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JGAP寄稿者短信:「2014年から2015年へ~振り返りとこれからのテーマ」(加藤遥平さん、米国大学院UC Davis在学中)


2014年、最後の夕日加藤さん1月.jpg


「(大学院でも)なんとか生き残れそう」と、
一息ついて、始まったのが2014年でした。
新年に掲げたテーマは「考えぬくこと」。
特に、大学院生活でぶつかるであろう「答えの無い問い」と向き合うことでした。


-冬-
そんな目標を胸に臨んだ2014年、最初の学期は実践が中心。
デービス、サクラメント、サンパウロ、日本と、
3ヵ国4ヵ所に居るクライアント、パートナーと共に、
貴重な経験を積ませてもらいました。
求められる役割も仕事の内容も異なるプロジェクトを通じ、
自分にできること・できないこと、できるようになりたいこと、
がより明確になりました。


-春-
次の学期は理論と実践のバランスが半々。

授業は、
・アクションリサーチと参加型デザインの手法
・アメリカ NPOの歴史
・インフォメーションデザイン
というラインナップ。

「研究室と教室、ときどき家」で完結するような生活でしたが、
好きな授業、好きなプロジェクトに好きなだけ没頭できる生活は贅沢そのもの。
「大学院に来て良かった」と、
(最後の週を除き)頬がゆるみっぱなしの3ヶ月でした。

この時期は、
ファンディングを取るためにプロポーザルを書いたり、
3人の指導教官を決めるために、教授とミーティングを重ねたり、
それまで拡散させ続けた研究テーマを絞っていく段階でもありました。

結局、入学当初のテーマに戻ってきたのですが、
回り回った分だけ、より広い視野から、
研究テーマを見つめ直すことができたと思います。


-夏-
4ヶ月の夏休みは、Center for Regional Change (CRC)という、
UC Davis 付属の研究機関に雇われ、
子供たちを対象にしたワークショップの企画と運営に携わりました。
主な仕事はカリキュラムやツールの作成、
出張ワークショップのサポートなど。

出張先はデービスから約1時間半ほど南に下ったストックトン。
かつて、全米一治安が悪く、
今でも最も危険な都市の一つと言われています。
まちを歩いても、見た目からは想像できませんが、
人々が話すまちの現実に、言葉を失うこともしばしば。
奮闘するまちのNPOに希望を見出すこともあれば、
暗い現実をつきつけられたり、
一喜一憂を繰り返す毎日でした。

CRCでの仕事に加え、インターンとして、
デザインのプロジェクトにも関わっていました。
「参加型デザインの歴史をまとめたタイムラインを作る」
という大規模なものでしたが、
文献レビューを通じて修論の基礎を築くことができましたし、
チームでアイディアを練りながら、デザインを詰めていく過程は、
2014年の中でも至高の一時。
少人数のチームで働くのが合っていると確認することもできました。


-秋-
日本に帰った2週間は、進路をじっくり考える貴重な時間になり、
2年目の秋学期を乗り越える大きな原動力にもなりました。

秋学期は、
ティーチング・アシスタント、タイムラインプロジェクトのまとめ、
授業は、モーショングラフィックとGISという布陣。

GIS(Geographic Information System:地理情報システム)は、
夏にも仕事で使っていたので、おさらいが中心。
モーショングラフィックは、
毎週課題が出されるスタジオ形式の授業。
おかげでアイディアの出し方、
ビジュアルでのコミュニケーション能力は格段に上がったと思います。
デザイン専攻の学生に混じっても、
「やっていける」と自信を深めることもできました。


-2015年-
こうして、まとめてしまうと、
他人の1年を振り返っているような気がして、不思議です。
そんな気持ちを、小説『モダンタイムス』が的確に表現しています。

人ってのは毎日毎日、必死に生きてるわけだ。
つまらない仕事をしたり、誰かと言い合いしたり。
そういう取るに足らない出来事の積み重ねで、
生活が、人生が、出来上がってる。
- 伊坂幸太郎 『モダンタイムス』

削ぎ落とされてしまった日々の出来事にこそ、
「考えぬく姿勢」を問われる場面が多かったのでしょう。
特別意識していたわけではありませんが、
そんな日々の積み重ねで「考えぬく体力」もついてきたと思います。


そして、2015年。
今年のテーマは「自分の居場所を探ること」

具体的には、
「自分の価値を一番に発揮できる仕事場を見つけること。」

誰とどこで、どのように、働くか。
どんな課題に、どういうスキルを用いて、どう関わるか。

集大成となる修論の執筆、
学会の発表に向けた準備など、
6月までは慌ただしい上半期になると思います。
それでも頭の隅では、その先の未来とも向き合っていきたいです。

本年も、どうぞよろしくお願いいたします。


加藤遥平
米国大学院UC Davis在学中


(関連記事)
2012年7月8日付 フロンティア・フォーラム寄稿 No.75:「米国留学、国際NGOインターンを経て、バングラデシュ~国境なきコミュニティデザイナーを目指している私」 加藤遥平さん(当時、筑波大学5年) 
http://japangap.jp/essay/2012/07/ngo.html

2014年11月10日付
JGAP寄稿者短信:「大学院卒業後の進路~これからのキャリアを考える」(加藤遥平さん、米国大学院UC Davis在学中) http://japangap.jp/info/2014/11/jgap-uc-davis.html

2014年8月30日付JGAP寄稿者短信:「米国大学院生の懐事情 ― 留学費用についてのあれこれ」(加藤遥平さん、米国大学院UC Davis在学中) | ギャップイヤー・ジャパン: http://japangap.jp/info/2014/08/jgap1-----uc-davis.html

2014年8月3日付 JGAP寄稿者短信:「大学院1年目を振り返って --- 米国大学院で学んだ個人戦と団体戦」(加藤遥平さん、米国大学院UC Davis在学中) http://japangap.jp/info/2014/08/jgapuc-davis-2.html

2013年12月16日付 JGAP寄稿者短信:「米国大学院の教壇で学んだこと」(加藤遥平さん、米国大学院UC Davis在学中) http://japangap.jp/info/2013/12/jgap1220-happiness-architect.html


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