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海外ギャップイヤー事情 米国編:博士課程修了後、ギャップイヤーを取得するのはありだろうか!?」の巻ヨーク1.jpg 


 英語圏のウェッブサイトRedditはオンラインのニュースや面白い記事を掲載している。そこには、AskRedditというコーナーがあり、読者から質問を受付け、会員は様々な情報、気の効いた回答を提供している。また、そのトピックについてのコメントを誰でもつけて討論することが出来る電子掲示板の一種でもある。

 今回掲載されていたのは、博士課程修了後、すなわち博士号を取得して、ポスドクなり教員や社会人になる前にギャップイヤーを取得するのはありだろうかという問いかけだった。現在、米国では、メディカル・スクール(日本の医学部に相当するが、通常理系の学部を卒業してから入学する)進学前にギャップイヤーを取得し、医療機関でのインターンや国内外の海外ボランティアを行うことが増えている。しかし、今回は博士課程での議論で注目される。

 おおよそ、下記のようなやりとりであったが、概ね博士課程の途中で休学の形でギャップイヤーを取得するか、理系なら奨学金を博士号取得前に取れるので、博士号取得後でも、ギャップイヤーは満喫できそうということだ。

                             記

 質問者は、次のように問う。
「大学を卒業してそのまま博士課程に進学したが、これまでギャップイヤーを取得したことがなかった。そこで就職で身動きが取れなくなる前に、ギャップイヤーを取得しておくことはいいんじゃないかと思っている。博士課程の真っ最中にギャップイヤーをやるなんて、多分無分別だということはわかっているので、博士号取得後にギャップイヤーを取ることがありかどうかを知りたいと思っている。

 さて、博士課程修了後にギャップイヤーを取得することによってもたらす大きな影響はあるだろうか? それともそのままポスドクの研究員として進むか、就職をするか、他に何か道はあるだろうか? そもそも博士号取得後のギャップイヤーって、よくあることだろうか?あるいは不利な点はあるだろうか?」

会員Aは回答する。
「君は何の分野にいるの? 研究の世界に入っていく計画があるのならば、休みをとる余裕なんてないよ。一旦そこを離れてしまったら、戻ってくるのは不可能に近いよ」

質問者
「専攻は物理学だが、アカデミアでの研究職としてのキャリアを積みたいとは考えてない。できれば研究でなく、学生の教育に専念する教授になりたいと思っている。 またはその教育業界で仕事に従事するのもよいし、あるいは高校の教師か何かでもいいかなと思っている。」

会員Aその2
「もっと現実的なことだけど、質問する。一体1年間のギャップイヤーで何をしたいと考えている? 私は、大学と大学院の間にギャップイヤーを取得して小売業界で働いた。どうにかしてお金を稼がなくてはいけないし、その場その場の一時しのぎ仕事をやるよりも自分のフィールドで働きたいでしょう。」

会員Bその1
「この時点では、あなたは奨学金をもらうのはやめて、実際に給料を取り始めたいと思っているように感じるが・・。この3~4年の間で君がどう考えていくのか想像するのは難しい。」

会員Bその2
「博士課程プログラムではうまくいっているんですか?博士課程を修了してから、休暇をとりたいと思っているのか、それとも修了前に休暇をとりたいと思っているのか?」

質問者
「まだ修了するまでには3~4年はかかるし、不明といったほうがよい。さきほどの質問に正確に応えると、博士課程を全て修了してから休暇を取りたいと思っている。」

会員Cその3
「なぜまだ博士課程を修了していないのに、ギャップイヤーを取ろうなんて計画しているのか? 修了までにこの先はずっと続くよ。これから3~4先のことが誰にわからない。
大学を卒業してすぐに博士課程に進んだそうだけど、始める前に休暇をとらなかったことを後悔しているのか?
また、ギャップイヤー中に何をやるのか計画しているか? 博士課程を修了した後にはお金なんてほとんど残っていないことは保証するし、たぶん何か仕事につかないとだめじゃないかな。」

質問者
「的確な質問なので、具体的に書いておこう。
私が質問したかったのは、ギャップイヤー取得が分別のあるものなのかどうかとういことだ。いつかとりたいと思っていたことだが、これまでのところそうしてこなかった。だから気持ちが時々揺れている。でも全く燃え尽きてしまったわけでもない。
これまでギャップイヤーを取らなかったことには少し後悔している。1年間があったら旅をしたり、経験をつんだりできただろうが、ギャップイヤーの後に良い大学院に行けなくなるという危険を冒したくなかった。
ギャップイヤーが取れたら、絶対に旅をするだろう。 自分はかなり倹約家だし、特別奨学金もあるし、お金もかなり貯められるだろう。」

会員Dその4
私の場合は、この学期が終わったらプログラムを休んで少なくとも1年間はギャップイヤーを取得するつもりだ。理由はいくつかあるが、主な理由はギャップイヤーを取らずしてこの世界で起こっていることを何も見ずに、5年以上も研究・学習ばかりの生活に入ることを後悔しないためだ。
私のプログラムは休学してもペナルティなしに再登録できるということがわかったから、君にも後悔して欲しくない。ただデメリットは、後に、研究助手になるための予算権限を持っているアドバイサーを見つけにくいことだ。私はトップ20に入る理数系(STEM)の大学にいるので、君が物理学を勉強しているなら、多分、多くの大学に同等のプログラムがあるだろう。
何も君のプログラムをやめろとは言っていないが、3~4年後に休暇をとるために、常に心が迷っているよりも、終了後でなく、今やったほうがずっといいのではないかと思う。両方の世界の一番良いところを得られるかもしれないから。

質問者
考え方が、とても役に立ちました。

会員Eその1
「もしどこにも働いたことがないなら、就職先を見つけるのはとっても難しいことだと聞いている。また一旦学問の世界から離れると、再びアカデミアに戻るのはほとんど不可能に近いとも聞いている。
ギャプイヤーって、3カ月ぐらい休暇をとって旅行するの?それならかなり普通のことじゃないですか。履歴書に書けるようなこと(語学集中コースとか、プログラム作成)をやるつもりなら、それもかなり合理的ですね。1~2年、友達と醸造所で働く?やったことのない人よりたぶん大変なことになるだろうね。」

質問者
「いいことを聞けてよかった。少なくとも3カ月間をつかって旅行をすることは普通だってことを。大筋はこういう方向性でやってみよう。 コメントありがとう。

会員Fその2
「博士課程が修了する頃には、ギャップイヤーを取得するお金なんてないだろう。実際、借金まみれで貯金もないだろう。すぐに仕事か、ポスドクのポジションを見つけなければいけないだろう。特別奨学金のほかに十分な収入源がなければ他に方法はないだろう。」

会員Gその3
「それは人とプログラム次第だ。私とパートナーの場合、つましく暮らし、特別奨学金ももらい、博士課程修了時には50,000US$~100,000US$(600万円から1200万円)の貯蓄があるはすだ。(贅沢な暮らしをして追加の奨学金がなければ最低額を、できるだけ贅沢な暮らしをせずに追加の奨学金を1つか2つ加えられれば上の方の額を貯蓄できるはず)加えて、大学時代に貯めたお金もある。
経費のかからない国に関していえば、一人年間10,000ドル(120万円)あればかなり快適に旅ができるだろう。博士課程修了後に放浪の旅にでることはいつも金銭的に制限されることではない。」

会員Hその4
「理科系分野なら大丈夫だ。今の時点でクラスメートの中に借金を抱えている人はいないよ。」

文・JGAPギャップイヤー総研客員研究員 余田有子

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「ついに大学に、文科省の"ギャップイヤー予算"が付く!」(砂田 薫)-JGAP代表ブログ
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※「海外ギャップイヤー事情」100超記事の一覧リスト(右ナビ)→http://japangap.jp/info/cat44/

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