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海外ギャップイヤー事情 米国編「若者の4人にひとりはギャップイヤーを経験し、その6割が大学卒業後に!?!?」udaiKIMG1357.JPG

 『Fast Company』誌は、90年代半ばに ハーバード・ビジネスレビューのエディター2人によって創刊されたビジネス雑誌。現在注目のビジネスリーダーをカバーに、インスピレーション溢れるストーリーやビジネスコンテンツが充実している。最新ビジネストレンドから、クリエイティブで革新的なビジネスリーダーのインタビューなどもカバー。2014年の 'Magazine Of The Year' を受賞するなど、同誌のビジネスジャーナリズムやデザインは高く評価されている。 

 その雑誌に、いまや学生だけでなく、仕事に慣れた中堅社員もギャップイヤーを取得することを選んでいるとある。会社や環境に行き詰った時、新天地をもとめて旅に出るのも、ビジネスチャンスに結びつくことになるのだろうか。


 Aさん(女性)はかつて数千万円の給与をもらって成功しているソフトウェアのエンジニアだったが、仕事を辞めて1年間世界を旅しようと決断した。

 仕事に燃え尽きて、エンジニアの仕事に情熱を感じなくなり辞表を出した時、「まだ30代前半なんだから、子供を作るとか、会社の上を目指すならいいが、小汚いモーテルに泊まりあるく旅なんて...」と友達や家族から非難ごうごうだった。

 ところがどうだろう、1年後20カ国を旅した彼女は、オンラインで有機食材や天然食材でつくられた軽食を宅配ボックスで配達する新しいビジネス「Love with Food」の構想をもってアメリカに戻ってきた。
翌年、彼女の創った会社は250,000ドルの収入を計上した。2014年には200万ドルの収益をもたらした。そして今年、1億ドル(100億円)の売り上げを記録し、25カ国に商品を輸送し始めている。

 ギャップイヤーとは、通常「学校や仕事から1年間にわたる休暇をとること」を言うが、他国ほど米国では、あまり広く受け入れられていないが、個人の成長や発展のために必要なステップだと考えられている。

 ヨーロッパやその他諸外国では、ギャップイヤーはかなり一般的なこととしてとらえられているが、ここアメリカではまだ、新しいトレンドとして見られている。だが、若いアメリカの旅行者達は古い世代の人よりもこの概念を受け入れていて、オバマ氏の長女のマリアさんのような著名人がその一例だ。

 伝統的にギャップイヤーは高校卒業後、大学に入学する前に取得されているが、自己を省み、個人の成長を促すその利点は年上の世代でも歓迎されている。世界的なホステルの予約サイトであるホステル・ワールドが行ったアメリカ市民1,000人を対象にした最近の調査によると、ほぼ26%、つまり4人にひとりの回答者がギャップイヤーを取得したことがあり、そのうちほぼ60%の人が大学卒業後にギャップイヤーを取得したと答えた。

 ギャップイヤーはしばしば旅と関連づけられているが、ギャップイヤーを取得した人のうちたった14%が世界を旅してまわった、39%が自宅にいた、26%が仕事をした、そして残りは、例えば闘病生活や、家族を養う、あるいは軍に入隊したなどの、"その他"のカテゴリーにあてはまった。しかしながら旅を選んだ人達は、ある重要な恩恵にあずかったと言う。

 それは、旅をした人の内、83%が世界について知った、80%が新しい体験ができた、67%が自分自身について知り、6%が新しい友達をつくれたと言う。

 ギャップイヤーを取得していない人のうち、37%が金銭的な障壁が主要な問題だったと指摘している。調査によるとイギリスでは年間旅行の費用に平均して3,820ドル(40万円弱)を費やし、一方アメリカでは年間大学の学費に、平均24,061ドル(約250万円)を費やすという。

 英国の転職サイトMilkroundが行った調査によると、88%の大卒卒業生がギャップイヤーのおかげで就業力(employability)に著しくプラスになったと報告していて、この調査結果はギャップイヤーの利点を調査している米国ギャップイヤー協会(NPO)の調査の参加者の大多数によっても同意されている。

 さらに、20年前33名の学生を取材して著書『Taking Time Off(1年の休暇)』があるが、最近そのうちの何名かに、その後どのように、彼らの体験が将来のキャリアを形成したかについて調査したデータがある。

 「仮にギャップイヤーが就職と結びつかなくても、又、明白な出世コースに繋がらなくても、その何年も後に違う方向に火がともるようなものを引き起こすことができる」と最近ニューヨークタイムズの追跡記事に出ている。「もし新入社員を雇うとしたら、学校に行くことしか他に何もやらなかった22才の若者よりも、むしろしばらく世界を見てまわったリスクを厭わない23才の若者を選ぶだろう」と指摘している。

 また経営幹部レベルを念頭においている女性達にとって、ギャップイヤーは特に重要だと考える人もいる。ケロッグ経営大学院の学部長をしているサリー・ブラントさんも多くのアメリカ人の親御さんたちと同じで、彼女の娘が1年間世界を旅してまわる計画を話してくれた時に少し躊躇したが、娘は落ち着いて『でもお母さん、ギャップイヤーは自分がなりたいと思う人がやることなの』と言うので、感心してしまったと振り返っている。

 だが、大胆な決断についてくるリスクも常にある。若い時に1年間ギャップイヤーを取得するようなことは、特にガラスの天井をつきやぶろうと夢見ている女性達にとっては重要なな体験になりうるだろう。

 「若い頃の時間は賢く使うに限る。最初の仕事は信用を得る時期。リスクを取って旅をし、行きつくところまで行ける大きくて大胆なビジネスのチャンスをつかみにいきなさい。」とブラントさんは締めくくる。


文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 余田有子


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