高卒者が経験する進路の"通過点"!?」の巻1gapyear.jpeg

 The Localはヨーロッパの国々(スウェーデン、ドイツ、フランス、スペイン、スイス、ノルウェイ、デンマーク、オーストリア、そしてイタリア)で配信されているインターネットの英字新聞。そのThe Localのスウェーデン版にギャップイヤーに関する記事が掲載されていた。スウェーデン人は学生も親御さん達もおおむね、ギャップイヤーを好意的にみている。

なぜ、スウェーデンでは、ギャップイヤーはリラックスなのか!?
 数多くのスウェーデン人の高校生にとって2週間前に卒業するが、慌てて大学に入学するかわりに、学生の多くは1年間の休暇(year off、ギャップイヤーとほぼ同義)を取得する計画をしている。

 スウェーデンのウプサラ大学に交換留学してきたあるフランス人留学生は、ほとんどの新入生(大学1年生)は自分よりはるかに年上だということに気付いて驚いたという。まもなく大学の学部を20才で卒業しようという時に、同じ年のスウェーデン人は大学に通い始めたばかりだった。後日、彼らは高校卒業後、大学に入る前にギャップイヤーを取得していたことを知った。これはまだフランスにはなじみのないもので、将来的な失敗の表れとして冷ややかな目で見ていた。

 スウェーデンに残って勉強することを決めると、「今年から1年のボーナスをもらうようなもの」という。実際、大学を受験するスウェーデン人にとってギャップイヤーは"メリットポイント"になるのだ。このシステムがスウェーデン人の若者達を海外に行かせ充電の機会を最大限に活かすように応援している。


ギャップイヤーは、多くのことを発見できる偉大な機会!
 あるギャップイヤー生(高校は卒業していて、大学入学前。所属なしの浪人と日本人なら見てしまうかも)は6月に卒業したばかりだが、高校の友達2人とコスタリカに行く前に数カ月働く計画をしている。周りの人はその決心を後押ししてくれている。両親も自分がやりたいことなら出来ると思ってくれているし、高校の先生も友達も新しいことに挑戦し、旅をすることは良いことだと言ってくれる。日本の高校の進路指導とはまるで違う。

 これはスウェーデンの教師や家族は一般的には好意的な態度だが、子供達が長いギャップイヤーを取得することに複雑な気持でいる親御さん達ももちろんいる。

 「両親は半年間程度のギャップイヤーを望んでいたみたいだが、最初のギャップイヤーに続いて、もう一つの別のギャップイヤーを計画を話したら批判的になった」と語る現在大学に通うようになった学生もいる。

 彼はアジアやアメリカを旅した後、ウプサラ大学の法律学科に入学したが、彼自身も両親の考え方がよく分かる。両親はギャップイヤーをやったことがないから、ギャップイヤーが自分に与えてくれる完全な自由の素晴らしさを全く理解できないことを責めてもしかたないと言う。

 中には、3年間という長いギャップイヤーを取得している間、ずっと支援してくれていた現在女子大生の親も存在する。主に自宅のあるヨーテボリで働いてお金をため、ヨーロッパや東アジアを旅していた。彼女の親御さんにとってはどれだけ長期間のギャップイヤーを取得しようと、それが重要な意味をもち、時間の無駄にしていなければ全く問題ないと思っているそうだ。もちろん、もし3年間自宅にいてビデオゲームをしていたら、同じように協力的にしてくれたとは思わない、と冗談で付け加える。
 

 重要なことは、ギャップイヤーを取得して後悔している学生はほとんどいないということ。むしろ、ギャップイヤーのおかげで沢山のことを発見でき、その時間のおかげで心を開き、新しい人や海外の学生達との出会いがあったと考えるのが一般的なギャップイヤー経験者の声だ。

 2012年のスウェーデンでのある調査では、高校卒業後にギャップイヤーを取得しない学生は全体のたった31%だけだったことがわかっている。つまり、若者の7割がギャップイヤー取得をする。

 「まだ両親と一緒に暮らしているので、お金もたくさん使っていなから、旅行のために働いてお金を貯めるには絶好の機会だ」とちょうど卒業してストックホルムの地方自治体で働きはじめたセラーゲランさんは話してくれた。

 学生のなかには大学に入学してから考え直す人もいる。
大学に進学したが辞めて、ギャップイヤーを取得している若者も存在する。経験者は、「ギャップイヤーは飛びぬけて人生の最良の決断であった。もし大学での専攻について考える時間や、しばらく勉強以外のことをやる時間がなかったら、今自分がどうなっているか、またどこにいるかわからなかった」という。

 いずれにせよ、英国で1960年代に英国のエリート達によりで始まったギャップイヤーは、北欧では「学生のオトナへの通過点」「トランジション(変換点)」として、見事に根付いている。そのトレンドは、今やファーストトラック好き、効率主義の米国ですら、浸透しようとしている。


文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 余田有子


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