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海外ギャップイヤー事情 米国編:「プリンストン大学のギャップイヤー制度での学生ってどうよ!?」の巻中国2.jpg


 2005年7月に創刊されたインドのムンバイで創刊されたDNAという日刊英字紙に、米国のプリンストン大学のギャップイヤー制度(入学許可された大学合格学生が、入学前に奨学金で1年の社会活動を海外で行うもの)でインドで活躍した学生(厳密に言うと、入学前なので、所属なしの若者。通常gap year student もしくはgapperと呼称)のことが紹介されている。

 チェイスさん(18歳)は親元・教員が住む米国からはるばる7カ月間インドのバナラシで過ごし、ヒンドゥー語を学び、フルタイムで「グリア」でボランティアをしている。いわばそれは、教室から抜け出したもうひとつの教育(a year of alternative education.)と呼べるだろう。日本ではやりの「座学→PBL(課題解決型授業)」の先にある主体的な学習かもしれない。

 さて、「グリア」は人身売買や商業的性的搾取(売春)行為の撲滅と戦うNGO団体。彼女の一日は朝、事務所で始まり、そこでは補助金の申請を手伝ったり、コーディネイトやソーシャルメディアにおける活動のボランティアをしている。午後には、性の奴隷となっている子供達の教育センターの一つで働いている。そこでアートセラピーのお手伝いをしたり、子供達と一緒に遊んだりして楽しんでいる。彼女が「グリア」で関わった一番大きいプロジェクトは、「FREEDOM NOW ~世界アート交流と展覧会」だ。世界各地の43の学校が参加して、人身売買について学び、創作し、人身売買についての交流と展覧会をコーディネイトした。

 彼女にギャップイヤーを取得するように勧めたのは、親ではなく、彼女が師と仰ぐ友人だったという。「ギャップイヤーを取得した人を何人かは知っていたけど、彼女に勧められるまで、まったく自分自身にはその考えが思いもつかなかったという。「ギャップイヤーを取得したことで後悔している人は誰も知らないし、逆に休暇を取らなかったことで後悔している人はいる。」と彼女は言う。

 彼女はプリンストン大学のギャップイヤー・プログラムのお陰で、人生においてはっきりとしたポジティブな変化があったと考えている。「自分自身のこと、また学校では決して学べなかった世界について学んだ。高校では、あまりにも授業や活動で忙しくて、大切なこと、例えば人間になるとはどういうことか?私は何者?人生の何を信じているのか?についてなど考える十分な時間がなかった。これだけ長い間インドに滞在したお陰で、人や宗教や組織が人間の経験を分類しようとするやり方に問題を抱いた。インドに長い間滞在して、あらゆるタイプの生き物に対して独善的な判断をしなくなった。なぜならかろうじて理解しているようなことで、何かに対して判断がくだせるわけがないからだ。
私はこれから自分にもっと自信をもって、そして世界のことをよりよく理解しながら、大学1年生になる。また更にやる気をもって、他の人を助けるために自分の学んだ教育を生かしたいと思っている。」

 彼女は今年秋に入学するプリンストン大学で、人文学か公共政策を専攻するつもりだ。プリンストン大学のギャップイヤー制度(呼称:ブリッジイヤープログラム)の奨学金を使って、ギャップイヤーを取得したので、往復の航空運賃のみに費用がかかっただけだと言う。

 日本の大学でも、文科省の採択事業で、既に導入している東大・国際教養大学以外の12大学以上の大学で秋以降、ギャップイヤー・プログラムが導入される。チェイスさんのような成熟した(mature)大学生が育つことが楽しみだ。


文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 余田有子.

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2015年1月29日付
「ついに大学に、文科省の"ギャップイヤー予算"が付く!」-JGAP代表ブログ
http://japangap.jp/blog/2015/01/-27-httpwwwkanteigojpjpsingisouseikihonseisakudai2s6pdf.html

2015年5月15日付
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2014年12月1日付
海外ギャップイヤー事情 英国編:「ギャップイヤー保険とは、そもそもどんなもの?!」の巻http://japangap.jp/info/2014/12/post-164.html


2013年1月9日付 なんと、大学院が「ギャップイヤー・プログラム」を創った?!~ "起業家精神と経営管理の"ギャップイヤー修了書"が授与される南ア・有力大学院1年専修コースが出現-JGAP代表ブログ
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